白ゆき姫殺人事件(2014年/日本/中村義洋監督)
85点
※ネタバレなし
85点
※ネタバレなし
インターネット炎上という現代的トピックをテーマに、人気の若手俳優を揃えたサスペンス映画。湊かなえ原作だけあって非常に完成度の高い見応えのあるものとなっていました。決して愉快な作品ではありませんが、最後には救いのある物語でしたよ。
おススメです。
<ストーリー>
しぐれ谷国立公園で化粧品会社社員・三木典子(菜々緒)の焼死体が発見された。同社社員狩野(蓮佛美沙子)を知人に持つテレビ局契約ディレクターの赤星雄治(綾野剛)は、彼女や他の社員たちを通じて事件日から失踪している城野美姫(井上真央)こそ犯人であると確信する。報道と同時に個人的にtwitterでつぶやきを続ける赤星。さらに城野の学生時代の友人たちとも接触をはかっていく。
一方、城野はネット評やテレビの報道をビジネスホテルで一人眺めていた。彼女は自らの過去や事件の報道を書面に綴り始める。
しぐれ谷国立公園で化粧品会社社員・三木典子(菜々緒)の焼死体が発見された。同社社員狩野(蓮佛美沙子)を知人に持つテレビ局契約ディレクターの赤星雄治(綾野剛)は、彼女や他の社員たちを通じて事件日から失踪している城野美姫(井上真央)こそ犯人であると確信する。報道と同時に個人的にtwitterでつぶやきを続ける赤星。さらに城野の学生時代の友人たちとも接触をはかっていく。
一方、城野はネット評やテレビの報道をビジネスホテルで一人眺めていた。彼女は自らの過去や事件の報道を書面に綴り始める。
果たして犯人は彼女なのだろうか・・・
井上真央は演技的な意味で「女優」だなあとつくづく感じます
インターネットの炎上騒ぎは後を絶ちませんね。
芸能人、政治家はもちろん一般人ですら容易に火がついて多くの人々から攻撃と好奇の対象となります。本作はそんな極めて今日的社会問題に殺人事件を絡めた作品。テーマを明確にして娯楽性を高めるために部分的にやや誇張気味ではありますが、ネットでの噂の浸透とか炎上騒ぎをとても上手くトレースしています。
芸能人、政治家はもちろん一般人ですら容易に火がついて多くの人々から攻撃と好奇の対象となります。本作はそんな極めて今日的社会問題に殺人事件を絡めた作品。テーマを明確にして娯楽性を高めるために部分的にやや誇張気味ではありますが、ネットでの噂の浸透とか炎上騒ぎをとても上手くトレースしています。
綾野剛
演技も顔立ちも個性的ですね
テレビ報道を引き金に確信的に容疑者とされてしまう主人公・城野美姫。
ネット上で飛び交う自分にまつわる過去・人物評・事件の動機などを見る彼女がつぶやく一言が本作の全てを語っています。
「一体、これは誰のことなのか?」
ネット上で飛び交う自分にまつわる過去・人物評・事件の動機などを見る彼女がつぶやく一言が本作の全てを語っています。
「一体、これは誰のことなのか?」
菜々緒
役柄にハマり過ぎw
ネット上での彼女の人物評は面白くおかしく形成され、のみならず彼女の周囲の発言はその者に都合よく歪めて伝播されていきます。
さらにそれを報道するものの恣意的な改変によってもはや真実とかけ離れたものが、大衆の力によって「真実」として祭り上げられていく様子が実に薄ら寒い。
実社会で炎上中のあの人やあの人やあの人。実際のところどうなのか。
さらにそれを報道するものの恣意的な改変によってもはや真実とかけ離れたものが、大衆の力によって「真実」として祭り上げられていく様子が実に薄ら寒い。
実社会で炎上中のあの人やあの人やあの人。実際のところどうなのか。
もはや個人ではそれを確かめる術などありません。
しかもこれは決して社会規模の出来事ではなく、会社、サークル、仲間内といった小さなコミュニティでも同様に、しかも容易に起こりうることだということを我々は良く知っています。決して他人事にではない薄皮一枚隔てた恐怖を見事に煽ってくれましたね。
ネット上の人々の安易な一言の数々が「個人」を破壊する
加害者は瞬時に被害者へと転じ、またその逆も・・・
さらに、真実は人の数だけあり、当人が確信している記憶ですら実は都合よく歪められたものであることは普遍的に人間が抱える問題です。
黒澤明の「羅生門」を例に出すまでもなく、ある程度年齢を重ねた大人ならそれを良く知っているはずなのですが、すぐに忘れてしまいがちだったり。
未成年たちのSNSトラブルなどを耳にするにつけ、本作のような作品を子供たちにこそ見てもらいたいなあと思います。
決して子供向けではないけれど中学生以上ならもう観させちゃっていいですよ。
個人的には文部省推奨作品にして欲しいくらい。
ビジネスホテルに閉じ籠る城野美姫
死を決意した彼女が見たものは・・・
さて、本作は構成が実に巧みでした。
狂言回しであり炎上騒ぎの発端を作る赤星は原作では雑誌ライターだそうですが、本作ではテレビ局の契約ディレクターという設定。彼が集めて伝える城野美姫に関する情報の数々もテレビ番組の放映という形をとります。
映画ですからこの設定変更は大成功。実際のインタビューのどの部分だけが取り上げられどのように歪曲されるかが極めて分かりやすく観客に伝わるのです。
報道の名を借りた無責任なテレビバラエティの裏側を皮肉たっぷりに描いたシーンも興味深いところでした。
映画ですからこの設定変更は大成功。実際のインタビューのどの部分だけが取り上げられどのように歪曲されるかが極めて分かりやすく観客に伝わるのです。
報道の名を借りた無責任なテレビバラエティの裏側を皮肉たっぷりに描いたシーンも興味深いところでした。
貫地谷しほり
最後に重要な役割を担っていました
役者陣は皆それぞれの個性が活かされた良い芝居を見せてくれていました。
特に井上真央はさすがですね。
特に井上真央はさすがですね。
本作での彼女の役どころは「地味で特徴のない女」。今をときめく女優がどう化けるのかと思っていましたが、特段メークなどで弄ることなく表情の作り方で城野美姫という女性をしっかりと作り上げていました。
被害者女性を演じる菜々緒は、失礼ながら「演技じゃなくて素だろw」と思える見事なはまりっぷり。モデル出身の彼女ですが女優としての力量も高いようです。
また、引き籠り女性・谷村夕子役の貫地谷しほりは当初ミスキャストなんじゃないの?と思いましたが最後に重要な役割があり、なるほど彼女ほどの女優を使ったのはそういうわけかと納得させてくれました。
被害者女性を演じる菜々緒は、失礼ながら「演技じゃなくて素だろw」と思える見事なはまりっぷり。モデル出身の彼女ですが女優としての力量も高いようです。
また、引き籠り女性・谷村夕子役の貫地谷しほりは当初ミスキャストなんじゃないの?と思いましたが最後に重要な役割があり、なるほど彼女ほどの女優を使ったのはそういうわけかと納得させてくれました。
ここ、うちのご近所です