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Channel: ばいきんダディの何でオレ様が・・・
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まんが日本昔ばなし 安珍清姫

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まんが日本昔ばなし 安珍清姫
(昭和52年7月30日放送/演出・美術・作画:馬郡美保子/文芸:沖島勲)
 
すごい!わずか10分程度の映像作品。なのに鳥肌が止まらない。目が離せない。
何という作画、何という表現、何という語り口。
切なくも恐ろしい「まんが日本昔ばなし」史上の傑作の一つです。
 
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<ストーリー>
昔、熊野権現への参詣途中の旅の修行僧・安珍は、一夜を借りた庄屋で清姫と出会う。若く見目麗しい二人は一目で恋に落ち、将来を誓い合う。参詣の帰りに必ず立ち寄ると約束した安珍だったが、修行中の身であることを思い出し、清姫に会うことなく帰路についた。
待てど暮らせど現れない愛しい安珍を想い、清姫は一人安珍を求めて街道へと飛び出していく。安珍への想念はやがて怨嗟へと変わり、日高川で安珍の姿を見たときに清姫は大蛇へと変化してしまう。日高川を渡り道成寺に助けを求めた安珍は鐘の中に身を隠すが、大蛇と化した清姫の怒りはおさまらず、鐘に巻き付いて火を吐き、ついには安珍を焼き殺してしまう・・・
いわゆる「安珍清姫伝説」です。
 
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安珍
イケメン修行僧
 
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箱入り娘の清姫
今で言う地〇女(祟られても知らんぞw)
 
「まんが日本昔ばなし」は、タイトル通り日本の昔ばなしを題材にした30分二話構成のテレビアニメーション。
1975年から主にTBS系列土曜夜7時から20年近くに渡り放送されていました。
30代以上の日本人なら知らない人はいないでしょう。
当時少年少女だった現在の中年男女の心に深く残る番組です。
 
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将来を誓い合う二人・・・
 
注目すべき点はいくつかあるのですが、その一つは作家性の高い作画
楽しく、悲しく、コミカルでもあり、時に残酷ですらあった昔ばなしの数々。
それらを個性豊かなアニメーター、イラストレーターたちがその個性のままに思い思いに表現されていました。
杉井ギサブロー、近藤善文、高橋春男なんかも参加されていたんですね。
 
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待てど暮らせど現れぬ安珍を想い
ついに一人安珍を求めて飛び出します
 
また、声の出演が市原悦子さんと常田富士男さんのお二人だけだったというの面白かった。じいさんばあさん、大人に子供、見目麗しい乙女からかわいい動物、果ては神様仏様幽霊化け物まで全部お二人が演じておられました。
全部同じ声なのに、でもお二人の豊かな表現力と素晴らしい作画のおかげでそんなことを思わせないほど自然なバリエーションを感じたものです。
今思うと、声を男女二人に絞ったのは両親が子供たちに昔ばなしを読み聞かせするような演出意図があったのかもしれません。昔ばなしの原点ですからね。
 
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安珍さま~、安珍さま~
 
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安珍をのせた渡り船は日高川の向こう岸へ・・・
 
本番組は旧厚生省運営の中央児童福祉審議会推奨でしたが、そんな権威づけに関わらず、今でも子供たちに観させてやりたいなと思うほど良質なものでした。
色々な人の思い。優しさ、悲しさ、寂しさ、思いやり、怒り、愛、そして残酷さ。幼い子供たちの心にきっと響いてくれることでしょう。
しかし・・・本作はその限りではありません。
むしろ子供に観させるべきかためらいます。だってご存知のように「安珍清姫伝説」。女の情念が男を焼き殺す話なんですからw
さすがに4歳と6歳のうちの子たちにはまだ観させていませんよ。
 
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ああ・・・安珍さま~
髪振り乱して安珍を追い・・・
 
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ついには日高川に沈みます
 
ですが大人が観るとメチャクチャ面白い。
「安珍清姫伝説」自体、時代と世相を超えて人の心を捉える話ではあるんですが、本作の作画、BGM、語り口。いずれの表現も単なるアニメ作品では終わらない見事な芸術性を帯びていて、鑑賞中は一瞬たりとも目が離せません。
40年近く前の10分間アニメによもやこれほどの力があろうとは。
私は近年再放送で本作を観ました。外出前にテレビの前に立ってザッピング中だったのですが、心がザワついてそのまま身動きできないほ釘付けになりましたから。
 
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が、怨念のあまり火を吹く大蛇と化します
「おのれ、安珍んん~~」
 
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恐れをなした安珍は
道成寺の鐘に隠れて読経
全部こいつが悪い!
 
馬郡美保子さんは、主に美術を担当されているアニメーター。
杉井ギサブロー監督の「紫式部 源氏物語」「銀河鉄道の夜」に美術で参加されていて、近年では「よなよなペンギン」の美術監督も務めています。
杉井ギサブローの述懐によると虫プロの意欲作「哀しみのベラドンナ」においては彼女の極めて高い作画能力により作品が支えられたとのことです。
あまり一般に著名な方ではありませんが、とんでもない力量の方のようです。
本作を観ればさもあらんと思われると思います。
 
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安珍憎しや、安珍愛しや
 
本作は「まんが日本昔ばなし12巻」の一編としてDVD化されています。ツタヤでもレンタル可能ですよ。またネット上(Dailym〇tionですが上手く貼れませんでした)で動画も上がっているようです。
わずか10分ほど。
是非とも一度目にして頂きたい隠れた傑作短編アニメーションです。

ルーシー

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ルーシー(2014年/フランス/リュック・ベッソン監督)
50点
※ネタバレあり

ちょい期待していた作品ですが・・・凡作でした。
リュック・ベッソンの良いところも感じられず。残念。

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<ストーリー>
台北で生活する平凡な白人女性ルーシー(スカーレット・ヨハンソン)は、ひょんなことからチャン(チェ・ミンシク)率いる韓国系マフィアに捕えられ、新型ドラッグを体内に埋め込まれて運び屋に仕立てられる。
しかしドラッグが体内に漏れ出し、脳力が飛躍的に向上してしまった。
ルーシーはマフィアを出し抜き、脳科学者の権威・ノーマン博士(モーガン・フリーマン)に接触を図る。

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最初はあばずれア~パ~女でした

脳の潜在能力を引き出すってのはネタ的にはよくある話ですが、なお興味の湧く設定です。近年も「リミットレス」って映画がありましたがそこそこ面白かったです。
凡人が桁外れの天才になったときに一体どういう行動を起こすのか。その経過、変貌していく様子には面白くなる要素が満載だと思うのです。
ですが本作はそれがあんまり面白くない。というのもヒロインが得る能力がいわゆる天才レベルを遥かに超越してほとんど超能力なんですよ。
10%しか使っていない脳の潜在能力が20、30、40・・・と上がっていくにつれて得る力が物理法則を無視しちゃうレベルなんですね。

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覚醒!

卓越した記憶力とか、洞察力とか、理解力とか。さらには肉体操作術の向上とか。
そういう地に足の着いた能力アップを予想するじゃないですか。
ところが本作のルーシーは、電波?を読んで自在に操ったり、多数の人間を一瞬で失神させたり、物体を中に浮かせたり、挙句は髪の色すら変えちゃったり。
もはやスタンド能力。念能力。
いやいや。
普通に考えて脳が2倍3倍賢くなったからってそこまで出来るわけないっての。
物語中盤でこのありさまなんで、お話しに緊張感が無くなっちゃうんですよ。
何でも超人なら何だってアリじゃんwてな具合に。

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超能力でマフィアも銃も天井に!

そうかと思えば何でも超人の割に、銃持ったマフィア風情に手こずる。
見てるこっちはスタープラチナでもジャジャンケンでも使って瞬殺すりゃあいいじゃんって思うんですけどそうしない。できない。意味不明。
能力と危機がアンバランスで白けます。
最近似たような映画観たな~と思ったら「トランセンデンス」にすごく似ているんだなあ。人間が超常的能力を得るというコンセプトも、話のダメダメっぷりも、主役は一流俳優というところもそっくり。

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両手で二台のパソコンを素早く操り超高速情報吸収!
・・・、通信速度って制限があると思うんですけどw

上映時間は90分足らずなので物語は一本調子で膨らみがありません。
ではテンポの良いノンストップアクションなのかと言うとそれもなく、端々に間の悪さを感じます。
例えば映画冒頭でルーシーと彼氏のリチャードがホテルの前であ~でもないこ~でもないと言い争いをするのですが、それがほんとしょーもない。物語上大きな意味があるわけでもなく、会話がウィットに富んでいて面白いわけでもなく。
要するに本作はアイデアありきでその後の脚本の練り込みが全然できていなかったんじゃないかと思います。

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博士役のモーガン・フリーマン
最近似たような役柄ばかりだなあ・・・

リュック・ベッソンってとんでもない傑作を撮る反面、アイデア倒れの中身スカスカの映画も撮りますよね。本作は完全に後者です。
韓国マフィアの行動は支離滅裂だし、結局ルーシーも何がしたかったんだか意味不明だったしなあ・・・。
ただ唯一いいなあって思えたシーンがありまして。脳が活性化したルーシーが、嬰児だった頃の母のぬくもりや愛の記憶までが思い出して涙ぐんでしまうんですね。
人間が一番庇護され、ダイレクトに愛を受けているのは生まれた直後。誰しも覚えていないそんな記憶が蘇るってのは素敵なアイデアでした。

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嬰児の頃の記憶を思い出して母親に感謝の電話
いいシーンでした

脳科学者としてモーガン・フリーマンが出演しています。特に物語を動かすわけではない傍観者兼解説者。うわっ、役まわりが「トランセンデンス」での博士にそっくり
せっかく味のある役者が出ているのに役どころに個性が無いのも甚だしい。
また、いま悪役をやらせたら世界でも3本の指に入るだろうチェ・ミンシクが韓国マフィアのボス役で出演。存在感はありましたけど、「オールド・ボーイ」や「悪魔を見た」の時の異常なまでの憎々しさは感じられず、無難に収まってました。

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アメリカ映画じゃ彼の持ち味は出し切れませんね

ヒロインのスカーレット・ヨハンソンはさすがに求心力はありましたけど、イマイチ美しく描けてなかったなあ。もっとエロかわいい人なのに妙に泥臭い。
リュック・ベッソンらしい女性描写とも言えますが、同じアクションヒロインならアイアンマンシリーズのブラック・ウィドウのほうがずっと魅力的に描けています。
で、そのスカーレット・ヨハンソンですが、ハリウッド版「攻殻機動隊」の出演が決定しました。容姿と女優としての格という意味では彼女に文句はないんですけど、私的にはちょい不安

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空間の電子情報を視覚的に捉える
「攻殻」っぽい(>_<)

近年すっかりアクション女優となった彼女が素子を演じたら、「攻殻機動隊」自体が他の数多あるアクション映画に埋没してしまいそうで。
「ああ、またスカヨハ出演のヒロインアクションものね」みたいに。
特に本作には電波とデータを視覚的に感じて操るシーンがあって、これが絵的にモロ「攻殻」なんですよね。
先にやられちゃった~って感じ。
そんな不安を吹き飛ばすような映画になるといいのですが・・・。

フライト・ゲーム

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フライト・ゲーム(2014年/米・仏/ジャウマ・コレット=セラ監督)
70点
※ネタバレなし

旅客機を舞台にした映画は数多あります。
パニック、アクション、サスペンス、ヒューマンドラマ、ホラー・・・ヘビやゾンビが暴れる映画までありましたね。
リーアム・ニーソン主演とあって96時間的アクションを予想しちゃいがちですが、本作はジャンルとしてはサスペンス映画。なかなかの良作でした。

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<ストーリー>
航空保安官ビル・マークス(リーアム・ニーソン)は幼い娘が病死した悲しみから立ち直れず酒に溺れていた。一般客に紛れて乗り込んだニューヨーク発ロンドン行の航空機内でビルは差出人不明のメールを受信する。20分以内に指定口座に1億5,000万ドルを送金しなければ、20分毎に乗客を殺していくというのだ。
ビルの隣に居合わせた乗客ジェン(ジュリアン・ムーア)の協力を得て、調査を開始するビルだったが、犯人の姦計に阻まれて、乗務員、乗客、国土安全保障省の担当者から疑惑の念を抱かれる・・・

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一人銃を持って支配的な態度をとるビル
乗員・乗客の反感がつのります

旅客機映画と聞いて真っ先に思い浮かぶのは「エアポート」シリーズ。(我ながらおっさんやなw)
バート・ランカスター、チャールトン・ヘストン、ジャック・レモン、アラン・ドロン・・・いずれ劣らぬ名優たちによるパニックアクション。
個性豊かな乗客たちに焦点をあてて、群像劇の要素も取り入れた大作映画でした。
見応えあったなあ。
その後作られた旅客機映画もあの手この手でアイデアを打ち出して面白いんだけど、集団人間ドラマ的な要素が希薄になっていた点がちと残念でした。
旅客機モノに限ったことじゃないけどね。
本作はエアポートシリーズ程ではないものの、乗客、添乗員にも焦点が当たっていた点で少し懐かしさが感じられました。

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図らずもビルに協力する形となったジェン
彼女もまたあやしい?

原題は「Non Stop」。
タイトル通り矢継ぎ早に訪れる謎と人死に主人公ビルが振り回されます。
犯人は誰なのか、目的は何なのか、どうやって殺したのかといった普通の推理物の定番要素に加えて、タイムリミット、自身へ向けられる疑惑、旅客機自体の安全と言った要素を詰め込むに詰め込んでいますが、映画は何とかギリギリ破たん無く進行しました。
もっとも、謎解きについてはイマイチ釈然としません。
こちらの理解と検証よりはるかに早く物語が進んでしまいます。もう一度観返せば「ああ、なるほど」と思えるのかもしれませんが、正直、もう一度観たいと思うほど面白かったかというとそこは微妙w

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シーンは少ないながら、少女との交流シーンにはグッときました

意欲的なアイデアと脚本で臨んだであろう本作ですが、結局映画の屋台骨を支えたのはリーアム・ニーソンという役者の魅力だったことは否めません。
佇んでいるだけで歳を経た男の深みや哀愁を感じさせてくれるのですからね。
もし本作が無名の凡百の中年俳優を主人公に据えていたなら、最後まで観客を惹きつけられたかどうか。
映画の欠点すら包み隠してしまうほどの力量。稀有な役者の一人でしょう。
時々、一人の俳優の出演料が製作費の大半を占めるなんて話を聞きますが、彼ほどの俳優ならば観客も製作側も納得できるのではないでしょうか。

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最初はヤな女なのかなあ思ったのですが・・・

図らずもビルに協力することになる乗客ジェンにジュリアン・ムーア
あまり好きな女優さんではないのですが、本作の彼女はなかなか魅力的でした。
彼女は非常に演技力の優れた方なんですが、それだけにアクが強すぎるというか、彼女の存在だけで映画が振り回されることがあるんですよ。
本作では仰々しい演技も無く、また、必要以上に映画の中心に配置されることもなかったので、とてもイイ脇役となっていました。
魅力ムンムンのリーアム・ニーソンに負けない女優パワーがとてもバランスが良かったですね。

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ただ電話かけてるだけで絵になる
味がある
こんな男になりたい・・・(^_^;)

上映時間は107分
それだけに余分な描写が削られて、ビルを中心に物語が動いてテンポは良かったのですが、鑑賞後はあっさりとしたイメージしか残りません。
余韻を感じさせようという演出もあったのですがちょい弱い。
現代的作風と言えるかもしれませんが、せっかくなのであと20分増やして乗客たちに焦点を当てて、エアポートシリーズよろしく群像劇の香りを匂わせていても面白かったのでは?
テンポ良く爽快な映画はたくさんありますが、記憶にしっかり残る映画というのが最近は少ないような気がします。

007 私を愛したスパイ

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007 私を愛したスパイ(1977年/イギリス/ルイス・ギルバート監督)

個人的に思い出深い作品です。
私、本作を親父と一緒に劇場で観ています。当時7~8歳。
ラブシーンもあるのになあ・・・よく連れて行ったもんだw

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<ストーリー>
英ソの潜水艦が突如消息を絶った。
背後に海運王ストロンバーグ(クルト・ユルゲンス)の存在を掴んだMI6のジェームズ・ボンド中佐(ロジャー・ムーア)と、KGBのアニヤ・アマソワ少佐(バーバラ・バック)は共同戦線を張るが、彼らの前にストロンバーグの刺客ジョーズ(リチャード・キール)の魔の手が迫る・・・

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歴代ボンドで一番タキシードが似合うのはムーアかも

ボンドが3代目ロジャー・ムーアに変わって3作目の本作は、シリーズ10作目とあって前作「黄金銃を持つ男」の倍の1,400万ドルの巨費を投じて作られました。
ストロンバーグの海中要塞、超巨大タンカーと原潜、景気の良い爆発シーン、そして目玉だった潜水艇変形仕様のロータス・エスプリ
見るからに背景に豊潤な予算を感じさせる画面創り
実物大セットの完成度、ミニチュアを感じさせない合成技術などは、正直、当時の日本の特撮映画ではかなわないモノがありましたね。
技術というより単純に予算と人手と時間のかけ方が桁違いだったんじゃないかなあ。
公開年はスター・ウォーズの1作目と同年。CGはもちろん、SFXという言葉すらなかった当時、特撮の最高峰映画の一つであったのかもしれません。

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巨大タンカーに吸い込まれる原子力潜水艦
ミニチュアに見えないんだよなあ

一方、アクションシーンは現代からするとずいぶんとまったりとしています。
役者の動きものっそりとしてますし、シーンの繋ぎ、テンポ、いずれも現代のアクション映画を見慣れた目には間延びしたように思えます。
それでもその十数年前に製作されたコネリー版の007に比べればアップテンポになりました。あちらは今観ると古典映画的ですらあるのですよ。
とは言え、時代はスピルバーグ&ルーカスによる痛快アクション映画黎明期。
スター・ウォーズの痛快アクションからすると時代遅れ感が生じつつあったのかなあ。
アクション映画をリードするようなイメージのある007シリーズですけれど、実はリードしていたのはコネリー版時代の数作だけで、後は意外にも後手に回っていたのかもしれませんね。

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美しきKGBの女スパイ、アニヤ
バーバラ・バックはユダヤ系

それでもやっぱり007は007。
次から次に訪れるスペクタキュラーな見せ場の数々は退屈とは無縁の世界。
中でもやっぱりボンドカー、ロータス・エスプリの活躍にはもう大興奮。
世界中を魅了したと言っても過言じゃなかったのでは。
小学生だった私にとってもたまらんかったですよ。
変形!水陸両用!武器満載!ボンドカー!おまけに当時ブームだったスーパーカーの大活躍とあれば少年の心が躍らないわけがない。
ロータス・エスプリ(とボンドガールのオッ〇イw)は少年ばいきんダディの心にいつまでも残ったのでありました。
このエスプリに関しては後日ガッツリと記事させて頂きますので、乞うご期待。

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何といっても本作はロータス・エスプリ!

コネリーほどの評価はないロジャー・ムーアでありますが、それでも低迷しかけたシリーズの人気を再燃させたいわば007中興の祖。
私も断然コネリー派だったんですけれど、今観るとムーアはムーアで味わいがありますね
金髪碧眼。いかにもホワイトアングロサクソンの上流階級然とした佇まいという意味ではシリーズ屈指のボンド像。
しかし洗練されているというよりは妙にヘラヘラしているイメージがあるのですが、広川太一郎の吹き替えがなお一層そういう印象を強くしているのかもしれません。
アクションシーンでもあまり身体能力が高そうには見えないです。
ダニエル・クレイグの鍛え上げられたエージェント感というのは全然ありません。
まあ、それも含めてムーアボンドの魅力なのでしょう。

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私にとってのムーアって終始こういう顔してるイメージw

ボンドガールにはバーバラ・バック
一応役どころはソ連最強の女スパイ・トリプルXなのですが、これがもう悲しいくらいスパイに見えないw「意思ある女性」というキャラクターじゃなくて、男に都合の良いイメージとしての「女」キャラなんですね。
70年代以前のアクション映画の女性キャラ造形はこんなもんだったのかなあ。
現代の映画との違いはかなり驚きますよ。
おまけに演技はおせじにも上手とは言えません。演技指導的にもやり手の女スパイに見せようという気ゼロだったのでは?wその代りと言ってはなんですが、ルックスは超一級古き良きボンドガールと言えるのかもしれません。
ちなみに彼女はリンゴ・スターの奥さんだったりします。

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すんげ~美人です
そこは異論ありません

敵ボス、ストロンバーグには名優クルト・ユルゲンス
と言っても私、彼の映画は「眼下の敵」くらいしか観たことないんですけど。
ちなみに「眼下の敵」は潜水艦映画の古典にして、今なおすごく面白い作品ですよ。
海つながりの配役?そんなわけないか。

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「眼下の敵」の頃からハゲてたっけ?
終始帽子かぶってた印象

また本作にはボンドシリーズ史上屈指の人気悪役キャラ、ジョーズが出ています。
あまりの人気に次々作の「ムーンレイカー」にも出演していました。
007の悪役が連続出演したのって彼くらいなのかな?
身長218センチの超巨漢。馬場やシャックよりでけえ!すげえ!
動きはのっそりしているものの怪力と不死身の体、そして何でも食いちぎる鋼鉄の歯にボンドも大苦戦でした。本作の最後には人食いザメの生簀に落とされますが、逆にサメを食い殺しちゃいましたw

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ちなみにスピルバーグの「ジョーズ」公開は1975年

最後に。
私事ですが、本作公開時に私を映画館に連れて行った親父は大の007ファン
特にコネリーボンドの大ファンで、親父の長年の七三ヘア&こだわりのスーツスタイルはまさしく60年代のコネリーボンド風。それをサラリーマン生活40年以上通していたのは、我が親ながら微笑ましく思っちゃったり。
ちなみにカメラメーカーのミノルタで働いていたのですが、本作にはボンドたちが奪い合うマイクロフィルムに「ミノルタ」のロゴが登場します。
自分の大好きな007に働いている会社の名前がスクリーンに映し出されたときはうれしかったんだろうな~。
親父は未だ健在。大阪の実家で戦車だの戦闘機だのに囲まれて余生を過ごしています。今度、本作を一緒に観に行った思い出話でもしてみよう(^_^;)

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JOYRIDE社 1/18 007 私を愛したスパイ ロータス・エスプリ

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先日紹介したAUTOart社の1/18インターセプターがあまりにも良い出来だったので、同じく子供の頃から思い入れのある007 私を愛したスパイ」仕様のロータス・エスプリが欲しくなって1/18モデルを探してみたところ、同じAUTOart社から商品化されているじゃありませんか。しかし残念ながら潜水艇へと変形できるわけではなく、潜水艇形態と自動車形態のそれぞれで商品化。
しかもネット情報によると発売年が古く、現在のAUTOart社の精密さには及ばないとのことで購入を見合わせ。
で、さらに探してみるとJOYRIDEというあまり聞いたことのないメーカーから変形タイプが発売されている(いた)!
幸運にもヤフオクに出品されていたのでゲットしてしまいました。

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ザッパーン!

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インパネも自動車モードから潜水艇モードへ!

では商品解説前に恒例の薀蓄とまいりましょうw
前回記事でも紹介しましたが、この車は1977年公開シリーズ10作目「007 私を愛したスパイ」で登場したボンドカー。エスプリの発売開始は1976ですので、映画で使われたのは最初期のS1と呼ばれるタイプでしょう。

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直線的で斬新なスタイリング!

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水中でも同様!

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なかなか良く再現されています

当時のロータスは販売不振だったそうで、軽スポーツカーメーカーのイメージから脱却を図り本格スポーツカーへの参入を図る意味で社運を賭けた製品だったようです。
デザインはあのジウジアーロ。
なるほど、と思わせる一目見たら心惹かれるシルエットですよね。
デロリアン、いすゞ117クーペ、BMW M1・・・私の好きな車はやはりジウジアーロの手によるものが多い。

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さて、そのエスプリですが動力性能は決して高くありません。
エンジンは1,971cc直4DOHC、160馬力。当時ブームだったスーパーカーの代表格、カウンタックや512BBの悪魔的スペックに比べればかなり見劣りがします。動力性能以外の信頼性の面でも不安定だったようで、実際映画撮影中にも頻繁に壊れていたようです。
ま、でもこの車の魅力はそんなところにはありませんし、本作では何といってもボンドカー!
実車性能はさておき、潜水艇にも変形するウルトラスーパーカーなのです。

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リアハッチ内にカバン積めるんだなあ・・・意外

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ボンネットにはスペアタイア

驚くことに、撮影に臨んで実際に稼働する潜水艇としてエスプリを改造してしまったようですね。映画を観れば分かりますが、登場シーンのほとんどはミニチュアではなく実車(艇?)。
但し、もちろん映画のように変形はしませんし、気密性のある車内を維持できたわけではなく、潜水服のクルーが乗り込んで動かしていたようです。いわゆるウェット・サブタイプと呼ばれる潜水艇ですね。
さらには、海中に没するシーン、変形シーンなどなど場面によってそれぞれ専用のエスプリを計7台用意したそうです。
ちなみに海中からビーチに浮上してくるシーンは自走ではなくワイヤーで引っ張っていたのだとか。まあ、そりゃそうでしょうねw

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ストロンバーグの海底基地に接近するエスプリ
このシーンはおそらくミニチュア

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海からビーチへと上がってくるエスプリ
ワイヤーで引っ張っていたそうです

この潜水艇形態のエスプリの別名は「ウェット・ネリー(Wet Nellie)」
「007は二度死ぬ」で出てきたジャイロコプターが「リトル・ネリー(Little Nellie)」と呼ばれていたことから派生したようですが、映画内でそう呼ばれていたかどうかは不明。
さらにリトル・ネリーという別名自体、イギリスの大昔の有名女優に由来するそうですが、これはかなりイギリスローカルな知識なのかもしれません。
日本じゃウェット・ネリーという名前すら浸透してないですからね。
ま、薀蓄の一つとしてご紹介しました。

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エスプリ見参!
初登場シーンです

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もちろんナンバーも同じ

私は8歳の頃これを映画館で観ました。
唖然呆然、羨望のまなざしで画面に食い入ったように記憶しています。
横で見ていた親父も興奮していたように思いますね。
水陸両用車って男の憧れじゃないですか。
それをボンドカーという形でここまでスマートにカッコよく登場してきたわけですから、世界中の男たちが痺れたでしょうね。
ちなみに、撮影で使われた潜水艇型エスプリが2013年9月にオークションで落札されています。落札価格は96万ドル(意外に安い?)。
手に入れたのはテスラ・モーターズのCEOとのこと。
まあ、宣伝的意味合いもあったのでしょうが、彼は映画同様に変形潜水艇に改造すると言っているそうです。やはりこの車に魅了された人間は多いのですね。

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劇中ではちゃんと潜舵が動きます

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もちろんラダーも動きます

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本品はラダーは動きますが
残念ながら潜舵の出し入れ動きはありません

さて、本品に話を戻します。
変形機構がモデルカーで完全再現?と思ったのですが、残念ながら潜舵、潜望鏡、スクリュー&ラダーは差し替え取付式。
まあ、無理もないですけど、そのおかげで両形態でのプロポーションが維持できているような気がします。バンダイあたりが本気で取り組めば差替え無しの完全変形も作れるかもしれませんがね。

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パッケージはこんな感じ

まず自動車形態。
プロポーション自体に文句有りません。
ジウジアーロデザインの美しい最初期エスプリが見事に再現されています。
しかし残念な点が二つ。
一つは、バックミラーが無い!こと。これはビックリw欠品じゃないですよ。
仕様であると但し書きまでついています。
変形機構に影響があるわけでもないですし、省略された理由は不明。
箱絵のエスプリにはバックミラーがあるのに・・・
ただ、鋭角的でシンプルなフォルムのおかげでバックミラーが無いことがあまり気にならないのが不幸中の幸いかな。
で、映画でのエスプリはどうだったかというと、右のバックミラーはあるのに左は無いんですね。これは戦闘中に取れたものではなく、登場当初からこの仕様。
ですから、「私を愛したスパイ」仕様のモデルカーで左にバックミラーがあるとすればそれは間違いということになります。(ちなみにAUTOart社製の自動車形態は左右にバックミラー有り、潜水艇形態は左右とも無しです)
とは言えやっぱり気になる・・・。いつか他のモデルカーから借用して右側だけミラーを取り付けてみようかなあと思っています。

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おいおい・・・(笑)
まあ、左側が無いのは正解だけど

もう一点。
これは写真を観て頂いた方がいいでしょう。ドアウィンドウとリアサイドウィンドウを結ぶ黒いラインが一直線じゃないんですね。
映画でも、他の通常のエスプリの写真を観てもここは一直線です。
段差があることで流れるような美しいフォルムが台無し。
これまた変形機構に関係の無いところなので、なんでこんな仕様にしちゃったのかとても残念。
あんまり残念なんで、一直線になるようにリアサイドウィンドウ下部を自分で塗装しちゃいました。マスキングテープ貼って、タミヤの艶消し黒ペン型塗料で。
模型塗料買ったの小学生以来だよw
どうです?ここに塗装を加えるだけでずっと良くなったでしょ。

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塗装前
ドアウィンドウとリアサイドウィンドウの下のラインをご注目

ドア、ボンネット、リアハッチは開閉可。
リアナンバープレート内の煙幕セメント発射口の開閉ギミックも再現されています。
スペアタイヤや直4エンジンも一応ありますし、コックピット内部も再現されていますが、完成度については残念ながら現行のAUTOart社製品には及びません。
意外なことにリトラクタブルライトの開閉が無いw
普通の1/18モデルカーなら外さないギミックですが、映画の中で開閉シーンがないので省いたのでしょうか。ある意味徹底していますw

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ちゃんとリアナンバーが開きます

またドアガラスがありませんが、これはシェードを取り付けるための省略でしょう。でも差替え式にして欲しかったなあとは思います。
全体の塗装、部品合わせや材質のレベルは、先日のインターセプターを10とするならばせいぜい6~7程度。
しかし価格もインターセプターの半額程度なので、精密なモデルカーというより玩具よりの商品なのかもしれませんね。

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煙幕セメント発射!

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リアスタイルが良いのが名車の必須条件
潜水艇だけどw

次いで潜水艇形態。
こちらもフォルムの再現は上々です。先述のように変形は差し替え式ですが、ここは私的にはさほどこだわりはないのでOK。
潜望鏡などの上部突起部品も取付式ながら再現されています。
フロントミサイル射出口ギミックもしっかり再現。ライトの開閉ないのになあw
映画では垂直ミサイルでヘリコプターを撃墜するのですが、実はこの画面は実に曖昧。発射シーンは一瞬で、リアハッチシェードから強引にミサイルが飛び出しているように見えます。発射口等の描写が無いんですね。
従ってこのギミックも捨象されているのですが、これは正解でしょう。
他社製品には4門の垂直ミサイル発射口がついているものもあるようですが、あれは画面外の公式設定に基づいたものなのかなあ?

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劇中ではタイヤは内向きにしまい込まれますが・・・

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モデルカーでは外向きに折りたたみ
まあ、気にならない違いですけど(^_^;)

フロントとリアのシェードはありません。
差替え式にすることも可能だったと思うのでやや残念ですね。
4枚の潜舵とラダーは稼働しませんが、まあこれはいいや。
あと、映画では車体下腹部から小さな機雷射出口もあるのですが省略
これも小さなところなので気になりません。

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リアシェードから強引に垂直ミサイルが発射されています

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潜望鏡
本品でも再現

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前部ミサイル発射口
本品でも再現

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出し入れ可能な潜舵
残念ながら本品では再現されてませんでした

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下部機雷射出口
本品にはありませんでした

全体的に不満点もありますが、1/18としては本品が唯一の変形モデル
ギミックや細部に省略はあるものの、フォルムの再現性は高く、飾っておくにも満足の出来るレベルでしょう。
2005年発売とあって、残念ながら新品の入手は日本でも海外でもほぼ不可能。
オークションでもあまり出回ることの少ないレアものですが、それほどプレミアはついてはいないようです。
ご興味のある方なら買って損の無い商品だと思います。

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スター・ウォーズ新聞 Vol.1

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スター・ウォーズ新聞 Vol.1(日刊スポーツ発行/2015年1月9日)

スター・ウォーズ新聞なるものが今年1月に日刊スポーツより発行されました。
大きさはタブロイド判。いわゆる夕刊紙サイズで全カラー32ページ、350円。

最近、スポーツ新聞社などからこの手の企画モノ新聞の発行が目立っていますね。
同じ日刊スポーツのAKB新聞プリキュア新聞
去年のハリウッド版ゴジラの際には夕刊フジからゴジラ新聞が発行されました。
新聞の発行部数が年々減少する時代、新聞社もあの手この手で生き残り策を探っているというところでしょうか。

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では、この手のものがブームや話題に乗っただけの安易な一発企画なのかと言うと決してそんなことはなく、なかなかマニアックで深い知識や情報、ユーモアが満載で結構楽しめる内容となっています。
実は私はそこそこのスター・ウォーズマニアでして(控えめに申し上げているのはSWに関しては世界的にとんでもないマニアが多数いるからw)、生半可な読み物は歯牙にかけるつもりはなかったのですが、本誌は実に面白い。
この企画だけのにわか者ではなく、相当のスター・ウォーズ好きが書いているのだろうなあと分かるので読んでいてとても好感が持てます。

いくつか気になった記事をご紹介しましょう。
今回の画像は大きめに載せていますので、等倍でご覧になって頂くと記事自体を読んで頂けると思います。

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これは反乱同盟軍側の記事

まず、EpⅣで描かれたヤヴィンの戦いをネタにした疑似新聞記事
愉快なのは、これを帝国側・反乱同盟軍側の双方の視点からそれぞれ記事にしていること。反乱同盟軍から見たら圧政を敷くクソ帝国に歴史的大勝利ヒャッホー!になっていますし、帝国からしたら治安を乱すゲリラどもが騒いだ、となっています。
両者を比較して読むと思わずニヤニヤしちゃいますね。
さらに記事の端々にこだわりとユーモアがあります。
例えば勲章式(EpⅣのラストシーンですね)には、ルークの旧友にしてX-WINGのレッド中隊隊員ウェッジ・アンティリーズは出席していないのですが、これも記事の隅の方にしっかり記載されていたり。
デス・スターの司令官で本戦闘で死んだグランドモフ・ターキンを偲んでその著書が緊急増刷されるという広告が載っていたり。

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こちらは帝国側

SWシリーズのキャラ相関図(タブロイド判見開きのさらに倍サイズ)は、ファンなら基本かもしれませんが、人物は101名まで及んでいて、私でも名前を聞いてすぐに顔が浮かばないキャラまで記載されていて読みごたえがありました。
例えば・・・マニアなら、シュ・マーイ、マス・アミダ、グリード、ビブ・フォーチュナくらいは知っているでしょうが(スピンオフ小説にも出てきますからね)、ウーハー、ナイン・ナンとか名前知らなかったなあ・・・悔しいw
皆さん、ご存知でした?

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全員の顔と名前を知っている人はスゴイ・・・

X-WINGのメカ薀蓄も基本とは言えやはり読み込んでしまいます。
それも解説が表面的ではなく、過去のメカの系譜や性能の掘り下げ記述があるからなんですね。
プラスアルファで、バンダイのプラモデルの宣伝や、新作では青いマーキングX-WINGが登場するかも?なんて最新情報がさりげなく載せられていてこれまた楽しい限り。

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池やんさん、ご参考になりました?

おもしろ企画記事も決して適当ではありません。
「あなたのダークサイ度」は、質問の選択肢によりA~Eのダークサイド度数を測る企画。それぞれダークサイ度を、パルパティーン、ヴェイダー、ヤングアナキン、少年アナキン、ヨーダに分けて解説。
ちゃんとSW好きの精神科医の監修に基づいているので、マニアが読んでも矛盾や浅い内容が無いので読んでて安心できます。
細部まできちんと作ってるなあ。

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中でも一番楽しかったのは、藤岡弘、を立会人に据えた名だたるジェダイとシス10人による空想トーナメント戦企画。題して「最強の侍選手権」。
タイトルからも分かるように、藤岡弘、はジェダイの教えが侍の心構えそのものであると熱く語り、10人各々の特徴と戦いの行方を解説しています。
ちょっと藤岡弘、がSWに詳しすぎるのが気になるんですけど・・・w
これ、藤岡本人談だけじゃなくて、当然記者のサポートや追加もあってなんだろうなあ。

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すんげえワクワクする企画!

ちなみに藤岡弘、は自己抑制と自己犠牲こそ武士道と語っていることからもシスが嫌いのようw一番評価してるのは、「真の侍像」とまで評してオビ=ワン。
このトーナメント、みなさんなら誰が優勝すると思いますか?
純粋なライトセイバー技術を考えれば私はヴァーパッドの使い手、メイスが一番強いと思うんですよ。EpⅢでパルパティーンを追い詰めたのは、パルパティーンの芝居じゃなくてマジだったというのが私の見解。
その上で、実際に劇中で明らかになっている勝敗は以下。

モール>クワイ=ガン
若オビ=ワン>モール
ドゥークー>若オビ=ワン
ヨーダ≧ドゥークー
アナキン>ドゥークー
メイス>パルパティーン
若オビ=ワン>アナキン
ヨーダ=パルパティーン
ヴェイダー>老オビ=ワン
ルーク>ヴェイダー

う~ん・・・少なくともこれを見るとモール、クワイ=ガン、ドゥークー、ヴェイダーの優勝はないでしょうね。
個人的にはルークもない。と言うのも、ヴェイダーは体の大半を失って全盛期のアナキンの半分程度のフォース、ライトセイバー技量にまで落ちていて、そのヴェイダーに勝ろうともクローン大戦時代のマスターたちの技量には及ばないと考えるからです。
ヨーダ、メイス、オビ=ワン。この3人の誰かでしょうね。

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スター・ウォーズ新聞は今後続いていくようです。次回は5月の発売予定。
侍選手権も次回以降に実際のバトルとなるよう。
楽しみですね~。

※追伸
今回の記事を契機に「スター・ウォーズ」書庫作りました。これからSW記事が増えそうなんで。今までコテゴリーごとにバラバラの書庫だったものを一つにまとめましたので、ご興味のある方はご笑覧頂ければ幸いです<m(__)m>

ハピネスチャージプリキュア!ショー in よみうりランド

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私のゆうゆうへの思いの詳細はこちらこちら

先日、よみうりランドにプリキュアショーを観に行きました。
無料入場券を頂いたので。自宅から車で10分程度なので気楽に行けます。
残念ながら新シリーズの「GO!プリンセスプリキュア」ではなかったのですが、私的にはむしろ終わってしまったハピネスチャージを名残惜しむ意味で良かったです。
愛する(言っちゃった)ゆうゆう=キュアハニーに最後の別れを告げて参りました・・・・
あ、一人で行ったわけじゃありませんよ。
もちろん二人の娘を連れて、娘たちのために家族サービスのために行ったのです。

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断トツで輝いてるよな、ゆうゆう

プリキュアショーを見たのは久々。前回はスイートでした。
よみうりランドは首都圏でもプリキュアショーの盛んな場所の一つでして、屋外ステージにはプリキュア好きの小さな女の子たちとその家族、そして大玉下げた一眼レフやプロ顔負けの動画撮影機材を持参する大きなお友達がわんさか詰めかけておりました。
まあ、中には娘にやむを得ず付き合っているかのようなフリをした隠れ大友さんもいるのでしょう。まったくけしからん話しです。

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マジかわいいから困る・・・

ところで・・・カメラ抱えた大友さん。以前よりもはるかに増えているんですが・・・ざっと20人くらいいたでしょうか。
ほぼ同じ穴のムジナの私が言うのも何ですが、いや、同じ穴のムジナだから言わせてもらいますが、ぶっちゃけ不気味ですw
ちなみに司会のお姉さんは「Youtubeなどにアップする際はお客様の顔が映らないようにしてください」と釘を刺していました。

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一応、よみうりランド写真もw

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このラーメン、800円でした・・・

ショータイムは30分強。
オレスキーに苦戦するハニー、ラブリー、プリンセス。現れたフォーチュンの活躍でなんとかオレスキーを退けたものの反省しきり。フォーチュンのアイデアでダンス大会に出て結束を高めようとする。
それを妨害するオレスキーとダンスの天才を名乗るサイアーク。せっかく息があってきた4人なのに、ハニーはタコ、ラブリーはカニ、プリセンスはカエルのような変なノリに変えられてしまう。
しかし最後は会場の応援で妨害を跳ね返してサイアークたちをやっつけるのでした。

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どうせならホッシーワ様がよかったなあ・・・

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モブキャラ1

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モブキャラ2

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モブキャラ3

今年小学校に上がる長女はちょい冷静に見ていたようですが、4歳の次女は夢中になって「がんばれ~」と応援していました。まあ、その次女を膝に抱えていた父親は次女以上に心の中でひたすらゆうゆうを応援していたんですけどね。
次女の頭越しに自慢のFZ200でバシャバシャと連射撮影をかます父。
気が付けば8Gほどデータを消費し、娘たちを写す容量がなくなってしまうところでした。ヤベー、ヤベー。

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惚れてまうやろ~!

当然写真の9割はゆうゆう。
やっぱゆうゆうはかわいいわ~。
アニメのゆうゆうがかわいいのは神の摂理のように当然のことですが、半着ぐるみのショーのゆうゆうまでもかわいく思えるとはなあ・・・意外。
こりゃあ私の思いも本物か?(キモッ)
カメラ大友の兄ちゃんたち、さっきは不気味とか言ってごめんよ。
やっぱ完全に同じ穴のムジナだわ。

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登場していなかった初期EDダンスも披露
ファンにとっては幻?!

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ラ、ラ、ラ、プリキュ~アッ!

ゆうゆうは本当に素晴らしいキャラでしたね。
全てを包み込んで浄化するかのような深い母性と慈愛。
近年にはない器の大きさというものを感じさせるキャラでした。
作中、どう考えても本当はゆうゆうはぶっちぎりで強かったと思うんですよ。
ファントムはもちろん、レッドですら本当はゆうゆう一人で倒せたんじゃないかなあ。でもそれをしなかったのは、ゆうゆうの真に大きな愛と友人たちを成長を見通す優れた目があったからなんじゃないかな。
本当の神様はゆうゆうだと私は思うんですね。かわいいし。もうかわいさ神様級。
ええ、自覚しています。さっきから自分でも何言ってんだか意味不明ですわw

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は~ちみ~つ太陽と~♪

深夜アニメなどのキャラクターは、エヴァ以来の世界系的文法を継承してやたら精神的な弱さを内包したりしてるじゃないですか。(まだ続けるか)
よー知りませんが。(知らないなら言うなw)
アメリカンヒーローですら「ダークナイト」以来、正義がブレブレになったりするのが流行りだったりするんだけど、たまにはそういう話やキャラもいいんですけど多過ぎ。プリキュアですらそういう要素が入っていたりしますからね。
プリキュアシリーズも迷走するくらいならもういっそ新しいプリキュアはゆうゆうを主役に据えて、一年間ゆうゆう一人が七色の飯を求めて世界中を旅するようなお話しにしちゃっても良かったんじゃないかな。
「花の子ルンルン」のようにね。
タイトルは「飯の子ゆうゆう」でいいんじゃないでしょうか。
プリキュア新機軸ということで。
話しは変わりますが、こんなところまで読ませてしまってごめんなさい。
イカれた中年男の戯言ですので読み飛ばしてもらって良かったんですよ。はい。

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トリプルダンスハニーバトンが決まってるぅ!

で、ロストゆうゆうで毎日の生活に支障をきたすんじゃないかと心配していたんですけれど、(実際、長女から「パパぁ、ハニーに会えなくなっちゃったね」と慰められました。父がハニー超ラブだったことはバレバレだんですな・・・)このブロークンハートを癒してくれたのは他ならぬ「GO!プリンセスプリキュア」だったり。
変身バンクがスイート以来の美しさだとか、作画が気合入ってるとか、キャラが予想以上に立ってるなあとかそういうのもあるんですけど、何より素晴らしいのが彼女!そう、天ノ川きらら=キュアトゥインクル!!
ゆうゆう以上に大物の予感。もう大友全員ワクワクっすわ。
何にワクワクかはさておき、次回の第4話が初変身回。
括目して待っておりますよ。ヒャッホー!

・・・・ごめんよ、ゆうゆう。浮気な俺を許してくれ。

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やべ~
惚れてまうやろ~ver.2

127時間

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127時間(2010年/米・英/ダニー・ボイル監督)
85点
※ネタバレあり

この手の話しでノンフィクションだと言ってしまうと完全にネタバレになりますねw
しかし本作の場合、主人公の結末がどうなるかに重きを置くサスペンス映画ではなく、その過程を濃密に描くことを旨としているのでそれでもいいのでしょう。
そしてその趣旨は十二分に全うされていた良作だと思います。

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<ストーリー>
アーロン・ラルストン(ジェームズ・フランコ)は週末を利用し、誰に行先を告げることも無く一人キャニオンランス国立公園へと向かった。心の赴くまま岩場を駆けるアーロンだったが、岩の隙間に滑落し、右手を岩と壁に挟まれて抜け出せなくなってしまう。叫べども誰にも声は届かず、食料も水もほんのわずかしか持っていない。
小さな万能ナイフで岩を削ろうとするが到底手を外すことは叶わなかった。万策尽き、孤独の中、刻々と時は過ぎてアーロンの心身は極限まで衰弱していく・・・
登山家アーロン・ラルストンの自伝に基づくノンフィクション映画です。

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一人キャニオニングを楽しむ事故前のアーロン

全編のほとんどがアーロン一人を中心に描かれています。
彼がこの事件で体験したこと、その心情、その恐怖、その葛藤
結果としての生への渇望と最後の行動
本作はそれを単に丁寧に描くだけでなく、観客自身がいかにアーロンに近づくことが出来るかを追及しているように思いますし、それが見事に成功しています。
これは明らかに監督の手柄
一見奇をてらったような斬新な映像が多用されますが、これは観客が感覚的にアーロンの主観に近づくための手段。決して外連ではないのです。

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右手を挟まれて荒野にたった一人残されるアーロン
恐怖の始まりです

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ビデオカメラの前でおどけて一人芝居
必至で正気を保とうとします

最大の見せ場はアーロンが選択する脱出手段となりますが、それまでの積み重ねにより観客自身がアーロンと重なっているためにその選択が身に染みると同時に、痛々しさも恐ろしいほど伝わってきます。
見事な映像表現と演出です。
あまりにお見事過ぎて気の弱い方にはちょっと鑑賞をお勧めできないくらいw

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飢えと疲労は頂点に
決断のときが迫ります

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気の弱い方は正視できないかも・・・

さらに、アーロンが味わう生還の解放感と生きていることの素晴らしさの再確認は、従来の映画作品の中でも屈指の表現だったのではないでしょうか。
「ああ、普通に生きていられるだけで何と幸せなことか」と痛感させてくれますよ。日々ストレスに晒されながら生きている我々だからこそこういう映画が自身の境遇を省みるきっかけになるかもしれませんね。

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朦朧とした意識の中で過去がフラッシュバック

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印象的な三分割映像が多用されます

話しは変わりますが、先日、「まんが日本昔ばなし」の一編を紹介した際に、他にも怖い話がありましたねという趣旨のコメントを頂きまして。
私も非常に興味深くて、その後ネットで検索をしてみたのです。
その中で長い放映の中でも屈指の恐さと言われる「吉作落とし(昭和62年10月29日放送)」という話があるのですが、これが本作にとても似たシチュエーションなのですよ。

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わずかな油断で窮地に立つのは「127時間」と同じ

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断崖に一人取り残される恐怖と絶望感

お話しははこうです。
昔、岩壁に生えるきのこの採取を生業にする吉作(きっさく)という男がいた。
ある日吉作は今まで登ったことのない手つかずの岩山に登ってみたところ、案の定たくさんのきのこが採れた。断崖絶壁に縄一本でぶら下がっていた吉作がふと下を見ると人一人ようやく座れる程度の岩棚があった。
一休みしようと縄の端を掴んでギリギリで棚に降りた吉作。ひとしきり休んで上を見上げると、縄の端はとても届かない高さにある。
縄は吉作の体重で伸び切っていたので、話した途端に縮んでしまっていたのだ。
棚から一歩も動けなくなった吉作はただ叫んで助けを呼ぶことしかできなかったが、幾日を過ぎても誰にも声は届かなかった。
やがて飢えと疲れで朦朧となった吉作は・・・

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万策尽きた吉作に飢えと疲労が襲います

てな感じ。これがね、もう怖いのなんのって。
断崖絶壁の途中、人間がようやく腰かけられる程度の岩棚にたった一人で取り残されるんですよ。助かる手段も見当たらない。誰にも声は届かない。
背筋がザワッとする恐怖。完全に子供向けアニメーションの範疇超えていますw
「怖さ」と言う意味では「吉作落とし」は本作に負けてない。
むしろ「吉作落とし」の方が怖いくらい。
30年近く前の10分間のアニメーションがですよ。
もちろん本作は「怖さ」以外の多くのテーマがありますし、劇場作品と短編アニメを同じ土俵で比較すること自体ナンセンスなので作品の優劣など付けませんが、しかし改めて「まんが日本昔ばなし」の奥深さを痛感した次第なのです。
本作を鑑賞された方、これから鑑賞されようという方、是非「吉作落とし」もご覧になってみてください。ネット上で鑑賞可能ですよ。

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吉作が下した決断とは・・・

スペースガンダムV 1/55 VF-1J

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スペースガンダムV 1/55 VF-1J

先日、中野ブロードウェイ某所にてとんでもない商品を見つけて衝動買いしてしまいました。色々語るよりまずはご覧になって頂くのが一番でしょう。
はい、ドン!

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左が「スペースガンダムV」
当然かw

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本家パッケージの一条輝も初期設定画なので変なんですけどね

中身はほぼタカトクのバルキリーVF-1J。パッケージも酷似しています。
実際タカトク版と比較して頂いた方がいいですね。
と、ここで当ブログのバルキリー記事を以前から読んで頂いている方ならお気づきかもしれません。
そう。私、タカトク版のVF-1Jは持っていなかったんですよ。
バンダイ再販版はちょっと前に入手していたのですが。
実は最近町田にある大型ブックオフで偶然見つけてしまって。
タカトク版は発売から丸30年が経過して状態の良いモノが年々少なくなっていたので、値段も手ごろだったのでついゲットしてしまった次第。

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小さくて分かりにくいですがびっしりハングル文字
どうやら1990年くらいの商品らしいのですが・・・

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G「A」NDAM
まさか、スペースガンダムVの製作会社の版権を得ていない?
ダブルパチもんか?!

全面に埋め尽くされたハングル文字・・・どうやら韓国製のパチ商品のようです。
それにしてもよく出来ています。似ています。
ハングルは全く分かりませんので何が書いてあるやらさっぱりですが・・・バルキリーのイラストは完全にマクロスのそれ。
しかし、キャラクター紹介で本来記載されるべき輝とミンメイの姿は無く、見たこともないオリジナルキャラとなっています。う~~~む。
で、唯一分かるタイトルとなるアルファベットの文字を見る・・・
「SPACE GANDAM V」。
ガ、ガンダム?綴りが違うけどガンダム(ギャンダムか?)と書いてある。
って、マクロスやん。なんでガンダム??

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ちゃんとガンポッドや説明書も添付
両方ともシールも貼っていない開封未使用品

しかしこれがハングルの分からない私の唯一とも言える手がかり。
で、検索してみると・・・あった、あった。
何と1983年に韓国で公開された劇場アニメだったんですね。
ウィキペディアに詳細な記載もありますし、動画がYou〇ubeにも上がっています。
どうやらロボットデザインだけバルキリーを借りた全く別物の韓国オリジナルアニメのようです。
日本の感覚で言うと、70年代前半のテレビアニメという感じ。
当然、全編ハングルですし日本語字幕など無いのでストーリーはよく分かりませんが、映像を見る限りはマクロスともガンダムともまるで違うスーパーロボット系?のお話しのようです。

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岩の間から出てくるバル・・もとい、スペースガンダムV

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操縦席に飛び乗る主人公
ライディーンっぽいけど、服装はキャシャーン?

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スーパーロボット系なのに操縦席はリアル

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目、じゃなかったカメラアイはブルー
ビームが出ます

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ちゃんと三段変形しますよ
あんまり意味ないけど

岩の中からガンダムVが出てくるし、操縦席に乗り込む描写もなんだかライディーンのフェードインみたいだし。
見慣れたバルキリーが巨大ネズミや巨大蜘蛛と格闘するってものすごい新鮮w
映像は確かに荒いのですが・・・まあ、肝心の本家であるTV版マクロスのあの超絶作画を知っている身としては笑えませんね。
パクリだ何だというご意見もあるでしょうし、実際その通りだとは思うのですが、ここは少なくとも当時の日本のアニメがこれほど真似をしたくなるほど魅力的だったということで好意的に解釈したいですね。

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バル・・・もといスペースガンダムV対巨大ネズミ
ガッチャマン調?

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バル・・・じゃなくてスペースガンダムV対巨大蜘蛛
ミクロイドS調?

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バルキ・・・スペースガンダムV対あ、悪魔?
デビルマン調?

さて、では中身商品を見ていきましょう。
パッと見と同様にほとんどタカトク版バルキリーそのものです。
大きさ、変形機構、細部のデザイン。これは日本の製品を見て模倣したというよりは、金型の流用があったと解釈すべきかなあ。
それくらいまんまです。とは言え、日本のオリジナルと比べるとかなり粗悪です。

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間違いさがしw

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カチっと感が違います

まず質感。
軽い!タカトク版は要所要所ダイキャストを使用していましたが、こちらは大部分をプラスチックに頼っています。おそらく耐久性は雲泥の差があるでしょう。
また部品一つ一つの精度というか出来が良くないので、商品自体荒い印象を受けますし、変形してもカチッと決まらない。

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ガウォーク形態
スペースガンダムVの方はグラグラでちゃんと立てませんでした

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ファイター形態
車輪がちゃんとでないし、尾翼が不安定でした

次いで商品の質以外の相違点ですが、形はお話しした通りVF-1Jそのものですが一部カラーリングなどの印刷部分が異なります。
まずカメラアイ本家はグリーンですが本品は青。
本アニメでは目からビームが出る設定のようですのでそういう影響もあるのかな。
さらには翼の統合軍のマーク。
これは作品設定準拠なのか、韓国らしい陰陽大極っぽいマーキングとなっています。
パッケージのバルキリーイラストは統合軍マークなんですけどね。

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U.N.SPACE・・・申し訳程度に変えてきています
そのままでもいいのにw

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統合軍マークではありません
陰陽大極っぽいマークが韓国らしい

また統合宇宙軍を表す「UN SPACY」のロゴも本品では「UN SPACE」とされ、微妙に異なる。
ところがアニメの設定カラーと商品のカラーリングはかなり違いますし、作品自体に「UN SPACE」という文字も関係なさそう。
この辺、支離滅裂というか手抜きというか・・・

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カチッと決まらない・・・
腕部分もキレイに収まりません

まあ、私のようにバルキリーファン、特にタカトクバルキリーを愛するモノにとってはちょっと手を出してみたくなる商品でした。
値段もシャレで買える価格帯でしたしね。
珍品、レアではありますが、残念ながらコレクターズアイテムとは言えないでしょう。

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ミクロイドS(ミクロイドS OP)

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ミクロイドS(作詞:阿久悠/作曲:三沢郷/歌:ヤング・スターズ)

先日の記事でミクロイドSという言葉を出して以来、頭の中にオープニングテーマがエンドレスでかかっているばいきんダディです。


しかしこれより以前、このOPが私の頭の中でずっと鳴り響いていた時期がありました。それは関東以北の方々には忘れがたい苦しい記憶であるあの東日本大震災の折。
地震と津波の目に見える恐怖がひと段落した後、復興を妨げて日本のみならず世界中を震撼とさせたのは原子炉の損壊とその後の放射能汚染問題でした。
崩れ去った原発絶対安心神話。
責任を曖昧にする東電と政府の上層部、錯綜する情報、翻弄される市民。
そして学者間ですら対立する放射能と原発への安全認識。
今後の放射能の人体等への影響も、放射能処理も、原子力政策も依然として明確には示されず。おそらく半世紀以上に渡る問題となっていくのでしょう。

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ヤンマの声は井上真樹夫

そんな様子を見ていて私は、公共広告機構のCMソング以上にミクロイドSの主題歌のあるフレーズが強く強く胸に突き刺さりました。

「心をわすれた科学には 幸せもとめる夢が無い」
「心をわすれた科学には 地獄の夢しか生まれない」

地獄の夢・・・まさにその通りでして。
ひょっとしたら将来的には更なる地獄を見ることになる可能性が残っています。
震災前は素通りしていたこの言葉が心に残ってしょうがない。

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今観るとアゲハが妙に色っぽい

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む~・・・なかなか良い
さすが手塚先生w

作詞は阿久悠
以前、宇宙戦艦ヤマトED「真赤なスカーフ」デビルマンED「今日もどこかでデビルマン」で阿久悠の作詞の素晴らしさを語りましたが、これまた阿久悠。
まったくこの人はどこまでスゴいんだろうか・・・・
時間を超越して心の琴線を触れるコピー。
この人こそ真の「作詞家」なのだと痛感します。

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↑この歌詞も阿久悠なんですけどねw

作曲は三沢郷。主にテレビドラマやアニメの主題歌を作曲されていた方で、作品数は決して多くはないのですが「デビルマン」「ジャングル黒べえ」「エースをねらえ」「サインはV」のOPなど、非常に印象深い曲を作曲されいます。

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マメゾウ、全然印象に残ってない(^_^;)

さて肝心の作品内容なのですが、ぼんやりと不気味な昆虫軍団のようなものとヤンマ、アゲハ、マメゾウの三人が戦っているなあというくらいのイメージしか残っていません。あまりカッコいいとも思えなかったなあ。
虫のコスプレみたいな格好は子供心にイマイチだったし、そもそも「小さい」というのことに弱い印象があって。実際、猫より弱いんじゃね?みたいなw

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ガブっとやられそうで怖いw

しかし本作はアニメと原作マンガの同時進行企画で、原作を描いているのはあの手塚治虫先生。こちらは未読だったのですが、調べてみるとアニメとはうって変わったグロ描写やら人間ドラマ展開があるらしく、どうやら手塚先生の本領発揮的な良作のようなのです。
これは是非近々単行本を手に入れて読んでみたいと思っています。

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ブ~ン

ところで。
「テラフォーマーズ」というヤンジャン連載漫画がとても面白くって、虫の能力をもった改造人間設定なんて意外に目新しい?なんて思っていましたが・・・
よく考えたら本作はまさしくそれですし、HUNTER×HUNTERのキメラアントもその範疇とも言えますし、さらにはそもそも仮面ライダーがバッタの改造人間だったよなあ。あまりにも当たり前すぎて忘れてたw

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忘れるな!w

ドラえもん全百科&深読みガイド

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ドラえもん全百科(昭和54年7月刊/小学館)
ドラえもん深読みガイド(平成18年8月刊/小学館)

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580円・・・小学生には高額品でした

まずは懐かしいコロタン文庫からの一冊。
「ドラえもん全(オール)百科」です。
去年の夏に某所まんだらけにて発見しました。
とっくの昔に手放していたものの、個人的に思い出のある本だったので懐かしさですぐさま購入したのですが、これが安かった。300円。
てっきりプレミアなりついているかと思ったのですが、どうやら本書は近年まで表紙のリファインなど加えられながら刊行されていたようなのです。
内容的にもオールドファンやマニアが注目すべきものが無いのでそういう値段設定だったのでしょう。

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テレ朝版ドラえもんの放映は昭和54年4月から
その3か月後の刊行です

手に取ると入手当時、小学校4年生(のび太と同じ!)の頃が思い出されるようでした。どこで情報を仕入れたのか(たぶん小学館の雑誌でしょうが)、本書の発行を事前に知った私は、欲しくてしょうがなくなって親に必死に頼み込んだのです。
その甲斐あって買ってくれることになり、発売前にご丁寧に駅前の本屋さんに予約までしました。自分で。もちろん親も付き添っていたはずですが、親としては子供にそういう社会経験もさせようという意図があったのだと思います。

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あ~・・・今ならアウトなんだろうな、コレ

で、果たして入手した私は大喜びだったのかというとそうでもなく。
というのも前述のように内容がイマイチだったんですよね。
放映間もなかったアニメ・ドラえもんのカラーページが冒頭数ページにあっただけで、あとはひたすら白黒ページに秘密道具が紹介されているだけ。
しかも描いているのは藤子先生ではない方。
藤子アシスタントとして著名な片倉陽二さんですらありませんでした。

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みなさんは「Yロウ」の意味にいつ気づきました?
私は中学生になってようやく

子供って「絵が違う」ってのには大人が思う以上に敏感で、この辺りですでにテンションダダ下がりw
しかも道具に付されるイラストの構図もほとんど原作マンガのワンシーンから抜き出したものばかりとあって新鮮味もゼロ。
あれほど親にねだって手に入れたにしては悲しい代物で、同時に親にお金使わせちゃって申し訳ないなあという気持ちになったことを覚えています。

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この四次元三輪車、すっごく欲しかった!

で、今になって読み直してみるとこれが当時のそのままの印象でしてw
ひみつ道具の適当な内部図解はちょっと面白いなあと思うものの、それ以外にはやはり見るべきものもなく。やはり300円の価値がせいぜいといったところでした。

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ドラえもんファンにはおススメですよ!

さて、次にご紹介しますのは近年刊行された「ドラえもん深読みガイド」なる一冊。これは実に面白い!
ちょいとドラえもんの豆知識を羅列しました的なものではなく、膨大な原作コミック(未掲載作含む)を詳細に調べ上げてテーマごとに該当のコマと出典を掲載した綿密なレポート。

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確かにのび太ってやたら商魂たくましいんですよね
こち亀の両さん並みw
起業したのもうなずけます

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地球はかいばくだん!
ドラえもんは最終兵器なのか?w

正直、コアなドラえもんマニアにとっては新たな発見と言えるものは少ないのですが、その情報量の多さとつぶさな検証には圧倒されます。各キャラクターのツッコミどころなんかもきっちりと押さえていて読み応え抜群です。
ぶっちゃけ完全に大人向けwそれもある程度以上のドラえもんマニアに向けたもので、中学生以下の子供は楽しめないんじゃないかなあ。
いやいやよく出版してくれたものです。

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原作の、特に初期のしずちゃんって結構ヒドいキャラですw

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数えた編集さんに乾杯!w

そして、よ~く表紙の隅にまで目を配ると「BIG KOROTAN」の文字が!
かつてのコロタン文庫を意識しているんですね。
気付いたのは本書を購入してからしばらく経った後だったのですが、かつて不満を持ったコロタン文庫が、20数年の時を経て大人になった私を満足させるものとなって帰ってきた!そんな風に考えて気持ちがほっこりとさせられたり。

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「BIG KOROTAN 103」
103?!他に102冊もBIG KOROTANが??

さて。最後にありきたりな質問をさせて頂きますが、皆さんはドラえもんの道具の中で一番欲しいものは何ですか?
私も血気盛んな若者だった頃はね、「オールマイティパス」だの「悪魔のパスポート」だの「タイムマシン」だの「もしもボックス」だのと大それた道具が欲しかったんですよ。「独裁者スイッチ」も俺ならもっとうまく使いこなしてやる!とか息巻いてましたしねw
でも今はアレが欲しい。デンデンハウス
誰にも邪魔されずに小さくて安全で温かい空間に籠りたい。
あ~、小さくなったなあ、俺w

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これ、欲しい
マジ欲しい

ミクロイドS(原作コミック)

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ミクロイドS (手塚治虫著/秋田書店/コミック文庫版2巻)

思わぬことからミクロイドSに焦点を当てたことで皆さまから反響を頂き、原作コミックを読んでみることにしました。
アニメ放映(1973年4月)とほぼ同時に少年チャンピオンで連載が開始されたアニメ・漫画同時企画。なにぶんアニメのストーリーを覚えていないので詳細な比較はできませんが、子供向けヒーローアクションだったアニメとは大幅に異なる展開。
読み応えありました。

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冒頭見開きカラーページ
風吹きすさぶ荒野を彷徨うミクロイド3人
すごくカッコいい始まりにワクワク!

<ストーリー>
蟻が進化した知的生命体ギドロンは、人類と昆虫を混ぜ合わせたミクロイドを生み出して使役し、人類征服を目論んでいた。
ミクロイドの3名ヤンマ・アゲハ・マメゾウは人類に警鐘を鳴らすべくギドロンの支配から抜け出して人間世界へと赴いた。ようやく彼らの言葉に耳を傾けるノーベル賞生物学者・美土路博士とその息子・学に出会えたものの、人類の一致団結は程遠く、ギドロンの侵略は現実のものとなってしまう。ヤンマの兄にしてアゲハの婚約者であったジガーは、ギドロンの忠実な手先となって人類侵略の先鋒を担うが・・・。

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アニメと違って何百年も前からミクロイド改造が行われていたんですね
実に不気味な設定
さすが手塚先生

人類征服を企むギドロンと、3人のミクロイド、そしてその協力者となる美土路博士と学という構図自体はアニメと同じです。
人類の一大事に対して、迎え撃つ側があまりに矮小でアニメはこの点どう処理していたのか。一話完結型子供アニメということで深い追及は無かったのかなと想像します。
一方、原作漫画は侵略の橋頭保として舞台を日本に絞っていますし、ジガーという原作のみのキャラを用意するなど人間関係描写を前面に出すことで、アンバランスさや幼稚さを上手に回避していたように思います。

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う~ん・・・アゲハ、エロ過ぎ
さすが手塚先生w

本作は環境破壊や自然からのしっぺ返しというテーマを孕んでいはいるのですが、想像以上にそこは重要視されていなかったかな。
今も昔もありきたりと言えばありきたりですし。
むしろ、そのテーマがどういう風に人間に跳ね返ってくるのかという創意工夫にこそ本作の面白みであったのかも。
また「心をわすれた科学には 幸せもとめる夢がない」というアニメ主題歌歌詞に見合った科学文明批判の視点はありませんでしたね。

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ヤンマ、アゲハ、マメゾウ
アニメと違って三人揃って戦うシーンはほとんどありません

昆虫による人類襲撃は統率こそとれているものの科学兵器を用いるようなことはありません。人類以上の知能を獲得した昆虫という設定ですが、基本的に攻撃方法は数に任せた肉弾戦。しかしそれが逆にグロテスクで本作を面白くしている要素でした。
鼻にカメムシが詰まって死んでるとか、虫に全身集られて齧り殺されるとか、虫嫌いはとても見ていられないショッキングなもの。

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ほんと、ヒ~ッです

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ミクロイドだって、キャ~ッ
私だったら一瞬で失神する自信ありますw

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絶対イヤな死に方ベスト10にランクイン

人間模様は実に濃厚。
アゲハは実はジガーのスパイだったものの、ヤンマの志に触れて人類に味方するようになるけれども、やはりジガーへの愛は捨てきれず・・・とか。
ジガーは、アゲハが自分を捨ててヤンマを愛してしまったと誤解して二人を憎悪する・・・とか。
落第生の学は、ノーベル賞学者である父へのコンプレックスから反発心を持っているけれども父とはまた違った行動力を持っている・・・とか。
美土路博士は、警告を受入れずに責任回避に奔走する政治家たちに呆れたり、パニックに陥り身勝手で暴力的な行動をとる人類に嫌気がさしたり・・・とか。
この点もさすがは手塚先生。少年漫画としては異質の人間考察の数々はなかなかに読んでいて重いものがありました。

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醜い人類同士の殺戮も・・・

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学に重傷を負わせたのはパニックで狂乱した人間たち

では、諸手を挙げて傑作マンガなのかと言われれば残念ながらちょっと微妙。
全編600ページ足らずながら物語の基本構図が単純すぎたせいか、本筋以外のキャラクター(学の先生とか、美土路邸に侵入する女愚連隊とか)やエピソードへと移る展開が見られ、全体としてやや物語が散漫なイメージを受けます。
また、人類侵略の展開やらギドロン撃退方法やらは論理性や整合性が検証されているとは言い難く、現代の読者には野暮ったさを感じるかもしれません。
まあ、「宇宙戦争」や「インディペンデンスデイ」だってその点はどうかと思いますけどw

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「だれだい?」
読者もそう思ったはず
終盤で突然の登場

さらにはヤンマ・ジガー・アゲハを巡る人間関係も少年漫画ゆえか表面的に流されていて、この点いっそ青年漫画連載であったら愛憎に満ち満ちた手塚節の真骨頂が味わえたのになあと残念に思えました。

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自爆キャラ、ジガー
アゲハ、ヤンマとの愛憎の行方は・・・

ところで。
「HUNTER×HUNTER」のキメラアント編って明らかに本作の影響を受けていますよね。虫の性質を活かした嫌悪を伴う残虐展開&描写。
アイデア、設定、画力、語り口。
今さらながら手塚先生の途方もない力量に感嘆します。

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コミック文庫版は全2巻
ブックオフなどで良く見かけます

マッドマックス/サンダードーム

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マッドマックス/サンダードーム(1985年/豪/ジョージ・ミラー監督)
60点
※ネタバレあり

ダメだダメだと言われる本作。
一体どこがダメなのか、本当にダメなのか。
そんな視点でもう一度観返してみました。

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「サンダードーム」のシーンは序盤わずか10分程度
看板に偽りあり過ぎw

<ストーリー>
一人荒野を彷徨うマックス(メル・ギブソン)が乗物と積み荷を奪われて辿り着いた先はバータータウン。そこはアウンティ(ティナ・ターナー)が支配する電力が存在する街だった。マックスはその腕をアウンティに買われて、発電の実権を握るマスターブラスター殺害を依頼される。
闘技場「サンダー・ドーム」で死闘を演じたマックスだったが、マスターブラスターの正体を知り殺害をためらってしまう。結果マックスはバータータウンを追われ、行きついた先は子供たちだけが生活をする原始的な集落だった・・・。

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ラストは前作と同じ逃走劇
今度は列車だ!

まず本作を観て真っ先に疑問に思う点。
それは、果たして本作は前二作と地続きの設定と解釈してよいのかというところ。
前作でケガをした左目の傷は残っているし(私は完全に失明したと解釈していましたが)、かつて警官だったというセリフもある。パラレルワールドの「マックス」ではなく、あの「マックス」と一応解釈して良さそうです。
それでも釈然としないのは、前作のあの「マックス」が生き延びていたということが素直に想像できないこと。
それくらい壮絶で絶望的なラストでしたから。

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ティナ・ターナーは可もなく不可もなく
もっと冒険してくれてもよかったなあ

さらには前作でジャイロキャプテンを演じていたブルース・スペンスが全く違う役で出演しているんです。しかも同じ航空機乗りキャラ。おそらくは前作で人気だったことからの継続出演だったのでしょうが、観る側は混乱するばかり。
これらの点でまず観客はつまづいて物語に素直に入って行けません。

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ブルース・スペンスですが・・・
ジャイロ・キャプテンじゃないんだな、これが

また、そもそも車がほとんど出てこないことがファンの期待から大きく違った点でしょう。マッドマックスは言うまでもなく他に類を見なかったハードカーアクションが最大の魅力だった訳ですから。
ところが本作ときたら最後に敵側として申し訳程度に車が出てくる程度
マックスもハンドルを握るので「おっ!来るか?」と期待させるのですが、これが驚くほど戦わないんですね。

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一応ハンドルを握るマックス
ドライブシーンはほんの少し

考えてみれば1作目と2作目はその世界観を大きく変えています。言わば「予想の斜め上」の展開。ジョージ・ミラーにしたら本作においても観客の予想を大きく覆す展開を狙ったのかもしれません。
が、今回ばかりはその方向性は多くの観客の期待には繋がりませんでした。
端的に言えば「がっかり」というところ。

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絵作りにリメイク版予告映像との相似が見られました

では本作の全てがダメだったのかと言えばそうとも言えません。
三部作として俯瞰した場合、本作はマックスの癒しと再生の物語と捉えることができるのです。
追手からの逃走劇、一人取り残されるマックスというラストシーンの構図は2作目のラストと符合するのですが、その意味合いもマックスの表情も驚くほど異なります。
妻子を失い絶望の狂人と化したマックスが、次代を担う子供たちに出会って人間性を取戻し、彼らの活路を開こうとする前向きな心情がはっきりと見て取れるのです。
子供たちを見送るマックスの表情の穏やかなこと。
やっぱりあの絶望に満ちた2作目と同一人物とは思えないんです。時の流れは人の悲しみや苦しみを洗い流してくれるということでしょうか・・・

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ラストシーンのマックス
穏やかそうな表情でしょ?

また、激しい追撃戦を演じた敵側のアウンティ一味は、派手なクラッシュシーンこそあるものの良く見ると誰も死んでなさそうなんですね。
見かけこそ前作の悪役とタメを張るような悪党面ですが、彼らとて荒廃の世を必死に生き延びるべく必死に生きる人々であり、トーカッターやヒューマンガスが正真正銘の悪魔だった点とは異なるんです。

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後頭部に浄瑠璃の人形の頭部を付けた男
見かけは凶悪ですが実態は・・・

だから、前二作からは嘘のようにラストが生ぬるい。
いや、ラストどころかそもそも全編とにかく生ぬるいw
地獄ばかりを彷徨ったマックスに安らぎを与えた点をどう評価するか。
正直、少しほっこりもしますし無下に否定することも無いかなあとは思うのですが・・・これはこれとして私はやっぱり「マッドマックス」は1と2で終わり。
本作は異次元的オマケ作品と思うことにします。

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ところで。絶望に打ちひしがれる凄腕の男がやがて救われていくという流れ。
他にもあったなあと思ったら、同じメル・ギブソン主演のリーサル・ウェポンシリーズがそれなんですね。バリバリのハードアクションが、最後はほのぼのファミリー映画化していましたからw
リッグスも別人みたいになっちゃってw
もし本作が好評で4作目が作られていたなら、リッグス並みのほのぼのマックスになっていたのでしょうか。

ルパン三世(実写版)

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ルパン三世(2014年/日本/北村龍平監督)
40点
※ネタバレなし
 
ネット上では非難だらけの本作。
嫌な予感しかしませんでしたが、努めてフラットな視線で観てみました。
 
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<ストーリー>
一流の盗賊が集まる泥棒互助会「ザ・ワークス」の一員で腕っ節自慢のルパン三世(小栗旬)は、祖父の代からお世話になっている「ザ・ワークス」の頭領ドーソン(ニック・テイト/声・坂口芳貞)が謀殺されたことから、同じく「ザ・ワークス」の一員だった峰不二子(黒木メイサ)とマイケル(ジェリー・イェン/声・加藤康之)らに加え、その場に居合わせて気の合いそうだった次元大介(玉山鉄二)、かねてから知り合いだった石川五エ門(綾野剛)とともに、黒幕プラムック(ニルット・シリチャンヤー/声・菅生隆之)らに挑む。
一方、インターポールの銭形警部(浅野忠信)はプラムックを追う中でルパンに接触するが・・・
 
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登場シーンの第一声には注目
小栗旬、渾身の山田康雄ボイスでした
 
多くの世代から愛される国民的アニメ「ルパン三世」。
その語り口は50年近い歴史の中で多様化されて、5人の主要キャラが固定されているほかは設定の自由度は高い。原作、宮崎版、アニメ一期、二期、三期、その後のテレビスペシャルや深夜スピンオフ等々。一口に「ルパン三世」と言っても「どのテイスト」のルパンを愛するかは百人百様かもしれません。
 
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個人的にメイサ不二子は結構良かったと思います

そういう背景を考えると、実写ルパンだって多様性の一つとして受け手は寛容・・・なのかというとさにあらず。むしろその百人から百通りの文句が噴出してしまう可能性があるという(笑)まあ、鼻から無謀な企画です。
 
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もっとカッコいい早撃ちシーンがあっても良かったなあ
 
さて、本作への非難の大半を占めるキャスティングについてですが、私はこの点さほど文句はありませんでした。むしろ当代人気俳優たちが出演してくれたことは好みの差はあれ否定要素にすることはないかなと思います。
まあ、だからといって役作りや演技に文句がないという意味ではないですが(笑)
結論として私は本作に大いに不満だったのですが、その理由は設定と脚本にありました。
 
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五エ門より天草四郎(魔界転生)とかやらせたかった

まず設定としてアニメと大きく異なる点が「ザ・ワークス」なる泥棒互助会の存在ルパンはその一員なんですね。
「ちょ、待てよっ!」と。
ルパンの魅力の一つに「自由な男」であることがあると思うんですよ。誰にも縛られることなく、信頼する仲間とともに気ままに生きる姿に、我々のような組織に属さざるを得ない不自由な中年男たちは憧憬を覚えるんですけどね・・・
いきなり組織の一員かよ。ずいぶんとせせこましいなあ。
 
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意外にも「カリオストロ」リスペクトシーンが多かったです
 
さらにはお馴染みの次元、五エ門、不二子のほかに余計なお仲間が彼らと同列にくっついてくる。
因縁のライバルであるマイケルと共闘するのはいいでしょう。
しかし、あと二人、情報戦の達人とハッキングの達人がいるんですね。
確かに現代のアクション映画なら、「要塞への侵入」には様々な技術のエキスパートを結集させた方がリアリティが出るのかもしれません。
しかし「ルパン三世」の看板を掲げている以上、見たこともないキャラ二人がシレっと仲間に加わっていることには違和感しか生じません。
 
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ルパンのライバルとなるマイケル
演じるは台湾人スター、ジェリー・イェン
声優の声質と演技の高さもあってカッコよかったです
(ルパンよりも・・・)
 
で、その副作用とも言えるのですが、結局ルパン三世の何が凄いのかさっぱり分からないという致命的欠点が本作にはあるんですよ。
とりあえずリーダー格で先頭に立って殴り合いや撃ち合いをしているニヤけた男という印象しか生まれないんですよね。小栗旬自身は必死に「カッコいいルパン像」を作っているのでしょうが、キャラの中身が無いのもあいまって上滑りした軽薄なキャラになってしまっていたのが残念でした。
 
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小栗旬の役作りは悪くないと思います
映画としてルパンのキャラクター像を上手に作れなかったのが問題
 
そして何より、そもそも物語がつまらない。
出会い、友情、粋な人間関係、復讐、強敵への挑戦。そんな要素を盛り込んだ脚本なんですけど、正直、睡魔と戦いながらストーリーを追うレベル。
ワクワクしたり、驚いたり、スゲーと思うシーンはほとんどありませんでした。
で、内容も無いからスタイリッシュなキメ映像や終始バックグラウンドで鳴り響いているオシャレな音楽も空回り感が強い。
 
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スチールショットは決まっているんですけどね
 
本作では、外国人俳優たちは日本人声優のアテレコにより日本語を話します。
アニメ感覚の親切な演出ですし、私はこれは成功だったと思うのですが、思わぬ副作用が生まれました。
声優たちの声質がカッコ良過ぎ、かつ演技が上手過ぎなんですね。
転じて、日本人俳優たちの演技の拙さと声質の低さが強調されてしまったんですよ。
彼らとて一流俳優ですから、決して演技が下手なわけではないのでしょうけれど、元々アニメ作品の実写化ということもあって、声優たちの手馴れた演技に完全に食われている。外国人俳優のほうがずっとカッコ良く見えるんですね・・・
これは実は大誤算だったんじゃないかなあ。
 
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無理に納谷悟郎さんを意識しなくても良かったのに・・・
 
なかでも割を食ったのが銭形役の浅野忠信。
銭形は納谷悟郎さんの声のイメージが強く、浅野忠信が妙にそれを真似しようとしているんですが、元々の声質が違うのでしょう無理があり過ぎちゃって、結果、ものすごく銭形の演技が下手に見えるんですね。
これまたすごく残念でした。
 
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続編はいらないかな
 
このキャスティングとスタッフなら、ルパンの実写化じゃなくてオリジナルのアクション映画でも作ればいいのになあ・・・その方がずっとずっとマシな映画ができたと思います。

またまた戦国魔人ゴーショーグン 狂気の檻

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またまた戦国魔人ゴーショーグン 狂気の檻
(1983年12月刊/徳間書店アニメージュ文庫/首藤剛志著)

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エポックメイキングとなったファーストガンダム以降、ロボットアニメは単純な勧善懲悪アニメを脱して様々な試みがなされました。
「戦国魔人ゴーショーグン(1981年7月~/全26話)」もそんなロボットアニメの一つ。「ミンキーモモ」や「バルディオス」で有名なアニメ構成作家首藤剛志氏によるキャラ重視の展開が当時のアニメファンに注目されました。

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アニメージュ1982年7月号付録
私のゴーショーグンバイブルです

お話自体は、ビムラーという超エネルギーを、正義側のグッドサンダーチームと悪党側のドクーガが奪い合う単純な構図でしたが、ドクーガの三幹部が憎めない悪役として正義側の人気を凌ぐ勢いだったのが目新しかった。

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南斗水鳥拳のレイ、吸血鬼ハンター"D"と並んで
私的塩沢兼人キャラベスト3

金髪お耽美系キャラ、レオナルド・メディチ・ブンドルは戦場でクラシック音楽を流しては赤いバラを片手にひたすら「美しい」だの「美しくない」だの。外形とはうらはらに次第にギャグキャラ化していった感がありましたが、この手のキャラを演じさせたら当時ピカイチだった塩沢兼人の当たり役の一つとなりました。

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カットナル&ケルナグール
続編小説では「イイ奴」にw

眼帯を纏いカラスを肩に乗せ、いかにも悪者然とした外見のスグーニ・カットナル(木原正二郎)。精神安定剤が欠かせず錠剤をバカスカ摂取。しかし最終的にはアメリア大統領にまで上り詰めるというメチャクチャな超展開。
典型的巨漢悪役面のヤッターラ・ケルナグール(郷里大輔)は実は愛妻家でその奥さんが超美人とかそういうサイドストーリーがかわいらしかったです。

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真悟&キリー
ぶっちゃけ二人とも影薄いw

一方でグッドサンダー側の北条真悟(鈴置洋孝)は黒髪・太眉・日本人と従来のロボットアニメなら主人公に相当するのですが妙に影が薄く。アル中の上、戦いの一年後には無職になり風呂場で転んで複雑骨折とかヒドい設定が与えられました。
そんな中にあってキリー・ギャグレー(田中秀幸)はオーソドックスな二番手ニヒルキャラだったかもしれませんね。

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レミーのビキニは黒
これ、基本です

そして紅一点のレミー・島田(小山茉美)
テレビシリーズ本編ではヒロイン女戦士という役回りからはみ出すことは無かったのですが、首藤剛志作のその後の続編&スピンオフ小説では完全に主役化
ついでに彼女をひたすら賛美するブンドルもレミーの騎士(ナイト)のような役回りが与えられて準主人公のようなポジションに昇格。

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お耽美な横顔
ヒロインより美形w

テレビシリーズの実際の主人公であったケン太(松岡洋子)、メインキャラのサバラス(小林修)は全く登場せず、異次元を彷徨うレミーを中心としたブンドル、真悟、キリー、カットナル、ケルナグールの6名にのみに焦点を当てたのが三作目以降の小説スタイルになってしまいました。

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天野嘉孝による挿絵が最高!

その首藤小説版ゴーショーグンは三作目である本作でついに大暴走
首藤節丸出しのヒロイン小説へと変貌を遂げることに。
では首藤節ってなんでしょう?一つは特徴的な女性キャラ描写
具体的にはレミー島田とミンキーモモなんですけどね。
二人とも小山茉美さんによるノリノリキャラ。口癖も同じく「Thanks!」。
常に軽快な口調と笑顔を絶やしません。

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「大人のゴーショーグン」って感じ

そして二つ目はその明るい女性キャラに過酷な人生の現実を与えること。
夢見ることの大切さをいつも訴えていた明るいモモは、交通事故死という現実を突き付けられたのはご存知の通り。
アレ、観ていた幼稚園や小学生の女の子はトラウマになったんじゃないかなあ。
悲しすぎましたよ。もちろん救いは用意されてたけどさ。

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テレビ版のレミーも哀しみを背負っていましたが・・・

そして本作では、どんな境遇でも生き延びることを身上とするレミーに対して、まるでその前向きさを逆手にとるかのような性への恐怖を与えていました。
コンピュータが人間をコントロールする異次元世界で洗脳されたレミーは、境遇のままに野獣のような男とひたすらセックスを繰り返すという超絶展開。
その後記憶を取戻したレミーは、我が身が穢れたような苦悩に苛まれますし、また、フランス人娼婦の母といきずりの日本人から生まれたという出自を思い、所詮自分は娼婦の血が流れた淫らな女なのだと打ちのめされます。

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続編ではとにかくレミーが蹂躙されます
首藤氏の趣味・・・だったんだろうなあw

ロボットアニメの明るいヒロインをこんな目に合わせるとか。
首藤氏の変態的なキャラへの愛情なのか、はたまた歪んだ女性観の表れか。
小説媒体とは言え、未成年が読者層となるだろうロボットアニメの続編でよくもやったもんだ。
ちなみに当時私は中学二年生でしたw
年齢を考えると少なからず私の人生観にまで影響を与えたんじゃなかろうか。
まあ、面白いと思いましたし、最後にはそれでも前向きに戦い挑む姿勢というのがまた首藤節ではあるんですけど。小説はその後6冊も続刊があったことを考えると、内容のぶっ飛び方にも関わらずそれなりに人気を博したんでしょうね。

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秀逸な表紙絵

その小説版の世界観を引き継いだオリジナルアニメーションもテレビ放映後4年近く経って製作されました。
それが「戦国魔人ゴーショーグン 時の異邦人(エトランゼ)」。小説版も刊行されました。これもまた暗い物語でw
年老いたレミーが病と自動車事故でこん睡状態となる話しと、決められた死が約束された世界から懸命に抜け出そうとするレミーたち6人のお話しがクロスオーバーするやや難解な展開。う~~ん・・・当時私は高校一年生でした。
やはり少なからず人生観に影響を・・・って、もうエエわw

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少女時代のレミー
その生い立ちは・・・

逃れられぬ死という運命に、震えながらもなお抗って抗って最後の瞬間まで戦うレミーの姿は今観ても(否、この歳になって観るからこそ)魅力的に映ります。
ブンドルならずとも「レミー、君は美しい・・・」と思わず口に出てしまいそうになります。ちょっと泣けますよ。

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Bang!
小山茉美さんあってのレミーでしたね

さて、その首藤剛志氏は2010年に61歳で逝去されました。
1991年に刊行が止まっていたゴーショーグンシリーズの完結編を執筆すると言われていた矢先のことでした。
「鏡の国のゴーショーグン」というタイトルまで決まっていたそうですが・・・
多感な時期に私が入れ込んだレミーやブンドルたちが、果たして何を思い、どこに辿り着いたのか。大人になった今だからこそ余計に知りたかったのですが、未完となってしまいました。
あの世へ行って首藤氏にお目にかかれたらなら是非続きを伺ってみたいものです。
SEE YOU AGAIN・・・

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アンパンマン「プリンちゃんとめいけんチーズ」2001年2月2日放送Bパート

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プリンちゃんとめいけんチーズ(脚本:島田満/演出:湖山禎崇)

アンパンマンを多く鑑賞していると分かるのですが、毎度同じように見えるアンパンマンのお話しにもいくつかのパターンがあります。
大半を占めるのは当たりさわりのない乳幼児向けのお話しなのですが、中には、さすがやなせたかしさん原作と思わせる心が温まる話し、物悲しい話しなどが散見されます。また、ギャグが冴えていて大人でも笑ってしまうお話も少なくありません。
そんな中でも本作「プリンちゃんとめいけんチーズ」は超一級のギャグセンスで10分間爆笑し続けられるという稀有なアンパンマン回なのです。

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<ストーリー>
ドキンちゃんにとっておきのケーキを食べられてしまったばいきんまん。
ジャムおじさんのパン工場にプリンちゃんとエクレアさんが来ていることを知り、チーズに化けてプリンにありつこうとする。材料の卵を手に入れるためにプリンちゃんたちと行動を共にするばいきんまんだったが、プリンちゃんたちは寄り道ばかり。
イラついたばいきんまんは正体を見せるが、プリンちゃんたちはチーズのお兄さんだと誤解(曲解?w)。
怒ったばいきんまんは「だだんだん」に乗り込むも、一緒に操縦室に入り込んではしゃぎまくるプリンちゃんたち。やがて強制脱出ボタンを押してしまい、ばいきんまんは一人山の彼方へとすっ飛んで行ってしまう。その場に通りかかったアンパンマンはそんなばいきんまんを唖然呆然と見送るのだった・・・。

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チーズに化けたばいきんまん
バレそうになって踊ってごまかすw

本作のゲストキャラであるプリンちゃん
彼女は常にパートナーのエクレアさんとセットで出ている名前通りプリン大好きな女の子。行動パターンは思いこみの激しい突進型。かつ、超天然ボケw
どんな出来事も常に自分の都合の良い解釈をして善意に前向きに受け止めて行動します。従ってばいきんまんの悪行も悪行とは解さず、それどころかばいきんまんを善人と思いこんで、結果的にばいきんまんの意に反する行動をとり続けるのです。

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プリンちゃんとエクレアさん
大好きなキャラです!

ばいきんまんは悪者キャラくせに相手の反応をやたら気にするタイプで、自分の悪事に対して怯えたり怒ってくれないと調子が狂ってしまいます。
だからばいきんまんは彼女たちがとっても苦手
このパターンのキャラとして、おくらちゃんマダムナンがいますね。彼女たちの登場回はばいきんまんがいつもと違ってアタフタしていてとても面白いです。

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この二人と絡むと
ろくなことにならないばいきんまん

そんな外れのないプリンちゃん登場回の中でも、本作は笑いの演出や作画が他のアンパンマン作品と明らかに異なっています。
まずは作画。表情や動きがえらくエキセントリックなのですよ。
アンパンマンは基本的には笑いのアニメなのですが、乳幼児向けアニメとあってギャグのテイストはマイルドなんですね。メインキャラの中では一番大げさな表情を作るばいきんまんですら、他のギャグアニメと比べると大人しいもの。
ところが本作の作画はずいぶんと激しい。

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ニワトリのマネをするばいきんチーズ
すげえ作画だw

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チーズに変装するために
顔面の中央を縛り上げていたばいきんまん
プリン食うためにここまで・・・w

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ここまでのギャグ顔は
普段のアンパンマンでは観られません

ばいきんまんによる顔芸、顔芸、顔芸の連続。その異質さは他に類を見ません。
ばいきんまんの変装は毎度のことなのですが、今回はチーズに変装するために自らの顔をロープで縛りあげてひょうたん型に無理やり変形。スゴイ執念w
またニワトリのマネをしたり、怒ったり、焦ったり、泣いたりとその度に大げさで尖がったギャグ顔を披露してくれるのです。
作画の線描のタッチなんかもちょっといつもと違うしね。

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とっておきのケーキをドキンちゃんに食べられた!
愕然とするばいきんまん

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やけくそになって泣きながらパン工場に突撃!
やることがエキセントリックw

ストーリーもいつものワンパターンをかなり外しています。
冒頭、ばいきんまんは楽しみにしていたケーキをドキンちゃんに食べられて泣いてしまうんですが、その後やけっぱちになってジャムおじさんのパン工場に攻撃をしかけるんです。単なる八つ当たりの自殺行為。
その行動がまた意味不明でエキセントリック。
また、本作ではアンパンマンには全く活躍の機会が用意されておらず、最後も脱出装置の誤作動で吹っ飛んでいくの見送るだけだったり。
それに伴って演出もいちいちシュールなんですけど、これについては残念ながら私の拙い文章では上手にお伝えする術がありません。

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やさぐれたばいきんチーズ

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こちらは本物のチーズ
今回はカンフーの腕前を披露します(唐突w)

これだけ異質なのでスタッフがいつもと違うのかと思いきや、脚本も演出も幾度もアンパンマンを担当している方々。演出の湖山氏は多くのギャグアニメの演出を手がけられていて、その手法も独特とは言われているのですが、氏の他のアンパンマン回は本作のように大きく違っているわけではありません。
本作だけが突出して異常。
乳幼児向けに施される「微調整」が機能しなかったんですかね。

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ばいきんまん自爆!w
唖然呆然で見送るアンパンマン

しかし私のような大人のアンパンマンファンにとってはたまにはこんなイレギュラー回もうれしい限りです。
残念ながら本作はネット上で観ることはできませんが、DVDをレンタルすることができます。「それいけ!アンパンマン '01 11」のタイトルでツタヤに高確率で置いてあると思いますのでご興味のある方は是非。

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苦労の末ようやくありつけたプリンもドキンちゃんに・・・

プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪

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プリキュアオールスターズ 春のカーニバル♪(2015年/日本/志水淳児監督)
50点(プリキュア特別加点10点)
※ネタバレあり

プリキュアファンお楽しみのお祭り映画、オールスターズ。
DX3作、NS3作に続き、本作は仕切り直しの7作目。
プリキュアは総勢40名となり、まともな物語の構築はほぼ不可能。
本作は歌と踊りが中心と銘打たれていたのですが・・・

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新主人公、はるはる!
イイ表情!

<ストーリー>
プリキュアたちの下にダンスの国「ハルモニア」から招待状が届いた。
大臣を名乗るオドレンとウタエンの提案で、プリキュアたちは妖精たちに日頃の感謝をこめてステージに上がることになったが、実は彼らはハルモニアを牛耳っていた泥棒たち。プリキュアたちは罠にはまって変身アイテムを盗まれてしまうが・・・

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初代プリキュアチーム
なぎさとほのかの二人にセリフ有り

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スプラッシュスターチーム
咲のみセリフ有り

従来からプリキュアオールスターズのお楽しみとして、プリキュア全員によるCGダンスシーンがありました。大勢の華麗な二次元美少女が派手やかな舞台で一斉に踊る姿は誠に豪華絢爛!壮観!圧巻!
プリキュア好きに関わらず本当に一見の価値がありまして、いわんや私のようなシリーズ当初からのファンをや。
鑑賞中は竜宮城の饗宴もかくやとばかりに見とれるほどのものなのですよ。
さらには「フレッシュ」以降のEDはモーションキャプチャーによるCGダンスが採用され、どの曲も甲乙つけがたい見事な出来栄えだったりするのです。

前作NewStage3のダンスシーン
圧巻の映像美を是非ご覧あれ!

本作は「歌と踊り」をメインとするとあって全編美しいCGダンスの波状攻撃・・・かと思いきや、これが寂しい肩すかしに終わってしまいました。
まず各プリキュアチームよるダンスパートについては、手抜きすることなく新作CG映像を披露してくれるんですが、曲の大部分に名場面の手描き映像が挿入されるんですね。「さあ、大画面といい音響で美麗なCGダンスが観られるぞ!」と期待した途端に、ダンスをぶった切る手描き映像。
ぶっちゃけますとこの演出が実に興ざめでして。
おそらく一部の口うるさい大友ならずとも観客はがっかりだったと思います。

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5チーム
セリフはのぞみだけ
シロップに乗ればいいじゃん・・・w

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全編通じてこののぞみのシーン作画だけが突出していました
絶対作画スタッフにのぞみファンがいるなw

では各チームのパート以外での全員ダンスが、いつものオールスターズ以上にたくさん用意されているかというと、これが従来と同様たったの一回だけ。
曲は本作で初めて聴く挿入歌、しかもスローバラード調。なかなかいい曲でしたし、全員ダンスはやはり壮観だったんですけど、残念ながらノリノリというわけにはいきませんでした。
「歌と踊り」というテーマは消化不良。
細部の小ネタなどは、プリキュアファンを楽しませてくれるものが散りばめられていましたけど、所詮小ネタは小ネタ。作品の質が覆されるまでには至りませんでした。

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フレッシュチーム
セリフはラブのみ

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せつな・・・ええ笑顔や~

本作のストーリーはプリキュアたちを踊らせるための方便のようなもので、それ自体に面白みは全くなかったのですが、狂言回しとしてオドレンとウタエンなるキャラが登場しています。しかし彼らがぶっちゃけウザったい。
子供たちも含めて観客は誰一人こんな知らないおっさんキャラを見たいと思ってないよ。なのにしゃべり過ぎ、画面に出過ぎ
挙句の果てに彼らの歌とダンスシーンまである始末。そんな時間があるのならプリキュアたちのセリフやアップを一つでも増やしてほしいのに・・・

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ハートキャッチチーム
つぼみとえりかにセリフ有り

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えりかは今回もちゃ~んと笑かしてくれましたよ!

声の出演はオリエンタルラジオ。
芸人さんがしばしばテレビ本編に登場するのは伝統ですし、今まではどれも楽しかったのに、彼らに関しては演出の間悪くて気の毒だったなあ。
アテレコ技術は結構上手で、芸達者ぶりを披露していただけに残念でした。

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スイートチーム
セリフは響のみ
エレンの声が聴きたかった(T_T)

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スマイルチーム
みゆきとあかねちゃんにセリフ有り

そうなると残る期待はエンディングシーン。最後こそプリキュアたちの華麗な歌唱&ダンスが観られるものと思っていたのですが・・・
なんと画面にはプリキュアたちではなく、挿入歌を歌うモーニング娘が登場
え~~っ・・・これまた誰もプリキュア映画観に来てモーニング娘なんて観たくないだろう状態でガックリ。
大人の事情でタレントさんとコラボするのは仕方ないのかもしれないけど、上手に登場させてやらないと映画自体の質が下がるだけでなく、肝心のタレントさんたちの好感度まで下がっちゃうのでは?


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ドキドキチーム
マナと六花にセリフ有り
やっぱレジーナもプリキュア扱いしてほしいなあ・・・

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マナ、ジャイアン扱いww

と、そんなのは中年大友の特殊な感想でしょ?とお思いかもしれませんが、一緒に観ていた6歳と4歳の娘たちも鑑賞中はローテンション。いつもプリキュア映画は集中して観るのに、ため息つきながら椅子の上でゴソゴソゴソゴソ。
明らかに退屈していました。子供の鑑賞力をナメちゃいけません
子供たちに対して「つまんないね」とは決して言いませんでしたけどね。

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前作、ハピネスチャージチーム
全員にセリフがありました

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ゆうゆう・・・最高に輝いていたよ
ぶっちゃけ私はゆうゆうに会えればそれで良かったw

う~ん、プリキュア映画史上一番残念な作品でした。
実は「スイート」以降、プリキュアの視聴率は年々落ちています。それに応じて映画興行成績もグッズ売り上げも右肩下がり。すごく心配なんですよね。
作品の質自体は決して落ちているわけではなかったんですけど・・・そこに持ってきて本作の不出来。これが最後のオールスターズなんてことにならなきゃいいけど。
てなわけで、みんなで「Go!プリンセスプリキュア」を観てグッズも買おう!
きららもはるはるもみなみもかわいいよ!

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がんばれ!プリンセスチーム!
観て応援!買って応援!w

魔界転生

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魔界転生(1981年/日本/深作欣二監督)
95点
※ネタバレなし

子供の頃テレビで見て面白いなあと思った作品ですが、四十も半ばになった今鑑賞してみたら・・・なんとメチャクチャ面白い!
子供時代よりもずっとずっと楽しめました!傑作!!

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<ストーリー>
島原の乱の後、魔界の力で蘇った天草四郎(沢田研二)は神への別れを告げ復讐を決意。同じくこの世に未練を残す細川ガラシャ(佳那晃子)をあの世から召喚。
さらには無念の死の淵にあった宮本武蔵(緒形拳)、宝蔵院胤瞬(室田日出男)、伊賀の里の若き忍・霧丸(真田広之)を次々と仲間に加えて魔界衆として徳川幕府転覆へと動き始める。
松平伊豆守(成田三樹夫)を殺害してガラシャを家綱公(松橋登)の側室に送り込んだ四郎たちに対し、いち早く成り行きを察した柳生但馬守(若山富三郎)は、妖刀村正を携えてガラシャ魔界衆に挑む。ところが但馬守は胤瞬を討つものの、瀕死となったところを四郎に誘惑されて魔界衆へと加わってしまう。
一方、但馬守の息子・十兵衛(千葉真一)は魔界衆を討つべく刀匠村正(丹波哲郎)に刀を依頼するのだった・・・

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宮本武蔵VS柳生十兵衛光厳!
興奮、マックス!!

物語の概略読むだけでワクワクしませんか?
名だたる剣豪たちが魔界の住民となって甦り、現世の剣豪と立ち会うなんてもう・・・ファンタスティック!
原作は山田風太郎
50年代~90年代の長きにわたって独特の作風で日本を沸かせてくれた作家です。
今でこそアニメや漫画でこの類の伝奇SF的作品は溢れかえっていますが、山田風太郎はその開祖と言えますね。

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脂ぎった若々しい千葉真一
魅力的ですね~

原作の内容は由比正雪から始まって登場人物はもっと多いらしいのですが、深作監督により劇場作品にふさわしい尺になるように登場人物は取捨選択され、さらには細川ガラシャを魔界衆加え、より映像向けのエンターテイメント性が高められました。
細川ガラシャを加えたのは深作監督のアイデア
この発想には山田風太郎も脱帽したとのことです。
さすがに深作監督。
外連味ある舞台設定とアクの強いアクションを撮らせたら日本でも屈指の監督。
本作では特に自由闊達に楽しんで撮ったことが観る側に伝わってきます。

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「美しい男」と言えば
私は今でも沢田研二を真っ先に思い浮かべます

大作家と名監督のコラボというだけで心ときめきますが、それすら凌駕した本作の魅力は何といっても役者陣。「昔は良くって今はダメ」なんてスタンスで作品を評価したくはないんですけどね、それでもこの時代の俳優さん達ってどうしてこうも魅力的なんだろうってため息が出てしまいますよ。
脇を固めた今は亡き丹波哲郎、若山富三郎、緒形拳、成田三樹夫、室田日出男ら名優たち。

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刀匠正宗
命を賭して妖刀をうつ

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柳生但馬守宗矩
一人の剣士として息子・十兵衛との死合を望む

いずれの方もその佇まいだけで恐ろしいまでの存在感を放っています。日本の古き良き芝居の様式美溢れる所作。詩編を歌い上げるかのようなセリフの言い回し。心と体に響き渡る見事な声質。
各々が各々の個性をいかんなく発揮して、もうめちゃくちゃカッコいいですよ。
ほ~っと見惚れると同時に、こういった名優たちが今はもう日本の映画界からは失われ、そのDNAを受け継ぐ俳優たちもいなくなってしまったなあと思うとたまらない寂しさがあります。
特に本作では、若山富三郎と緒形拳がすごいわ~・・・

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宝蔵院胤瞬
女の体を欲して冥界から蘇り、破戒坊主となる

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宮本武蔵
真の最強を欲し、但馬守と十兵衛との立会を望む

主役、柳生十兵衛を演じたのは千葉真一。
彼は本作に先立つこと三作品において既に十兵衛演じて人気を博していたことから、もう当時の日本では十兵衛やるなら彼の他なく。
培われた「千葉十兵衛」は脂が乗りきって活き活きと画面に踊っていました。
普通ならこんな主役を受け止められる脇役を探すのは至難の業なのかもしれませんが、上述の如く脇を固めたのが超名優たちとあってそのぶつかり合いには半端ないが放たれました。

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この眼力!この構え!
決まりまくってますね

敵役、天草四郎時貞には沢田研二。
ご存知の如く彼の本業は俳優ではなく歌手だったわけですが、当時の彼はトップ歌手とあると同時にいち早く前衛的なスタイルを取り入れることのできるファッションアイコンでもあったんですね。男性の化粧は今となっては珍しくもありませんが、沢田研二がその先駆けだったんじゃないかなあ。
とにかくビジュアル的にも舞台映えのする方でした。(それだけに今のあのお姿は・・・w)奇抜な天草四郎の衣装を難なく自分のものにしていましたが、そんなことが出来たのは沢田研二だけだったでしょう。ベストキャスティングでした。
また、口上や長台詞も素晴らしいんですよ。さすが歌手。
声量と声質が見事で役者のそれとは一風違っていましたが、それが復讐に燃える「魔物」の異様に最高にマッチしていました。

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話題になった美青年二人のキスシーン
深作監督の思い付きだったようです

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昭和の色気を感じさせてくれました(江戸のお話しだけどw)

まだ若々しくどこかぎこちなさを感じさせる真田広之でしたが、とんでもない役者陣の中で潰されることなく存在感を見せていたのはさすが。
ガラシャ役のネチョっと妖しい佳那晃子の演技は現代の女優さんでは味わえない色香でしたね。また、ガラシャの冥界からの声は佳那晃子さんではなく、白石加代子さんが中てていますが、それがまた見事でして。
彼女は「幻魔大戦」冒頭で占い師の声も演じて異彩を放っていましたね。

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若山但馬守がヨーダもかくやとばかりに動く動く!

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観ていて怖くなるほどの火勢
ムスタファーの決闘を思い出したのは私だけ?

見どころはたくさんある本作ですが、圧巻だったのは紅蓮に燃える江戸城での最終決闘シーンでしょう。
今のようにCG合成などではなく実際にセットに火を放って撮影されたものですが、燃え盛る炎の中での緊張感あふれる演技と殺陣には感服します。
火柱の勢力と空気の揺らめきから本当に危険な中での撮影だったと想像できて、観客も緊張させられますよ。

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こ、これは・・・シスの瞳!

さて、最後に。本作を観ているとスター・ウォーズ、特にエピソード3との相似性が感じられるんですよ。
闇に堕ちた魔界衆の金色に光る瞳は、ダークサイドに堕ちたアナキンの目そのもの。
年老いて小柄な但馬守が突如として素早くトリッキーな剣技を見せるのはいやが上にもヨーダを連想します。
また、紅蓮の炎の中での十兵衛と但馬守・四郎との決闘は、ムスタファ―でのオビ=ワンVSアナキンを彷彿とさせます。
さらには十兵衛の刀を逆さまにして突き出す構えは、オビ=ワンが見せたポーズにそっくりなんですよね。
本作は海外では「Samurai Reincarnation」としてちょっとした人気だったそうですが、絶対にマネされてるぞ!だとしたら誇りに思いたいな~

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マタンゴ

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マタンゴ(1963年/日本/本多猪四郎(本編)監督・円谷英二(特撮)監督)
※ネタバレなし

東宝特撮ホラーとしてカルト人気を誇る本作。
名前だけは聞いたことがあるという方も多いのでは。
私もそんな一人。公開後50年以上経過しての鑑賞となりました。

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きぃゃ~~~っ!!
何を見たのでしょうか?
答えは一番下

<ストーリー>
青年社長・笠井(土屋嘉男)のヨットに乗り込んで航海を楽しんでいた大学教授の村井(久保明)、その恋人の明子(八代美紀)、歌手で笠井の愛人の麻美(水野久美)、推理小説家の吉田(太刀川寛)、ヨットマンの作田(小泉博)、下働きの小山(佐原健二)ら7人だったが、突然の嵐に見舞われ不気味な無人島へと漂着する。
島には座礁した謎の大型船があったが生存者はもちろん遺体の一つも見当たらなかった。船内はカビだらけでマタンゴと言われるキノコが保管されているだけ。
次第に食料が尽き、一触即発状態の7人の元に不気味な怪物が現れた。ますます混乱して飢餓状態になった彼らはマタンゴを口にしてしまうのだが・・・

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保管されていた不気味な巨大キノコ
まあ、腹減ったら食っちゃうんですけどねw

原作はウィリアム・ホジスンの小説「夜の声」。
原案には星新一の名前もクレジットされています。
内容のB級感に反して映画としてすごくしっかり作られていました。
お話しの構成や役者陣の演技も手堅いのですが、一番驚いたのは極めて丁寧かつハイレベルなセットの作り。CGやVFX全盛の現在の視点で見ても、古臭さやチープさを感じない。これはスゴいことだと思いますよ。

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主人公格の大学教授・村井
物語は一人生き残った彼の独白から始まります

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青年社長・笠井
傲慢且つ非協力的

映画の中心舞台は座礁した謎の大型船舶。
浜辺に打ち上げれたその不気味な外観、カビとキノコにまみれた船内描写。
いずれも手抜かりも不自然さも一切ない。特に外観はスケール感の大きさを感じさせてお金かかった(もしくは人手がかかった)んだろうなあ、とそんなところにえらく感慨を覚えました。

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行動力があり前向きだったヨットマンの作田
しかし最後は・・・

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下働きの小山
欲望に忠実だった彼は真っ先に・・・

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推理作家の吉田
いち早く和を乱した彼の末路は・・・

日本の特撮と言えば怪獣映画が真っ先に思い浮かびますし、怪獣自体の着ぐるみや自衛隊の兵器、破壊される街並みなんかに目がいきます。
本作ではそういった派手で仰々しいフィクションの産物は抑え目なので、改めて円谷特撮陣の力量を感じさせてくれるのですよ。
現代の技術を持ってもこれほどの見事なセットはそうそう見られないと思います。
芸術作品のようにそれらを鑑賞するのも本作の楽しみになったりするのです。

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村井の恋人、明子
「せんせ~い、キノコおいしいわよ~」

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ついに正体を現したX星人・・・
ではありませんw

終盤にはマタンゴを食べるシーンが見られますが、これは風月堂が作った「本当に食べられる偽物キノコ」。様々な物や動物を和菓子で模すのは有名ですが、こういうことにも日本の技術力がさく裂。
しかも味も悪くなかったらしく、撮影中は水野久美さんが好んで口にしていたという逸話もあります。こういう裏話も楽しいですね。

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大規模特撮セット
素晴らしい臨場感

何といっても一番の見どころは、マタンゴに侵食されたキノコ人間の特殊メイクですが、これはもうやり過ぎなくらい不気味極まるもので。
様々なホラー映画を観まくった現代の映画ファンの目にも見事なものだと感心することしきり。造形技術も素晴らしいですが、菌糸にやられて人間がキノコ化するって発想がそもそもメチャクチャ気持ち悪い。当時としてはおそらくは世界レベルでも超一級の特撮モンスターだったのではないでしょうか。
スティーブン・ソダーバーグは幼少期に本作を観てキノコが嫌いになったと語っていますが・・・さもあらん。そりゃあ子供が観たらトラウマ必至だわなw

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船内セットも非常に丁寧
手抜きを感じさせません

映画は一人生き残った男の独白からスタートします。
享楽的にヨット航海を楽しむ若者、遭難、不気味な島、飢餓、焦り、恐怖、そして訪れる破滅とモンスター。60年代映画とあって下手な外連やひねりも無くオーソドックスなので、現代の観客からしたらやや退屈を覚える展開かもしれませんが、終盤はなかなかの見応え。落ちも効いています。

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高らかに青春を謳歌
60年代セレブライフ

役者陣に目を向けますと、東宝特撮スター総進撃状態
当時は特撮映画以外にも多く出演されている売れっ子俳優さんたちですが、我々は怪獣たちの脇役としてしての演技しか観たことが無いので、主役格での彼らの濃厚な人間ドラマを楽しめるというのは、これまた特撮ファンにはたまらないものかもしれま
せん。

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きのこの山
奥にはたけのこの里が・・・ありません

本作はその強烈なイメージから現代に至っても多くの影響を残し、パロディや派生作品を生んでいます。
筋肉少女帯は80年代にずばり「マタンゴ」というタイトルの曲を歌っていましたし、橋本治はパロディ小説を書いています。西岸良平の「鎌倉ものがたり」には明らかにマタンゴをオマージュしたキノコ人間が出てきたことがありましたね。
ドラクエのモンスターやら、遊戯王のカードにもなっていたようです。
そして2008年には吉村達也による公式続編小説「マタンゴ最後の逆襲」が出版されました。
未読ですがなかなか面白いとの評判ですので、近々読んでみたいと思っています。

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はい、これを見ました
うげ~・・・
演じていたのは天本英世さんらしい

狂い咲きサンダーロード

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狂い咲きサンダーロード(1980年/日本/石井聰亙監督)
90点
※ネタバレあり

有名なカルト作品ですけれど、暴走族の抗争のお話しと聞いていたので正直軽んじていましたが・・・大間違いでした。
まさかこんなに面白いとは!

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右手右足を切断されてなおバイクで走り出すラストシーン
この笑顔!
その意味を考えると胸が熱くなります

<ストーリー>
近未来の架空の街、サンダーロード。
対立していた暴走族たちは警察の取締強化を受けて休戦協定を結ぶことになった。
しかしそれに承服できない「魔墓呂士(まぼろし」)の特攻隊長・仁(山田辰夫)たちは、リーダー・健(南条弘二)に逆らって休戦協定の場を襲撃する。報復を受けた仁たちを救ったのは健の先輩であるスーパー右翼「国防挺身隊」隊長の剛(小林稔侍)だった。
やむなく国防挺身隊に身を寄せた仁だったが、やがて反発するようになり隊を抜け、再び街で暴走行為を繰り返すようになる。国防挺身隊による報復により仲間の一人を脳死状態にされ、自身も右手足をチェーンソーで切断された仁は、薬に溺れて街を彷徨うが、やがて小学生麻薬密売人・小太郎(大森直人)と出会い復讐を決意。
全身武装した仁は国防挺身隊と暴走族連合相手に単身殴り込みをかける・・・

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走り、戦い、燃え尽きる命!

カルト映画って狙って出来るもんではないと思うんです。
必然に近い偶然が重なって重なって奇跡のように生まれてくるものなのかなあと。
本作の場合は、当時まだ学生だった石井監督の若さあふれる才気をベースに、泉谷しげるの音楽と美術小林稔侍という力あるベテラン俳優が加わり、さらには80年代という何かやるには不自由ではあったけれども寛容な世の中があって本作が形作られたのだと思います。半ば偶然に。

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仁、怒る!

しかし、本作がここまで人を惹きつけてやまない魅力を発しているのは結局は仁というキャラクター、そしてそれを演じた山田辰夫に尽きるのではないかと。
それくらい仁に、山田辰夫に求心力があるんですよ。
山田辰夫は仁を演じるために生まれてきたと言っても過言ではないですし、はたまた山田辰夫がいたからこそ仁というキャラクターが魂を持ったといえます。

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仁、走る!

では仁は一体どんな男であるのか?身体が大きいわけでもない、筋肉がついているわけでもない、二枚目でもない、カリスマを放っているでもない。
さらには仁義に厚いわけでも、正義があるわけでもないんですね。
ただ一つ彼が特別なのは徹頭徹尾、ひたすら叛逆心と闘争心をむき出しにしていることなのです。

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仁、吠える!

これがスゴイ。現実はもちろんフィクションの世界にあってすら、人は知らず知らずに「折り合い」を付けながら生きているんですよね。
社会と、権力と、状況と、親族と、友人と、異性と、お金と。
しかし彼は何にも縛られない。「神に逢うては神を斬り、悪魔と逢うては悪魔を斬る」が如く、警察に逢うては警察に逆らい、右翼に逢うては右翼に逆らう。
そこに損得勘定などありません。ただ逆らいたいから逆らう。ただ戦いたいから戦う。
何と素晴らしいことか!
まるで叛逆することが生きることそのものであるかのように仁は逆らい、戦い、そして走り続けます。例え手足を失っても。

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仁、抗う!

ではそんな彼の容姿はというと、特別でも何でもない。
ひたすらチンピラ。でもそれがイイ。
そして声がイイ例えるなら125ccの2ストバイクの排気音のよう。深みや重みなんてなく、ひたすらビィ~ンィ~ンと乾いた安っぽいエギゾーストを吐き続けている。
そんな声が仁にはぴったりなのです。

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仁、戦う!

我々は彼がうらやましいのかもしれません。
全てに「折り合う」ことでしか生きられない凡俗には到達できないほど境地に立っている彼は神々しくすらあります。
なのに外見も言動も我々が軽んじてしまうようなチンピラ風情。
そのギャップ。それが仁という男の魅力なのかもしれません。

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仁、彷徨う・・・

舞台は近未来の架空の街。しかし限りなく当時(1980年)の日本。
この設定は「ストリート・オブ・ファイア」に似ていますね。
本作は低予算故に「ストリート・・・」以上に現実の日本との差が少ないですが、敢えて架空とすることで寓話のような不思議な世界観が漂っています。
仁とともに異世界の日本を駆け抜ける錯覚に酔いしれることができますよ。

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小林稔侍
狂気を湛えた彼の演技も見事でした

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「スーパー右翼」とか「小学生ジャンキー」なんてふざけた設定も
決して笑いにならない

山田辰夫さんは2009年に53歳で亡くなっています。
本作後も魅力あるバイプレーヤーとして活躍されましたが、正直、スクリーンデビュー作である本作ほど異彩を放ったことはなかったと思います。
それはまた本作が長編デビュー作であった石井聰亙監督にも言えること。
デビュー作が突出した最高傑作。
まさに狂い咲いたと言える二つの才能。
そんなタイトル通りの奇跡があるからこそ本作は邦画史上屈指のカルト映画としていつまでも愛され続けるのかもしれません。

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要するに私は仁という男に惚れちゃったんだなあ
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