まんが日本昔ばなし 安珍清姫
(昭和52年7月30日放送/演出・美術・作画:馬郡美保子/文芸:沖島勲)
すごい!わずか10分程度の映像作品。なのに鳥肌が止まらない。目が離せない。
何という作画、何という表現、何という語り口。
切なくも恐ろしい「まんが日本昔ばなし」史上の傑作の一つです。
何という作画、何という表現、何という語り口。
切なくも恐ろしい「まんが日本昔ばなし」史上の傑作の一つです。
<ストーリー>
昔、熊野権現への参詣途中の旅の修行僧・安珍は、一夜を借りた庄屋で清姫と出会う。若く見目麗しい二人は一目で恋に落ち、将来を誓い合う。参詣の帰りに必ず立ち寄ると約束した安珍だったが、修行中の身であることを思い出し、清姫に会うことなく帰路についた。
待てど暮らせど現れない愛しい安珍を想い、清姫は一人安珍を求めて街道へと飛び出していく。安珍への想念はやがて怨嗟へと変わり、日高川で安珍の姿を見たときに清姫は大蛇へと変化してしまう。日高川を渡り道成寺に助けを求めた安珍は鐘の中に身を隠すが、大蛇と化した清姫の怒りはおさまらず、鐘に巻き付いて火を吐き、ついには安珍を焼き殺してしまう・・・
いわゆる「安珍清姫伝説」です。
昔、熊野権現への参詣途中の旅の修行僧・安珍は、一夜を借りた庄屋で清姫と出会う。若く見目麗しい二人は一目で恋に落ち、将来を誓い合う。参詣の帰りに必ず立ち寄ると約束した安珍だったが、修行中の身であることを思い出し、清姫に会うことなく帰路についた。
待てど暮らせど現れない愛しい安珍を想い、清姫は一人安珍を求めて街道へと飛び出していく。安珍への想念はやがて怨嗟へと変わり、日高川で安珍の姿を見たときに清姫は大蛇へと変化してしまう。日高川を渡り道成寺に助けを求めた安珍は鐘の中に身を隠すが、大蛇と化した清姫の怒りはおさまらず、鐘に巻き付いて火を吐き、ついには安珍を焼き殺してしまう・・・
いわゆる「安珍清姫伝説」です。
安珍
イケメン修行僧
箱入り娘の清姫
今で言う地〇女(祟られても知らんぞw)
「まんが日本昔ばなし」は、タイトル通り日本の昔ばなしを題材にした30分二話構成のテレビアニメーション。
1975年から主にTBS系列土曜夜7時から20年近くに渡り放送されていました。
30代以上の日本人なら知らない人はいないでしょう。
当時少年少女だった現在の中年男女の心に深く残る番組です。
1975年から主にTBS系列土曜夜7時から20年近くに渡り放送されていました。
30代以上の日本人なら知らない人はいないでしょう。
当時少年少女だった現在の中年男女の心に深く残る番組です。
将来を誓い合う二人・・・
注目すべき点はいくつかあるのですが、その一つは作家性の高い作画。
楽しく、悲しく、コミカルでもあり、時に残酷ですらあった昔ばなしの数々。
楽しく、悲しく、コミカルでもあり、時に残酷ですらあった昔ばなしの数々。
それらを個性豊かなアニメーター、イラストレーターたちがその個性のままに思い思いに表現されていました。
杉井ギサブロー、近藤善文、高橋春男なんかも参加されていたんですね。
杉井ギサブロー、近藤善文、高橋春男なんかも参加されていたんですね。
待てど暮らせど現れぬ安珍を想い
ついに一人安珍を求めて飛び出します
また、声の出演が市原悦子さんと常田富士男さんのお二人だけだったというの面白かった。じいさんばあさん、大人に子供、見目麗しい乙女からかわいい動物、果ては神様仏様幽霊化け物まで全部お二人が演じておられました。
全部同じ声なのに、でもお二人の豊かな表現力と素晴らしい作画のおかげでそんなことを思わせないほど自然なバリエーションを感じたものです。
今思うと、声を男女二人に絞ったのは両親が子供たちに昔ばなしを読み聞かせするような演出意図があったのかもしれません。昔ばなしの原点ですからね。
全部同じ声なのに、でもお二人の豊かな表現力と素晴らしい作画のおかげでそんなことを思わせないほど自然なバリエーションを感じたものです。
今思うと、声を男女二人に絞ったのは両親が子供たちに昔ばなしを読み聞かせするような演出意図があったのかもしれません。昔ばなしの原点ですからね。
安珍さま~、安珍さま~
安珍をのせた渡り船は日高川の向こう岸へ・・・
本番組は旧厚生省運営の中央児童福祉審議会推奨でしたが、そんな権威づけに関わらず、今でも子供たちに観させてやりたいなと思うほど良質なものでした。
色々な人の思い。優しさ、悲しさ、寂しさ、思いやり、怒り、愛、そして残酷さ。幼い子供たちの心にきっと響いてくれることでしょう。
しかし・・・本作はその限りではありません。
しかし・・・本作はその限りではありません。
むしろ子供に観させるべきかためらいます。だってご存知のように「安珍清姫伝説」。女の情念が男を焼き殺す話なんですからw
さすがに4歳と6歳のうちの子たちにはまだ観させていませんよ。
さすがに4歳と6歳のうちの子たちにはまだ観させていませんよ。
ああ・・・安珍さま~
髪振り乱して安珍を追い・・・
ついには日高川に沈みます
ですが大人が観るとメチャクチャ面白い。
「安珍清姫伝説」自体、時代と世相を超えて人の心を捉える話ではあるんですが、本作の作画、BGM、語り口。いずれの表現も単なるアニメ作品では終わらない見事な芸術性を帯びていて、鑑賞中は一瞬たりとも目が離せません。
40年近く前の10分間アニメによもやこれほどの力があろうとは。
私は近年再放送で本作を観ました。外出前にテレビの前に立ってザッピング中だったのですが、心がザワついてそのまま身動きできないほ釘付けになりましたから。
「安珍清姫伝説」自体、時代と世相を超えて人の心を捉える話ではあるんですが、本作の作画、BGM、語り口。いずれの表現も単なるアニメ作品では終わらない見事な芸術性を帯びていて、鑑賞中は一瞬たりとも目が離せません。
40年近く前の10分間アニメによもやこれほどの力があろうとは。
私は近年再放送で本作を観ました。外出前にテレビの前に立ってザッピング中だったのですが、心がザワついてそのまま身動きできないほ釘付けになりましたから。
が、怨念のあまり火を吹く大蛇と化します
「おのれ、安珍んん~~」
恐れをなした安珍は
道成寺の鐘に隠れて読経
全部こいつが悪い!
馬郡美保子さんは、主に美術を担当されているアニメーター。
杉井ギサブロー監督の「紫式部 源氏物語」「銀河鉄道の夜」に美術で参加されていて、近年では「よなよなペンギン」の美術監督も務めています。
杉井ギサブローの述懐によると虫プロの意欲作「哀しみのベラドンナ」においては彼女の極めて高い作画能力により作品が支えられたとのことです。
あまり一般に著名な方ではありませんが、とんでもない力量の方のようです。
本作を観ればさもあらんと思われると思います。
杉井ギサブローの述懐によると虫プロの意欲作「哀しみのベラドンナ」においては彼女の極めて高い作画能力により作品が支えられたとのことです。
あまり一般に著名な方ではありませんが、とんでもない力量の方のようです。
本作を観ればさもあらんと思われると思います。
安珍憎しや、安珍愛しや
本作は「まんが日本昔ばなし12巻」の一編としてDVD化されています。ツタヤでもレンタル可能ですよ。またネット上(Dailym〇tionですが上手く貼れませんでした)で動画も上がっているようです。
わずか10分ほど。
わずか10分ほど。
是非とも一度目にして頂きたい隠れた傑作短編アニメーションです。