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Channel: ばいきんダディの何でオレ様が・・・
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白ゆき姫殺人事件

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白ゆき姫殺人事件(2014年/日本/中村義洋監督)
85点
※ネタバレなし
 
インターネット炎上という現代的トピックをテーマに、人気の若手俳優を揃えたサスペンス映画。湊かなえ原作だけあって非常に完成度の高い見応えのあるものとなっていました。決して愉快な作品ではありませんが、最後には救いのある物語でしたよ。
おススメです。
 
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<ストーリー>
しぐれ谷国立公園で化粧品会社社員・三木典子(菜々緒)の焼死体が発見された。同社社員狩野(蓮佛美沙子)を知人に持つテレビ局契約ディレクターの赤星雄治(綾野剛)は、彼女や他の社員たちを通じて事件日から失踪している城野美姫(井上真央)こそ犯人であると確信する。報道と同時に個人的にtwitterでつぶやきを続ける赤星。さらに城野の学生時代の友人たちとも接触をはかっていく。
一方、城野はネット評やテレビの報道をビジネスホテルで一人眺めていた。彼女は自らの過去や事件の報道を書面に綴り始める。
果たして犯人は彼女なのだろうか・・・
 
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井上真央は演技的な意味で「女優」だなあとつくづく感じます
 
インターネットの炎上騒ぎは後を絶ちませんね。
芸能人、政治家はもちろん一般人ですら容易に火がついて多くの人々から攻撃と好奇の対象となります。本作はそんな極めて今日的社会問題に殺人事件を絡めた作品。テーマを明確にして娯楽性を高めるために部分的にやや誇張気味ではありますが、ネットでの噂の浸透とか炎上騒ぎをとても上手くトレースしています。
 
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綾野剛
演技も顔立ちも個性的ですね
 
テレビ報道を引き金に確信的に容疑者とされてしまう主人公・城野美姫。
ネット上で飛び交う自分にまつわる過去・人物評・事件の動機などを見る彼女がつぶやく一言が本作の全てを語っています。
「一体、これは誰のことなのか?」
 
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菜々緒
役柄にハマり過ぎw

ネット上での彼女の人物評は面白くおかしく形成され、のみならず彼女の周囲の発言はその者に都合よく歪めて伝播されていきます。
さらにそれを報道するものの恣意的な改変によってもはや真実とかけ離れたものが、大衆の力によって「真実」として祭り上げられていく様子が実に薄ら寒い
実社会で炎上中のあの人やあの人やあの人。実際のところどうなのか。
もはや個人ではそれを確かめる術などありません。
しかもこれは決して社会規模の出来事ではなく、会社、サークル、仲間内といった小さなコミュニティでも同様に、しかも容易に起こりうることだということを我々は良く知っています。決して他人事にではない薄皮一枚隔てた恐怖を見事に煽ってくれましたね。
 
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ネット上の人々の安易な一言の数々が「個人」を破壊する
加害者は瞬時に被害者へと転じ、またその逆も・・・

さらに、真実は人の数だけあり、当人が確信している記憶ですら実は都合よく歪められたものであることは普遍的に人間が抱える問題です。
黒澤明の「羅生門」を例に出すまでもなく、ある程度年齢を重ねた大人ならそれを良く知っているはずなのですが、すぐに忘れてしまいがちだったり。
未成年たちのSNSトラブルなどを耳にするにつけ、本作のような作品を子供たちにこそ見てもらいたいなあと思います。
決して子供向けではないけれど中学生以上ならもう観させちゃっていいですよ。
個人的には文部省推奨作品にして欲しいくらい。
 
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ビジネスホテルに閉じ籠る城野美姫
死を決意した彼女が見たものは・・・
 
さて、本作は構成が実に巧みでした。
狂言回しであり炎上騒ぎの発端を作る赤星は原作では雑誌ライターだそうですが、本作ではテレビ局の契約ディレクターという設定。彼が集めて伝える城野美姫に関する情報の数々もテレビ番組の放映という形をとります。
映画ですからこの設定変更は大成功。実際のインタビューのどの部分だけが取り上げられどのように歪曲されるかが極めて分かりやすく観客に伝わるのです。
報道の名を借りた無責任なテレビバラエティの裏側を皮肉たっぷりに描いたシーンも興味深いところでした。
 
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貫地谷しほり
最後に重要な役割を担っていました
 
役者陣は皆それぞれの個性が活かされた良い芝居を見せてくれていました。
特に井上真央はさすがですね。
本作での彼女の役どころは「地味で特徴のない女」。今をときめく女優がどう化けるのかと思っていましたが、特段メークなどで弄ることなく表情の作り方で城野美姫という女性をしっかりと作り上げていました。
被害者女性を演じる菜々緒は、失礼ながら「演技じゃなくて素だろw」と思える見事なはまりっぷり。モデル出身の彼女ですが女優としての力量も高いようです。
また、引き籠り女性・谷村夕子役の貫地谷しほりは当初ミスキャストなんじゃないの?と思いましたが最後に重要な役割があり、なるほど彼女ほどの女優を使ったのはそういうわけかと納得させてくれました。
 
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ここ、うちのご近所です

魔女の宅急便(実写版)

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魔女の宅急便(2014年/日本/清水崇監督)
55点
※ネタバレなし
 
公開前からネット上ではあまり好意的に受け止められていなかった本作。
しかし私は予告映像を見て、これは結構イケるんじゃないか?と思っていました。
さて結果は・・・
 
<ストーリー>
序盤の基本ストーリーラインはアニメ版と一緒です。
 
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総論としては、強烈過ぎるアニメ版の呪怨・・じゃなく呪縛から逃れられなかったというところでしょうか。
製作陣はあくまでも原作小説に基づいていることを強調していましたし、観ているこっちも極力そのつもりでいたのですが、どうしてもアレに引きずられます。
アニメではこうだったのになあとか、アニメのイメージに合ってる配役だなあとか。無意識に常に「比較対象」している。
この点は気の毒としか言いようがないのですが、企画を立ち上げた時点でそれはもう逃れられないことと製作側も承知の上でしょう。
つーか、その上で何かの目的や勝算があって企画したはずですよね。
で、結果真面目に製作されたとは思うのですが、残念ながら凡作の域は出なかったように思います。
 
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原作は未読なのですが、このイメージって原作由来?
それともアニメ?
 
まず良かった点を挙げましょう。
一番はキキ役の小芝風花ちゃんが好演していたこと。
ルックスについては賛否両論のようですが、それは「キキ」に合っているかどうかという点であって、画面を通じて見ると彼女は間違いなく一級品の美少女。しかも表情の映える「女優顔」だと思いました。また、演技もかなりしっかりしている。撮影当時は16歳のはずですが、そこらのアイドルのテレビドラマ出演のレベルとは雲泥の差。
彼女は今後活躍するんじゃないかなあ。出来れば映画の世界で頑張って欲しい。
個人的にはキキのイメージにもマッチしていると思いましたし、主役の選択は成功でしょう。
 
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ジジもアニメの実写化版に見えてしまう・・・
 
舞台は日本ベースの架空の街。ヨーロッパベースだったアニメ版と大きく変わるところですが、この点も私は好意的に捉えました。役者たちは全員日本人なわけで無理にヨーロッパ調だと違和感しか生まれなかったでしょう。
まあ、予算の問題もあったのでしょうが。
コントラストを強くして全体にビビッドな色合いにし、画面を上手に切り取ることで、見慣れた日本的風景の現実感を上手に消していたと思います。
これは製作陣の工夫が活きたところですね。
 
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ビビッドな色調はとても良かった
いいシーンですね
 
さて不満点ですが、一つはキキ以外の多くの役者たちの芝居。
現実的で生々しい演技が目立っていてそれがせっかく作った世界観から浮いていたように思います。特に負の演技。アニメでもキキを快く思わない住民たちは出てきたのですが、実写でそれをやるとすごくイヤな感じだったんですね。
いたいけな少女に対する反発が「ファンタジックな世界」を逸脱した「現実の日本社会」のようで。
これは個々の役者の演技の問題ではなく、監督の演技指導の問題じゃないかなあ。せっかく背景や小道具ががんばって作り上げた世界観を壊してしまっていたようですごく気になりました。現実に引き戻されるようで。
演技的にももっと本作独自の世界観やルールを持たせて観客を取り込むようにしてもよかったのになあ。
 
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トンボがちょっとガキっぽ過ぎたかな?
 
さらにVFXの未熟さも目立ちました。
近年の和製CGアニメはハリウッドにも負けないレベルに達していると思うのですが実写合成という意味ではまだまだ粗さが目立つ。
特にキキの飛行シーン。引きでは上手に処理できていたのですが、アップや動きが激しくなるところで昔ながらの合成感が残っていて冷めてしまいます。
「空飛ぶ魔女」というのは絵柄的にもテーマ的にも本作の肝にあたりますので、ここに弱さが見られたのは残念でしたね。
 
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おソノさんには尾野真千子
これは納得のキャスティング

あとカバの子供がなあ・・・半端に表情をアニメチックにしたことでかわいさより不気味さが目立ちましたし、身体の挙動が一昔前のゲームレベルで本物の動物らしさが希薄でした。
この「カバの子供」も物語の要点になっていただけにマイナスが目立ちましたね。
2004年ならこれらのVFX・CG上の稚拙さも許せたところですが、2014年の観客の目には厳しく映ったんじゃないかな。
 
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コキリ(キキの母)に宮沢りえ
これまた納得です
 
また演出・脚本面も悪くはないけど特別良くもないレベル。
単なる児童文学の映画化ならそれでも良かったのでしょうが、比較対象となるのが繰り返しますがあの宮崎アニメなわけですから、これはキツイ。
そもそも端々に「宮崎演出を元にした」だろうシーンが見られるのですよ。
アニメの映画化ではないといいながら結局、誰より製作陣自身がその影響から逃れられてなかったように思います。
 
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和洋折衷、異次元日本調の舞台

では、映画がつまらなかったのかと言えば決してそのレベルではありません。
一緒に観ていた6歳になる娘は最初の方こそ「アニメの方がいい~、アニメの方みた~い」と身も蓋も無いことを言っていましたが、一応は最後までテレビの前に座っていましたから。
総じて、いかに宮崎駿が偉大であるかを再確認させることになった皮肉な作品だったように思います。
 
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小芝風花ちゃん
これからも応援してあげたいですね

バンダイ フォーチュンピアノ+光るパジャマ(ハピネスチャージプリキュア!)

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久々のプリキュア記事です(^_^;)
 
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先日、次女が4歳の誕生日を迎えました。
かねてよりプレゼントを訪ねていたところ、「フォーチュンピアノ」と「光るパジャマ」欲しいとのこと。プレゼントするのはもちろんやぶさかではないのですが、おもちゃが欲しいと思うほどキュアフォーチュンが好きなのかなあ?とちょっと躊躇。
ハピネスチャージプリキュアは毎週楽しみに(父娘ともども)見ていますが、フォーチュンのものまねとか一度もしたことはありませんでしたしね。
テレビCMに釣られちゃったかなあなんて思っていたのです。
 
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やっぱ私はハニーがいい・・・
この斜め上を見つめた表情、最高です
 
まあ、私自身がそれほどフォーチュンに思い入れもなく、どうせなら大好きなハニーのアイテムである「トリプルダンスハニーバトン」が欲しい・・・間違えたふりしてそっち買っちゃうか?!なんて父親としてあるまじき思いも胸によぎったりw
もちろんさすがにそんな邪悪な行動には出ませんでしたけどね。
危ないところでしたけどね。
 
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こういうアイテムってバンダイ主導で決まるのでしょうか?
 
さて、いざ実物を手にしてみますとこれがなかなかよく出来た代物でして。
外観は単調でイマイチ面白みに欠けているのですが、鍵盤と赤外線通信でリンクして指輪の色がちゃんと変わる!
鍵盤の組み合わせによって変身の際のセリフが流れます。
「かわルンルン!」(この声がかわいいんだよな~)
モードを変えることで、早押しゲーム、占いなんかもできますし、もちろんピアノ演奏もできます。ピアノの音がいかにもおもちゃっぽい電子音なのがちょい残念。
フォーチュンは変身の前にタララララ~ンと鍵盤を鳴らすのですが、劇中通りの音色にはなりません。
それでもこれほど多くのギミックを盛り込んで楽しい商品を作り上げているのはさすがバンダイというところ。おもちゃ作りの歴史と蓄積を感じますね。
次女、もうニッコニコで遊んでいました。
ふ~、やっぱちゃんとプレゼントしてあげて良かったw
 
変身シーンはこんな感じです
 
さて、もう一つは「光るパジャマ」。
長女にも買ってあげました。次女ばかりにプレゼントするとイジけますからw
こちらもバンダイなんですね~。
今まで何度か買ってやろうと思ってはいたのですが、購入は今回が初めてとなります。購入をためらっていた理由は・・・微妙に高いからんですよw
定価で3,000円以上。子供用の長袖パジャマって、だいたい1,000円~2,000円くらいで買えますからね。西松屋とかなら。たかがパジャマにキャラがついてるだけで1,000円も余分に払えるかってのが親の偽らざる本音じゃないでしょうか。
でも商品としては結構よく出来ていましたよ。キャラのプリント、縫製、細部の細工、生地の心地よさ。いずれも高いレベルです。
この辺り手を抜けば今の消費者は容易に離れてしまいますからね。
ちょっと残念だったのは肝心の光る部分。てっきり、キャラプリント部分全体が光るのかと思っていたのですが、袖の先のごく一部しか光りませんでした。
子供たちはとても喜んでましたけどね。
まあ、光って喜んでいたのは初日の夜だけでしたがw
 
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ノリノリでポーズ決めてくれました
 
上にも書きましたが、私的にはキュアフォーチュンこと氷川いおなにあまり萌えを感じていませんでした。そもそも中年男を萌えさせるためのアニメじゃないだろうという突込みはさておきw)
でもここに来て急に結構好きなキャラになってきちゃってたり。
一つには後期エンディングテーマのフォーチュンのダンスがキュートなんですよ。
「フォ~オチュンなお~月~さま~♪」ってとこがね、とってもね。
これは動画貼っときますんで是非ともご確認を。
 
プリキュアのEDは毎度かわいいですね~
 
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気の強い格闘系のフォーチュンがキュートなアイドルダンス!
このギャップがイイ!(44歳サラリーマン談)
 
さらには声を演じる戸松遥さんがなかなかに良い。
最近の声優さんにはかなり疎いので、最初は全然意識していなかったのですが、フルタ製菓のCMで彼女を見まして。
「おや?これっていおなの声の人?へ~美人なんだな~」なんて。
さらには「この声、他でも聴いたことあるな~」と思ったら妖怪ウォッチのケータの声も中てているんですね。
ほ~、これはなかなかの実力派。かつ美人。
妖怪ウォッチの大人気を思えば今後20年以上のアニメ放映もありうる話し。生涯就職系の役柄を手に入れるとは運もありますな。
大人の女性の役も似合いそうなので、今後は洋画吹替えにもどんどん進出してもらいたいものです。
 
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フルタ製菓のCM
目を惹きます

クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん

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クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん
(2014年/日本/高橋渉監督)
85点
※ネタばれあり
 
やっぱクレしん映画は面白い!
しかも単におもしろおかしいだけではなく、たまに映画作品として傑作レベルのものを輩出してくれるからすごい。本作は名作の誉れ高い「オトナ帝国の逆襲」「戦国大合戦」に次ぐ久々の快作!
クレしんファンならずとも必見です。
 
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<ストーリー>
腰を痛めたしんのすけの父・ひろしが美女と無料体験に釣られてついて行ったマッサージ店。目を覚ましたひろしはロボットの姿に変わっていた!
最初は恐れおののくみさえたちだったが、ロボひろしの家族への思いは変わらないことに気付き次第に彼を受け入れ始める。
しかしある日を境に暴力的で威圧的な父へと豹変してしまうロボひろし。彼は父権復活を企てる「父ゆれ同盟」なる組織の先兵として改造されてしまったのだ。
しんのすけに機転により正気に戻ったロボひろしとしんのすけが「父ゆれ同盟」の秘密基地内で発見したのは意外にも生身の野原ひろしだった・・・
 
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突然のぎっくり腰
中年男が抱える恐怖の一つです
 
本作に限らずですが、劇場版クレしんは子供以上に大人に訴えかけるテーマがあるのが真骨頂だったりします。テレビシリーズでも、子育てをするパパママが「あ~、あるあるw」と笑って共感できるものが溢れているわけで。
とりわけ劇場版は大人の心に染みわたるようなテーマが見え隠れしています。その最たるものが映画ファンの間でも傑作の誉れ高い「オトナ帝国の逆襲」でした。
本作においては父権復活というテーマが分かりやすく前面にフィーチャーされています。
 
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美女につられて怪しげなマッサージ店に入るひろし
入店後に待ち受ける彼の運命は・・・
部分的にリアルだなw
 
男が家事や育児をするのが当たり前になって久しいです。
「イクメン」などという言葉に踊らされるまでもなく、今の小中学生以下の子供を持つ男たちの大半は当然に家事と子育てに勤しんでいるんじゃないでしょうか。
これは男性の認識の変容以上に、単に共働き家庭の増加という経済事情・家庭事情をそのまま反映した結果なのではと思います。
例えば、夫と妻の収入比が6:4であれば、家事子育てを4:6で夫が負担するのは当然でしょ?我が家も全くその通りでして。
では夫が経済事情の延長で家事育児をしているのかと言えば決してそうではなく。育児ってとてつもなく大変ですけど、でもそれ以上にすごく楽しいわけで。
少なくとも私はかつて自分が親に育ててもらった記憶の追体験をしているようで常々懐かしみながら子育てしています。
 
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ロボひろしのエネルギー補給口は・・・
「ろぼっ子ビートン」のネンネンを思い出したあなたは超上級者w
 
そう。子育ても家事も楽しい。疲れているときは面倒だと思うことはしょっちゅうですがさほど苦にはなりません。
しかし・・・・父親にかつてあったような「父親らしさ」が喪失してしまったなあというのも事実です。(同時に「母親らしさ」もまた・・・)
それは決して男尊女卑などではなく、役割分担としての古き良き日本の価値観だったと思うのです。そこに一抹の寂しさが無いと言えばウソになるでしょう。
本作は、そんな寂しさから派生する父親側のストレスをちょっと過激な形で「家事・子育てマシーン」のロボとーちゃんを介して具現化しています。
 
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ロボ化した夫をよそにイケメンに見とれるみさえ・・・おいw
 
と、それは表のテーマ。本作にはもう一つ裏テーマと呼べるものがあります。
それはSF作品などでしばしば見られる哲学的要素。
すなわち「もう一人の自分」「アイデンティティクライシス」
ネタバレしますと、ロボとーちゃんの頭脳はひろしの心を写し取ったコピーなんですね。しかしロボひろしは自身がひろしであることに一片の疑いも持っていない
当初は受け入れてくれない家族(特にみさえ)に対し、家族への命がけの行動を示すことで彼はようやく野原家に受け入れられます。
ロボの体に変わってしまったもののなお変わることなく、それどころか一層張り切って野原家の大黒柱として奮闘するロボひろし
しかし生身の本物のひろしが現れることで状況は一変。抱きしめあって愛情を確認したはずのみさえがロボの自分に見向きもせずに生身のひろしへと駆けていくシーンの物悲しさは子供映画を超えた切なさと残酷さを秘めています。
 
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一度は受け入れられたロボひろしだが・・・
 
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このシーンは切ない・・・
 
「俺は、俺であるはずなのに俺ではない」
おそらくわが身に降りかかれば発狂しそうなこの残酷なテーゼ
本作はそこからスラップスティックなギャグとアクションの連続で、正面からこれに向かい合うことを、おそらく意識的に避けています。まるで現実を直視できないロボひろしの心情を表すかのように・・・。
最後は壊れた機械の体にロボひろし自身がついにその現実と対峙します。
己の思いのたけを託すために生身のひろしとのタイマン腕相撲。
そしてしんのすけとの別れの瞬間。
観ているこちらは生身のひろし以上にロボひろしに感情移入してしまって。
単なるロボットの死を超えた父の死を見せつけられるようで胸が詰まります。
これは・・・ああ、そう。ターミネーター2のT800の散り際に似ている。
あのT800は少年ジョン・コナーにとって紛れもない「父」でしたから。
 
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ロボとーちゃんっ!
 
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ひろしVSひろし
受け止める思い・・・
 
と、一流映画に負けない感動を与えてくれるかと思いきや、ギャグとしても超一流。いつもの「変なおっさん」「変なメカ」「やたら色っぽい美女」も健在。
特にボスメカ「巨大五木ロボ」の動きが傑作
これは言葉では表現できないので是非ご自身で確認して頂きたいです。
(つーか、そもそもよく五木ひろしのOKが出たなあ・・・w)
テーマ、ギャグ、アクション、涙と感動。
これだけの要素を破綻することなく一本の映画として成り立たせているのは20年以上に渡るシリーズ映画の蓄積のなせる技なのでしょうか。
毎年一度クレしん映画が楽しめるというのは日本の映画ファンにとっては僥倖なのだと改めて感じた次第です。
 
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巨大五木(つーか、コロッケ)ロボw
腹抱えて笑いました
 
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11月17日、園長役の納谷六朗さんが急逝されました
一番印象に残っているのはミンキーモモのパパです
優しさを湛えた素晴らしいお声でした
ご冥福をお祈り致します

インターステラ―

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インターステラ―(2014年/米・英/クリストファー・ノーラン監督)
100点
※ネタバレなし
 
素晴らしいハードSF映画でした。
例えるならクリストファー・ノーラン版「2001夜物語」。
万人にこの評価を求めようとは思いませんが、個人的に点を付けるならこうなります。
まさにこういうSF映画が観たかった!
 
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<ストーリー>
未来の地球。
気候変動により未曽有の食糧難に見舞われた人類は、軍隊と科学技術の伸長を捨て農作業に勤しんでいた。しかし極秘裏に存続していたNASAは迫りくる人類滅亡を前に異星への移住を計画していた。
元宇宙船テスト飛行士だったクーパー(マシュー・マコノヒー)は、NASAのブランド教授(マイケル・ケイン)に懇願され、最愛の娘マーフ(ジェシカ・チャステイン)を残して教授の娘のアメリア(アン・ハサウェイ)らと共に移住可能な外宇宙惑星探索へと旅立つ。必ず帰ってくるとマーフに告げるクーパーだが、地球と光速を超えて航行する宇宙船は残酷なまでに時の流れが異なっていた・・・
 
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こういう絵だけでワクワクする方
見逃さずに鑑賞しましょう!
 
私の最も好きな映画の一つに「コンタクト(1997年/米/ロバート・ゼメキス監督)」があります。
宇宙からの電波をひたすら解析して知的生命体のメッセージを拾うべく努める研究員エリー(ジョディ・フォスター)の物語。
原作はカール・セーガンとあって科学的考証は完璧(たぶん)。物語も非常に骨太で外連味は少ないのですが、しかし最上級の知的興奮を味あわせてくれた名作です。
興行的にはイマイチだったそうですが、映画史上屈指のハードSFだったと個人的には思います。
 
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クーパーたちを待ち受ける地球では考えらない困難の数々・・・
 
本作には同様の知的好奇心に加えて、ゆっくりと(しかし天文学的見地からは一瞬)迫る人類滅亡の恐怖と、ウラシマ効果に翻弄される家族の絆が見事に描かれています。加えて圧倒的な映像美センスオブワンダー溢れる舞台設定
169分の上映時間は一縷の隙も無く圧倒的に過ぎていきます。
心が打ち震えるようなシーンがいくつもありましたよ。
 
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遥か外宇宙へと旅立つ父
今生の別れになるかもしれない・・・
こんな娘残していくなんて俺にはできない(T_T)

緻密なSF設定と映像美に支えられている本作ですが、しかし要訣は主人公クーパーとその娘マーフの揺れ動く絆です。
決死の旅路を前に必ず戻ってくるとマーフに告げるクーパー。
しかし二人を分かつ残酷な「時間」の壁。クーパーにとっての数時間はウラシマ効果により、地球に残るマーフには数十年の時が流れてしまいます。
これは・・・そう、前述した私の大好きなSFコミックである星野之宣の「2001夜物語」の一編を彷彿とさせます。
 
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一方、幼い愛娘を置いて旅立たなければならない父
察してあまりあり過ぎます・・・泣けた(T_T)
 
さらには同じく私の大好きなアニメ「トップをねらえ!」もまた思い出させてくれます。5話での病に侵されたオオタコーチを残して決戦に向かうお姉さまの抱える苦しみ。2話での「ア、アマノ・・・何秒、遅れた」も名セリフでしたね。
話しが逸れましたが、ウラシマ効果による時間のイタズラは素晴らしい物語を提供してくれます。
そう言えば「トップをねらえ!」でも「コンタクト」でも父娘の絆が描かれていたんだなあ・・・
ああ、今さらながらなんで私は娘が欲しかったのか思い出しましたよw
 
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クーパーと共に旅するアメリア博士にアン・ハサウェイ
美味しい役柄でした
アン、好感度アップか?
 
さて、べた褒めばかりの本作ですが、客観的に見ると欠点が無いでもありません。
一つには科学用語・概念が説明も無く出てくる点。
「事象の地平線」だの「特異点」だの「五次元世界」だの。
馴染みのない方にはチンプンカンプンになるかも。
もっとも私とて単なる文系人間でして、概念の真の理解には程遠く。それらの用語を何となく知っている程度ならそれで十分なのですけれどね。
また、本作の批評の中心となるラストのオチ難解な上にご都合主義的超展開などと言われていますが・・・これはぶっちゃけその通りw
ここをどの程度咀嚼して鑑賞できるかで本作の評価は大きく変わってしまうかもしれませんね。
「納得できん」というご意見に反対はしません。
これはもう個々人が受け取る感覚の問題でしょうから。
 
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父と娘
人生のうちに向かい合って会話する時間がどれだけあるのか・・・
伝えたいことは多過ぎます
 
「ダークナイト」以来あっという間に名匠扱いされるようなったクリストファー・ノーラン
確かに「ダークナイト」も「インセプション」も大変面白く、従来のハリウッド作品にない東洋哲学的発想を作品に散りばめる監督だと思っていたのですが、実はイマイチ私的にはピントが合わない監督さんでした。
しかし本作で一気にその距離が埋まりましたね。本作については拍手喝采です。
 
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成長したマーフ役にジェシカ・チャステイン
「ゼロ・ダーク・サーティ」が記憶に新しいです

また、役者陣には文句の付けどころが全くなく。これまた私の大好きなマシュー・マコノヒーの演技を濃密に堪能することができました。
ああ、そう言えば彼は「コンタクト」にも出演したんですね。「U-571」や先日ご紹介した「ダラス・バイヤーズクラブ」などなど作品的にも彼は本当に私の好みとのマッチングが高い。
 
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クーパーの腕時計はHamilton Khaki
モデル違いですが偶然私の愛用ウォッチと同じ
これで私もマコノヒー!w

同い歳なんだよなあ。
ほんとイイ男だ。
経験に裏打ちされた豊富な知識と人間的な深み。失われない行動力と情熱。そして家族を持ちつつも一層の磨きがかかるセクシーさ・・・じっと我が身を見る・・・ダメだこりゃw

釣りキチ三平「少年の夏」

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釣りキチ三平「少年の夏」(講談社KCスペシャル1巻収録)
 
ご存知、釣りマンガの元祖「釣りキチ三平」。
今回は10年間に渡る長期連載の中で印象に残る異色の一編をご紹介しましょう。
 
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殊更釣りキチ三平をご紹介するくらいだからお前は釣り好きなのかと思われそうですが、実はそうでもなくwここ10年以上ご無沙汰ですし、自宅には竿一本ありません。
そうは言っても子供の頃はちょくちょく楽しんでいました。
釣り場はもっぱら近所のため池。
南大阪に土地勘のある方ならお分かりでしょうが、河内や泉南はそこらかしこにため池と古墳があるんですよ。
 
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自宅近くに美しい沢が・・・うらやましい
私の実家の近くには臭いため池しかありませんでしたw

釣れたのは鮒、ブルーギル(ブルギル)ばかり。鮒はひたすら我慢勝負。
ブルギルは食いつきも引きもいいですけど、やたら針を飲み込んじゃって。
当時は思いつきもしませんでしたけど、アレ食べられるらしいですね。
美味しいという噂もありますが、汚いため池で釣れたアレを食べる気はしません。
そんなわけで楽しみはしたけど夢中になるほどでもなく。
少年ばいきんダディの釣りカタルシスの解消はもっぱらフィクションの世界。
釣りキチ三平だったわけです。
巨大魚釣りにはワクワクしましたね。ブルーマーリン、イトウ、数々の主。
少なからず人間ドラマの側面もありましたがそういうのには当時あまり興味も無く、もっぱら巨大魚との息詰まるバトルにばかり目を向けていました。
 
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デートの約束忘れてた三平に怒るユリッペ
一作目かな?「さらば」の方かな?
そんな中やたら印象に残っていたのが今回紹介する「少年の夏」。
突然の雨にびしょ濡れになったユリッペに、普段は朴念仁の三平君がちょっぴり女性を感じてしまうというもの。
読んでるこっちが思わず「くあ~、オラこっぱずかしいだ~」と秋田弁で叫んでしまうような思春期の少年少女の甘酸っぱい短編です。
 
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雨に濡れて服が透けているのを恥ずかしがるユリッペ
早く木陰に入れと、三平、おかまいなしに胸をグイッ
 
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アニメだとこんな感じでした
 
ユリッペ、かわいいですよね。
おきゃん(死語)で騒々しいですけど、いつも陰ながら三平を見守っている姿がけなげで。実は正統派の黒髪ロングの色白(たぶん)秋田美人だったり。
今なら立派な萌えキャラですよw
ユリッペと三平はいつも対当に口げんかしていますけど、実はユリッペの方が2歳も年上という設定。
外見上は年齢差が無いような気がするんですけど、それを念頭に置くと作品を見る視点がまた違ってきて面白いかもしれません。
 
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ユリッペの態度でようやく女子の胸に触っちゃったことに気付く三平
鈍いぞw
 
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アニメではこう

三平は11歳。ユリッペが13歳。う~ん・・・小6と中2?女子の精神年齢の高さを思えば、小6男子なんて随分と子供に見えるでしょうね、実際は。
ユリッペが三平から釣りの手ほどきを受けたエピソードでは、超上から目線の三平にユリッペがブチ切れたりすることもありました。その辺りの三平の無神経さというんでしょうか、それは単に年下だからというよりは、オタクが自分の得意分野で偉そうになってしまうのと同じような気がして。
三平君はルックスも良く快活な少年なので忘れがちですけど、彼は今でいう完全なオタクだったりするんですよ。してみると、オタク少年に美少女がまとわりついているという現代の萌えマンガにありがちな構図そのままなわけでして。
なるほど、青少年がマンガに求めるフォーマットは今も昔も変わらないのかもしれません。
 
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・・・・。
三平、脳内妄想を言語化するタイプですなw
 
矢口高雄先生によると、本作は、みなみらんぼうの「少年の夏」という曲からインスピレーションを受けて描かれたものだそうです。
作中歌詞も併記されているのですが、情景からシチュエーションまでかなり直接的に「少年の夏」の歌詞に従う形になっています。
濡れた服にシルエットが浮き彫りになりドキッとしたりとか、雨上りの虹を追うとか。「少年の夏」の動画も貼っときますので、ご興味のある方は是非。
ちなみに、みなみらんぼうと言えば「山口さんちのツトムくん」ですけど・・・今の20代以下の方はご存じないでしょうね。
 
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「少年の夏」の歌詞がそのまま掲載されています
 
「少年の夏」
 
さて、異色の本作ですが、何とテレビアニメ化もされています。すこし形は変えられていますけどね。97話「若鮎たちの夏」がそれ。
魚紳さんから一年間の海外釣りツアーに誘われるも迷う三平を鼓舞するするユリッペ。少年少女の甘酸っぱい交流というテーマはテレビ用にボカされてしまっていますが、雨宿りのシーンなどはそのまま。
しかも驚くことに作中でみなみらんぼうの「少年の夏」が流れるのです。
テレビアニメ版は毎週楽しみにしていましたので当時も観ていたはずですけど・・・完全に忘れています。
この曲のせいもあって97話もまた異色作の様相があります。
 
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さりげなく野に咲くユリをユリッペに渡す三平
朴念仁かと思いきや、なかなかやるな・・・
 
アニメで三平を演じていたのは野沢雅子さん。鉄郎や悟空と同様にこれ以上ないくらいピッタリとマッチしています。ユリッペには白石冬美さん。これまたベストキャスティング。独特の甲高い声質が7~80年代アニメのヒロインらしい。
魚紳さんは故・野沢那智さん。これは忘れちゃってたなあ。
当然、三平とユリッペの会話はオール秋田弁
主人公とヒロインがずっと東北言葉をしゃべり続けるアニメは他にはないのでは?
野沢雅子さんと白石さんは東北ご出身ではないのですが、関西人の私にはすごく上手に思えます。でも、ネイティブの方が聞いたらどうなのでしょう。
大阪では「じゃりン子チエ」がエンドレス再放送されていたように、秋田ではヘービーロテで放送されていたり・・・しないか?(^_^;)
 
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ヤマユリかな?
ユリは美人の代名詞です
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プロフィール画像変えました

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プロフィール画像を変えてみました。
 
ずっと同じプロフィール写真でいるつもりだったのですが、気分転換もいいかなあと。
以前も申しましたが、従来のプロフィール写真は私の大好きな映画の一つ「コララインとボタンの魔女」のコララインのお父さん
特に思い入れのあるキャラという訳ではありません。
単なる思いつきでしたw
 
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元画像をモノトーン化&解像度粗めに設定
 
さて、今回の画像はやはり私の大好きな映画「シュガー・ラッシュ」のヒロインのヴァネロペちゃん。本名、ヴァネロペ・フォン・シュウィーツ
久々に娘たちと本作を観返したところ、やっぱりとても面白くって、ヴァネロペがすごくかわいらしくって。豊かでコロコロと目まぐるしく変わる表情はうちの次女にちょっと似ているかなあ。
 
クライマックスのレースシーンで、敵役であるキャンディ大王をパスするシーンのドヤ顔があまりにも魅力的でしたので、そこを頂きました。
中年男がかわいい女の子をプロフィール写真にするのはどうよ?と思わなくもないのですが・・・まあイイやw
 
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キャプチャー画像を切り抜いて・・・
 
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右下に透過光っぽい効果を入れ・・・
 
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さらに左上にスポットライトを入れて
会心のドヤ顔を強調してみました
 
しばらくはコレで通してみようと思います。
独断と偏愛と思いつきだらけの中年男のオタクブログ。
引続きお付き合いのほど、宜しくお願い申し上げます<m(__)m>
 
追伸
明日からまた函館出張(前回前々回前々々回に行ってまいります。
ご返信等遅れるかもしれませんが、ご了承いただければ幸いです。
 

フューリー

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フューリー(2014年/米・英/デヴィッド・エアー監督)
80点
※ネタバレなし
 
出張の合間、函館五稜郭近くの小さな映画館で観てきました。
フロアなんてまるで町医者の待合室みたいな雰囲気。
でもTOHOシネマだのイオンシネマなんかの大きい現代的な映画館に慣れた今にしてみるとすごく懐かしくて。
昔は東京大阪にもこんなミニシアターがたくさんありましたよね。
 
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<ストーリー>
1945年4月。連合国はドイツへの侵攻をかけていた。
米軍シャーマン戦車「フューリー」は、車長ウォーダディ(ブラッド・ピット)の下、砲手バイブル(シャイア・ラブーフ)、装填手クーンアス(ジョン・バーンサル)、操縦手ゴルド(マイケル・ペーニャ)らクルーで多大な戦果を挙げていた。副操縦手として新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)を加えて彼らはさらに激戦へと没入する・・・
 
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池やんさん
出番ですよ!(笑)
 
全世界5億人(適当)の戦車ファン待望の本作。
戦車戦に関してはその期待から全く外れることは無く、息詰まるアクションには度胆抜かれましたよ。間違いなく映画史上断トツの戦車アクションシーンでした。
戦車同士が向かい合った時に展開される双方の動き、戦車砲や機銃が戦車にあたった時の跳弾・貫通、搭乗員たちの内部の操作・連携。
どれもこれも戦車ファンにとってはたまらんのではないでしょうかね。
おそらくオールド兵器ファン、模型ファンの方々には資料的な意味合いでも目が離せないでしょう。
 
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真摯ではあるが口数は多くなく
目線を逸らしているかと思えば正面から見つめてくる
ブラピ独特の演技が満載でした
 
でも良く考えると戦車戦を主題にした映画ってそんなに無いですよね。
昔、「パットン大戦車軍団」を観ましたけど、こんな迫力は無かったように記憶しています。特に近年ではほとんど見当たらず、アクション映画中での兵器の一つという位置づけ程度の描写であるように思います。
そういう意味では本作は現代においては異色の題材だったのかもしれません。
 
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新兵ローマン役のローガン・ラーマン
実際の主役は彼でした
 
内容について一言で表すなら、ハリウッド版「松本零士の戦場まんがシリーズ」
リアリティ溢れる戦闘、作品全体を漂う寂寥感、兵士・民間人の人間模様。
私的にはイメージは見事に合致します。
つまり、単純な娯楽戦闘アクション映画ではないんですね。
冒頭から目を背けたくなるような死屍累々の戦場の現実が描写されていますし、野卑な兵士たちの言動や行動には爽快感など希薄ですし、敵兵との心温まる交流なんぞもありません。
豊富なアクションシーンとは裏腹に、「プラトーン」や「フルメタルジャケット」にも通じる重い「戦争ドラマ」が話の主軸だったりします。
映画としてこれが功を奏したと言えるのかどうか正直微妙だともうのですが、これについては後述します。
 
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ブラッド・ピット
どんな映画のどんなシーンでも絵になります
 
登場人物たちにヒーローはいません。
戦争に参加させられた「等身大の人間」が描かれていたのではないでしょうか。
家族の写真を見せて命乞いする敵兵を当然のように射殺しますし、占領した敵国の町では物も女性も蹂躙していきます。
悪人?冷酷?残忍?
いえ、これが戦時下での兵士の現実だったのでしょう。善人面して平和な現代の環境に生きる我々も、一度その立場となったらそうなることが容易に想像されます。
実際、人道的で甘ちゃんな新兵も、聖書の一節を常に口にするベテラン兵も等しく最後は「F○CK!」と口にして敵を撃ち殺していきます。
戦時下では人間はこうならざるを得ない。
これこそが本作の真のテーマなのではないでしょうか。
 
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ドイツの田舎町に侵入するシャーマン
これまたディオラマの世界
 
それを理解すると、主人公であるウォーダディの一見すると矛盾に孕んだ人物像が理解できてくるかもしれません。
仲間に思いやりをもって接したかと思えば、新兵に無抵抗な捕虜を射殺することを強要し。占領下の敵国女性に紳士的に振る舞ったかと思えば、隠れていた若い女を新兵に抱かせようとする。また、仲間が死なないように全力で作戦を遂行したかと思えば、死が見えている無謀な戦いに彼らを巻き込む。
それは全て戦時下の最前線という極めて特殊な状況に置かれた人間の反応であり、平和な環境下では「狂気」としか思えない有様を我々に提示しているのだと思います。
この物語を宣伝文句にあるような単純な男たちの「友情」だの「信頼」だのに落とし込んで欲しくはないなとは思いました。
 
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ティーガーⅠVSシャーマン!
白熱の近距離戦!!
 
てなわけでなかなか見応えのある考えさせる戦争ドラマです。
しかし、それが映画として成功していたのかどうか。少なくとも私的には一本の映画としては妙にチグハグになっていたようにも思います。
それくらい戦車戦が面白いのですよ。すっげーワクワクする。血沸き肉躍る。
だからね、重々しい戦争ドラマが正直足を引っ張るんですよ。
それは別の映画でやってくれと。
戦争娯楽アクションとして単純な男たちの友情と信頼が見たいなあとw
ブラッド・ピット自身がプロデュースしていますから、その手のB級アクションでは終われないでしょうけれどね。
 
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シャイア・ラブーフ
中年男・・・と思ったらまだ29歳でしたw
 
そのブラッド・ピットですが、いかにも近年の「ブラピ」らしい役柄が無難にマッチング。新兵役のローガン・ラーマンはキツネ顔のチビなんですが、映画が進むとすごく魅力を増していきます。彼はポール・アンダーソン監督の三銃士でダルタニヤンを演じていましたがそちらも同様なかなかの好演でした。
10年前なら新兵役が似合いそうだったシャイア・ラブーフ味わいある中年男を演じられるようなったようで。
個性の全くちがう戦車クルーたちはそれぞれが皆よい演技を見せてくれています。
 
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意外と評価が分かれそうな本作。
しかもブラッド・ピット主演ですが広く好まれる映画でもなさそうです。
しかし、戦車ファンの方なら諸々の事情はさておき必見と言わざるを得ません。
 
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みなさん、一番好きな戦車は何ですか?
私は陸自の74式が好きなんです
子供時代の刷り込みかなあ
私にとってはこれぞ戦車!

オール・ユー・ニード・イズ・キル

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オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014年/アメリカ/ダグ・リーマン監督)
70点
※ネタバレなし
 
トム主演SF映画と言えば「オブリビオン」が記憶に新しいですね。
あちらはまあまあの映画でしたが、さて、こちらの出来は・・・?
 
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<ストーリー>
近未来。人類は謎の異星生物の侵攻により追い込まれていた。
報道士官ウィリアム・ケイジ少佐(トム・クルーズ)は将軍の転属命令に逆らったために二等兵に格下げされて前線へ放り出される。案の定戦場でオロオロしているうちに命を落とすケイジだが目を覚ますと出撃の前日へと時間が巻戻っていた。
死ぬ度にタイムループを何度も繰り返すケイジ。やがて「戦場のビッチ」とあだ名される女性兵士リタ・ヴラタスキ(エミリー・ブラント)と出会い、彼女もまたタイムループ経験者であることを知る。
ケイジはリタから戦闘訓練を受け異星生物撃退の方策を模索し始めるが・・・
 
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ニヤニヤ、ヘラヘラのカッコ悪いトム
初期設定レベル1

原作は日本のライトノベル!
タイムループ物のアクション映画ときてはかなり興味がそそられます。
トム映画なら当然水準以上には達しているのでしょうし。
しかし結論から言うと、私的にはこちらもまあまあといったところでした。
主人公が同じ時間を何度も繰り返すというのはアイデアとしては珍しくないです。しかし、それをまるでアクションゲームに当てはめるような形で活かしたのが面白い。
 
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初陣トム、ビビりまくり
後ろのベテラン兵に笑われてますw
レベル2

死んでゲームオーバー。はい、やり直し。前回はここで死んだから、そこはこう回避してクリア。次に進んでまた死んで・・・の繰り返し。
実戦と訓練を幾度となく繰り返し、気づけばトムはエース級の戦士へと成長していきます。この辺りもアクションゲームそのままですね。
 
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訓練中のトム
ヘロヘロw
レベル5
 
笑ってしまったのは、トムが訓練中に骨折しちゃシーン。死なないまでも後の戦闘には耐えられない状態になるわけで、そうなるともう「プレーヤー」としては役立たずなんですね。だからヒロインに「骨折?じゃあ死ね」とばかりにサクッと射殺されちゃう。で、また最初からやり直しとw
ヒロインが極めてサバサバした性格なので、躊躇なく生きているトムを殺るんですね。いくら生き返る(というかリセットされて時間が巻戻る)とはいえトムにしたらたまったもんじゃない。
このシーケンスは本作の一番の面白みでした。
 
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は?骨折した?じゃあ、死ね
トム、オープニングからやり直しw
 
また、ゲームキャラを育てるかのような演出上、映画冒頭のトム、つまり初期設定のトムはやたら使えない兵士なんです。
そもそも彼が二等兵格下げで前線に送られたのも将軍の前で「え~、僕、広告担当なんで現場はちょっと~・・・どうしても現場に出すならあんたの評判落とすけど?」的なことぬかして将軍の逆鱗に触れたから。
腑抜け、卑怯、戦闘能力ゼロといつもの「ザ・ヒーロー=トム」とは打って変わった存在なのでそのギャップが実に愉快。
これは従来から作り上げられた「トム・クルーズ」という役者のイメージがあったればこその面白みでしたね。
 
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見よ!この凛々しいトムを!(ループ数十回後)
レベル30!
中ボスなんか余裕だぜ!
 
演出面では、ループものにしばしば見られる「かったるさ」を上手に回避していたのには好感を持てました。
主人公と一緒に何度もループシーンを見せられるのは意外にたるいんですけど、本作ではそれをサクサクっとテンポ良く流して、かつ何度もループしたからこその障害のクリア方法をさらりと見せてくれるので、むしろ爽快感が生まれました。
ここは監督の腕の見せ所だったのかもしれません。
 
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戦闘を前にして冷静そのもののトム
そりゃあ、これから起こること全部把握してるからなw
レベル40
 
さて、では何が不満だったのかというと肝心の「ループの理屈」「敵の倒し方」がどうにも突飛でして。
もちろん映画内ではちゃんと理屈付けされているんですけど、あまりにもご都合主義な設定なので釈然としない。釈然としないので謎解きやら解決策を示されても「なるほど!」とは思えない。「ふ~ん、そうなんだあ」みたいな。
はっきり言うとラストがあんまり面白くないんです。
原作小説は未読ですけれど、この辺り文章だともっと理詰めで楽しめるようになってるのかもしれませんが、いかんせんテンポが命のアクション映画では消化不良になっちゃってました。
 
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慣れた表情で戦場に降り立つトム
レベル50
ステージクリアまであと一歩
 
キャラクターに目を向けるとトムはもう相変わらずのトムでして、文句の付けどころなくトップスターとして輝いていました。
が、問題はヒロインをはじめとする他の人たち。
イマイチ魅力が無い。入れ込めるキャラがいないんですね。
この点は「オブリビオン」とよく似ています。
やっぱ映画を観ていて主人公以外に「ああ、このキャラ(役者)いいなあ」と思えないようでは映画そのものを好きになれませんよ。
せめてヒロインくらいもっと「ええ女やな~」と目線も気持ちも惹かれるくらいのを用意してもらわないと。
 
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ラスボス倒して清々しいトム(ループ数百回後?)
二枚目の写真と比較して下さいw
 
てなわけで、アイデア良し、演出面ではみるべきものがあり、アクションシーンは一見の価値あるド迫力ながら3日経ったらすっかり忘れちゃいそうな映画でした。

海洋堂 1/35アクションフィギュア スコープドッグ レッドショルダーカスタム

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10年以上前に購入したものです。
 
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カッコいいにもほどがある
 
ご多分に漏れず私もボトムズが大好きでして。
どれくらい好きかといいますと、中学時代の一時期、自室でエンドレスでボトムズのBGMを流しながら(これがまたカッコいいんだ)キリコに成りきるかのように親にぶっきらぼうな態度や言葉を使っていたくらい。(単に反抗期だったという説もありw)
冗談はさておき、背伸びしたい盛りの中学生の心に響くような「大人のドラマ」を感じさせてくれましたね。
ちなみに大学時代にはクソ高いLD-BOXまで購入しましたよ。はい。
 
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本モデルはウド編でのレッドショルダーver.スコープドッグ
本当のレッドショルダーは右肩ですが、バニラが間違って塗装したもの
 
血と硝煙の匂いたなびく戦場、静かに惹かれあう男女の情念(つっても作中のキリコは18歳。ガキやがなw)、疑似リアルウェポンであるATアクション。
前作となるダグラムも実は相当大人っぽいドラマだったのですが、いかんせん政治劇の絡んだ泥臭い作風はまだ中学一年だった私では大人っぽすぎて付いて行けなかったw
乳首が見えそうな衣装の主人公があまりカッコ良くなかったというのも要因の一つでしたが、ズシンズシンとひたすら地面をはい回るメカに爽快感を得難かったというのも中学生的には大きかったかな。(あ、でも今となってはダグラムもかなり好きなのです。特にデザイン面だけならスコープドッグよりダグラムの方が好きかもしれません)
総じてダグラムは物語面で大人っぽく、ボトムズは演出面で大人っぽかったというところだったでしょうか。
 
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武器セットも充実です
 
そして当時の私を痺れさせてくれたのは果てしなくカッコいい予告編のナレーション。つーか、40歳超えた今になっても痺れる。めっちゃ痺れますw
銀河万丈さんの声とマッチングが半端ありません。
いくつかご紹介しましょう。
 
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「・・・・フィアナ・・」
「そう呼んで欲しかった」
個人的に大好きなシーンです
 
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酒を片手に笑いあうキリコとフィアナ
珍しいシーンです
先月、フィアナ役の弥永和子さんが逝去されました
心よりご冥福をお祈り申し上げます
 
『愛を見たのが幻想なのか、心の渇きが幻想を生むのか。戦いの果てに理想を見るのが幻想に過ぎないことは兵士の誰もが知っている。だがあの瞳の光が、唇の震えが幻だとしたら。そんなはずはない。ならばこの世の全ては幻想に過ぎぬ。では目の前にいるのは誰だ。次回「再会」。劇的なるものが牙をむく』
 
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グラスが決まってますが、実はキリコ、酒飲めませんw
この後咳き込みます
 
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「たのまれグッバイ」、名曲でした
歌っているのはココナ役の川浪葉子
レコーディングの際は酒場の雰囲気出すために実際お酒を飲んだそうです
 
『変わる。変わる。変わる。この世の舞台をまわす巨獣が奈落の底でまた動きはじめた。天が軋み、人々は呻く。舞台が回れば吹く風も変わる。昨日も、今日も、明日も、硝煙に閉ざされて見えない。だからこそ切れぬ絆を求めて、褪せぬ愛を信じて。次回「急変」。変わらぬ愛などあるのか』
 
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ロッチナ
声はナレーションもつとめた銀河万丈
渋すぎです
 
『人は戦場に何を求める。ある者はただその日の糧のため引き金を引く。ある者は理想のために己の手を血潮に染める。またある者は実りなき野心のために硝煙と死臭にまみれる。雨は汚れた大地をみそぎ、流れとなり川となって常に大海をめざす。次回「遡行」。人は流れに逆らい、そして力尽きて流される』
 
くあ~~~っ、たまらん!
 
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谷口守泰作画回のイプシロン、イケメンすぎw
 
スコープドッグというメカは衝撃的でしたね。
ダグラムの「コンバットアーマー」に欠けていたスピーディさは、「アーマードトルーパー」においては足の裏の車輪によるいわゆるローラーダッシュによってカバーされました。「ピシュィィ~ン」ってあのポーズ、学校の廊下でよくやってたなあ。片足を軸にしてローラーダッシュをかけることで360度機銃掃射とかメッチャカッコ良かったですよ。
 
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39話「パーフェクト・ソルジャー」より
スコープドッグVSストライクドッグ
作中屈指のAT戦でした

また、近接戦でパンチと共に弾丸が飛び出す「アームパンチ」ではちゃんと薬きょうが排出されたり、降下時の衝撃吸収のための「降着ポーズ」などギミックがいちいち説得力を感じさせてくれました。
ギィと頭部ごと開くコクピット、全高4メートル強という大きさには「将来このレベルのロボットなら本当にできるかもしれない」という雰囲気をプンプン匂わせてくれました。
極めつけはカメラ機構。あのターレット
コンバットアーマーはコクピットをガラス張りにすることでリアリティを出していたのに対し、ATは実際のカメラレンズに擬した装置によって本物っぽさを表現してくれました。
 
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ガシャンッ!ってターレットの回る音
たまらんですね
 
さて、その魅力たっぷりのAT。なかんずくスコープドッグが欲しいというのは至極当然な流れ。ところがこのスコープドッグ、やはり人気があるのでしょうね。
数々のメーカーから数多く商品化されていまして、何を買って良いのやらよく分からないwやまと、タカラトミー、バンダイ、そしてこの海洋堂。
いちばん原作に忠実なギミックを持つのはやまと製なのかなあと思っていますが、結構高額なので、安くて造形の良い本品を選んだわけです。
 
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マッチョなラガーメンっぽい後ろ姿
タフな兵器感バリバリ
 
確かに造形は完璧。紛れもなくイメージ通りのスコープドッグ。この点については文句のつけようもありません。
塗装も汚れが付着していてスケールを考えればこれまたイイ感じ。武器なども十分に附属していますのでこの点も満足です。
しかし残念なのは、ATの魅力である諸ギミックが捨象されていることと、関節可動域の狭さ。降着ポーズ、ターレット回転、コクピット開閉等、スコープドッグの醍醐味はまるで再現されていません。
関節も現在のガンプラなどと比べれば悲しいくらい動かない・・・
動かして遊びたい派の人にはこれは大きなマイナス点です。
しかしポージングが限られるとは言え、飾っておく派の人には十二分の出来でしょう。そこを割り切れば値段を考えれば非常に優れた商品です。
 
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実物大のスコープドッグ製作された方いらっしゃいましたね
死ぬほど気持ちが分かりますよ
 
で、当ブログをご覧頂いている方々にはスコープドッグのフィギュアに相当お詳しいだろう好事家(失礼w)の方々が幾人かいらっしゃいます。
お尋ねしたいのですが、ギミック再現、関節稼働、外見の再現性が高く、かつ容易に比較的安価に入手できるモデルは何なのでしょう。
是非ともご教授願います<m(__)m>

トランセンデンス

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トランセンデンス(2014年/英・中・米/ウォーリー・フィスター監督)
55点
※ネタバレあり
 
久々に変なコスプレをしていないジョニー・デップが観られますw
 
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<ストーリー>
人工知能研究の世界的権威ウィル・キャスター(ジョニー・デップ)は、反テクノロジーを訴えるテロリスト集団の凶弾に倒れる。妻で同じく人工知能の科学者であるエヴリン(レベッカ・ホール)は死の淵にあるウィルの頭脳を研究中の人工頭脳へと移植した。
コンピュータ化して蘇ったウィルは、ネットワークを通じて驚異的な進化を始めるが、ウィルの友人であった科学者のマックス(ポール・ベタニー)、ジョセフ(モーガン・フリーマン)、FBI捜査官ブキャナン(キリアン・マーフィー)らはそのあまりの進化に恐れをなす。
やがて彼らはテロリスト集団と手を結び、ウィルを消去しようと動き出す・・・
 
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死にかけのウィル
一か八かのコンピュータへの頭脳移植!
 
人間の頭脳をコンピュータへ移植!
正直よくあるネタですが、それを正面から映像化したハリウッド大作はなかったと思います。導入部ではそれっぽい舞台装置をハリウッドらしい映像で見せることにより、知的好奇心を誘発させる良質なSF映画のようにも思えたのですが・・・・残念ながら後半からは大きく失速
結局は金のかかったB級SFサスペンス作品でしかなかったのが残念でした。
 
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コンピュータ上での夫の復活を願う妻・エヴリン
同じく人工知能の第一人者
 
コンピュータ化した人間・・・となると、そこに自我は存在するのか、人間らしさとは何か、生命とは何か。当然そんな哲学的、生命倫理的な問題を孕んできますし、事実、本作でもそういう言葉がしばしば使われます。
安易に答えの出る問題ではありませんが、本作では実際にそういうことが起こってしまったという設定なので、センスオブワンダーを感じる何がしかの回答が提示されるのかなあと想像していました。
そこにこそ面白みが出てくるのでは、と。
しかしそんな禅問答のような知的遊戯は展開されず、単なる演出のためのタームに留まってしまうという残念な結果に。
納得いくかどうかは別にしてもうちょっとそういう側面に踏み込んでほしかった。
 
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やはりダメか・・・
諦めかけたその時、モニター上にウィルの顔が!
 
で、結局本作はどこに焦点が当てられたかというと、人間は未知のものへの恐怖心があるという点。
コンピュータとネットワーク、さらにはナノテクノロジーを手足のように扱うことにより全知全能の存在となったかのようなウィル。彼の復活を信じたい妻のエヴリン以外の全員が「ヤツは危険だ~ヤツは危険だ~」と呪いのように繰り返します。
狂信的反テクノロジー集団がそれを言うのは許せるとしても、理知的で然るべき周囲の科学者やFBIのIT犯罪捜査官までがそれに簡単に同調しちゃう。
ほとんど盲目的に。この辺りは観ていて「???」でした。
 
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ナノテクを駆使して体まで再生しちゃう
その知恵と力は神の領域に・・・

 
だって、ウィルは何にも人類に脅威を及ぼすことなんかしていない。
むしろナノテクを急速に発展させ、重傷患者や先天性の疾患を持つ人々を救ったり、挙句が大気汚染の洗浄とか良いことしかしてないんですよ。
いくら人間が未知を怖がるというテーゼを置くにしても、理屈に合わなさ過ぎて白けました。
 
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妻「あなた・・・私の体勝手に調べたの?見せなさい!」
夫「はい、コレ(データ満載w)」
妻「キモい!許せない!」
夫「・・・(しょぼ~ん)」
 
あとね。
コンピュータ化したウィルが人間味を失ったかも?と思わせる描写として、エヴリンの体を内緒でスキャニングして数値から体調やご機嫌を推測するってシーンがあるんですよ。まあ、エヴリンからしたら自分の心と体を隅々まで覗かれたようで、いくら夫であってもどの行動はあんまりと言えます。
で、エヴリン激怒ですよ。怒られたウィルは茫然ですよ。
(コンピュータにそういう状態があるかは別にして)
でもこれって、普通の夫婦間にもある話しじゃないでしょうか?
妻のことをアレコレ思って、思い至り過ぎてそれをしたり顔で語ってしまって妻を怒らせたり。そりゃあ人間性失ったんじゃなくて、男という生き物の性質では?
むしろメッチャ人間っぽいw
 
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夫「エヴリン!オレだよ、オレ!ウィルだよ。ちょっと外見違うけど」
妻「えっ?うわっ!?キモっ!近寄んな!」
夫「・・・(しょぼ~ん)」
 
治療を施した人間にナノロボット仕込んで自分の分身として動かしてしまうウィル。
まあ、これは確かに不気味。
突然見知らぬ男が「俺だよエヴリン、ウィルだよ~、これで抱きしめられるよ~」なんて迫ってきたらそりゃ引くわ。
でもこれもコンピュータ化して人間味無くしたというよりは、妻恋しさで体無くしたウィルが焦ってやらかしたレベルだよなあ。
(コンピュータに人肌恋しさや焦りがあるかは別にして)
 
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反テクノロジーを狂信的に訴えるテロリストのリーダー
せっかく美人を添えたけど存在感なかったなあ・・・

さらに妻や自分の住処が訳も無くテロリストとFBIの共同戦線に攻撃されたとあっちゃあ、手駒の人間たちを総動員して防衛もしようってなもん。
ここを責められてもそりゃあウィルがかわいそうです。
もっとも、魔法レベルのナノテクを使いこなすウィルなんだからガードロボットでも作った方が手っ取り早いだろうにってツッコミは入れたくなりますけどね。
結局ウィルは反ウィル一派の仕込んだウィルスによりプログラムを破壊され、つまり死んでしまいます。(これほど全知全能化してあらゆるネットワークに侵入した存在が簡単に破壊されるというのも納得いかないんですが、それは百歩譲るとして)

その後、ようやくウィルを目の敵にしていたマックスやジョセフが「あいつ、悪いことなんもしてなかったなあ~」なんて思い始める。
観客は「は?今さらかよ」になります。
ここら辺のあまりにも理性を欠いた行動と思考がね。ただの無知な市民の暴挙ならいいんですけど、世界的に優秀な科学者が何をやっとんだと。
壮大な狂言を2時間かけて見せられたような、あるいは趣味の悪い遠回しなギャグを見せられていたような。釈然としないものが残ります。
「愛の力」「未知への恐怖」。それが言いたいだけだったのかね。
 
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モーガン・フリーマンとキリアン・マーフィー
無駄に存在感のある二人
ほんと、無駄に終わりました
 
ジョニー・デップは珍しく変なコスプレもせず、大げさな顔芸を見せることなく落ち着いた演技を見せてくれました。
まあ、ぶっちゃけ彼が主演じゃなくても何の影響もなかったかな。
ジョニーほどの役者を使うなら、コンピュータ化したウィルにもうちょっと意味深で幅のある演技をさせても良かったのに。
終始しかめ面を見せるだけに終わっていました。
脇を固めた科学者役のモーガン・フリーマンとFBI捜査官役のキリアン・マーフィー。彼らが途中からコンピュータ化したウィルを目の敵にして滅ぼそうとする役回りなんですけど、ご存知の通りこの二人、ものすご~く奥の深い雰囲気を持つ役者さんたちなんですよ。だからきっと「本作においても彼らは深い洞察があった上で行動してるんじゃ?」と観客は深読みしてしまう。
ところが実際にはそんなものはなく、彼らも短絡的にウィルを怖がっていただけだったというね。とんだ狂言回しでした。
 
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てなわけで、B級SFサスペンスとして観るのなら及第点だったかもしれませんが、一流の役者たちによる大作SFを期待すると肩すかしを食う。そんな映画だったと思います。

Wii U マリオカート8 セット

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クリスマスに「Wii U」を買いました。
一応はかみさんへのクリスマスプレゼントということで。
 
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かみさんは結婚した当初からWiiと食器洗浄機が欲しいとずっと言っていたのですが、私は「いらないよなぁ」と思ってはぐらかしていたのです。
食器洗浄機は2年近く前に購入して、実際に使ってみるととっても便利
食器洗いは私がやるのが暗黙のルールなので主に恩恵は私にありましたw
さて、今回は上の娘の友達もゲームで遊ぶ年齢になり、家族みんなで遊ぶゲーム機くらいあってもよいだろうということで、かみさんのプッシュもあって購入した次第。ヨドバシのポイントもたくさん溜まっていたしね。
 
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Wii U「マリオカート8」のスタート画面
 
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スーパーファミコン「スーパーマリオカート」のスタート画面
時を隔てること22年!
 
以前、義弟から使わなくなったPS2をもらったお話をしたのですが、私はスーファミ&初代PS時代以降、ほとんどゲームをしたことがなく、浦島太郎状態でヨドバシへと向かったのですが・・・やっぱり良く分からない。
適当にテレビに繋げてカセット差せばいいんだろ?の時代から隔世の感があります。周辺機器だのメモリーだのネット接続だの。
少し迷った末、マリオカート8がバンドルされているモデルにして、ついでに追加リモコンとWiiハンドルも購入。ちと高くつきましたが、まあ学生時代にクソ高かったPCエンジンとCD-ロムロムを購入したことを思えば遥かにマシでしたw
 
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私が一番気に入ったコース
サンシャインくうこう
 
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空港、飛行機内を無尽に走り回るという発想がスゴイ!
 
ネット接続等、初期設定は思っていたよりもスムーズ。
この辺はさすがに任天堂といったところでしょうか。
で、実際にマリオカート8を立ち上げてみると・・・・
うわ~・・・すっげえっ!
何という高精細な画面。何という発想豊かでフォトジェニックなコースの数々。
これが最新ゲームというものなのですねえ。
もう20年以上前に初代マリオカートに嵌って以降はまったく同シリーズに触れたことは無かったのですが、各段の進化にただただ感動してしまいましたよ。
 
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豊富なキャラ選択
 
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娘たちのお気に入りはデイジー
 
うれしかったのは、基本的な設定がしっかりと初代から承継されていたこと。
赤&緑亀、バナナなんかのアイテムをはじめ、ミニジャンプからのドリフトのフィーリングや、コースに仕掛けられたトリックなんか覚えのあるものが散見されてとてもなつかしく思えました。
肝心の面白さはと言えば、子供も大人もキャーキャー言いながら大興奮。楽しい楽しい。さすがは任天堂のキラーソフトの一つですねえ。
難易度設定も出来るし、キャラやメカやアイテムは多いし、名物のタイムアタックはあるし。やり込み要素もあって長く遊べそうです。
 
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豊富なマシン選択
バイクの操作感が良かったです
 
スーファミ時代と異なる大きな要素はWiiハンドルでの操作でしょう。
当時、レースゲームをハンドル操作するというのは大きな憧れだったわけですが、齢40半ばにしてその思いをようやく叶えることができたわけです。
(当時もハンドル様ジョイスティックはあるにはあったのですが高価な上にお粗末だったように記憶しています)
どの程度のハンドリング反応であるのかいささか疑問だったのですが、思っていたよりもずっと操作感が良い。
単に十字キーを操るよりも子供からしたら格段に楽しいでしょうね。
 
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水中を疾走る!

ただ、タイムアタックなどで繊細極まる操作をするにはやっぱりパッドの十字キーがいいのかな?まあ、子供たちを差し置いてタイムアタックに熱中することもできないでしょうから・・・ちょっとやりたい気もしますが・・・やっぱダメだろ。ダメだダメだw
 
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空を駆ける!
 
初代マリオカートは本当にやり込みました。
学生時代、暇に飽かせて友人とはもちろん、一人でタイムアタックを夜通し繰り返し繰り返しwマリオサーキットのタイムアタック攻略と最速タイム更新合戦はゲーム誌上で盛んに取り上げられていましたね。
結局私は何秒出せたんだったかなあ・・・詳しいことは忘れちゃいました。
1分を切るのが一つの指標で、たしか59秒台くらいは出せたようには思うんですけど・・・
 
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初代マリオカートのタイムアタック!
なつかしい・・・一体何度やったことやら
 
家族でワイワイ楽しむというのはいいのですが、ゲームにばかり夢中になるというのは親としては避けさせたいところ。
次にソフトを買うとすれば太鼓の達人あたりかな?
個人的にはせっかく最新のゲーム機買ったんだから、自分の好みのソフトもやってみたいんですけど。
バイオハザード的なハードなアクションゲームもあるらしいし・・・
しかしまあ、ここは親として冷静になりましょうかねw
 
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サンタさんからの娘たちへのプレゼント
長女はツムツム、次女はアナ&エルサ
パパは財布に大きなダメージを受けた!

X-MEN: フューチャー&パスト

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X-MEN: フューチャー&パスト(2014年/米・英/ブライアン・シンガー監督)
85点
※ネタバレあり
 
X-MENシリーズも2000年の第一作から数えてなんと7作目
以下シリーズの私の一言感想。
X-メン(2000年)
「ふ~ん、またアメコミ原作かあ」
X-MEN2(2003年)
「続編ね、人気あるんだね、まあ面白いかな」
X-MEN: ファイナル ディシジョン(2006年)
「むむっ結構面白いじゃん、続き観たいのにこれで終わり?」
ウルヴァリン: X-MEN ZERO(2009年)
「悪くないけど本編の続きの方が観たいぞ」
X-MEN: ファースト・ジェネレーション(2011年)
「やべえ、めっちゃ面白い、このまま過去篇だけ続けてくれ」
ウルヴァリン: SAMURAI(2013年)
「何じゃこりゃ?シリーズ最駄作、もうウルヴァリンスピンオフはイラネ」
 
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<ストーリー>
未来世界。
ローガン=ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)、チャールズ・エグゼビア=プロフェッサーX(パトリック・スチュアート/ジェームズ・マカヴォイ)、エリック・レーンシャー=マグニートー(イアン・マッケラン/マイケル・ファスベンダー)たちミュータントは、人類の造り出した対ミュータント殺戮兵器「センチネル」によって滅亡の危機にあった。
彼らは一縷の望みをかけ、「センチネル」開発の起点となった過去の出来事を変えることを試みる。キティ=シャドウキャット(エレン・ペイジ)の能力によりローガンは1973年へとタイムスリップするが・・・
 
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ぶっちゃけアダマンチウムのないウルヴァリンって強くないよね
 
すっごく面白かったです。
一言感想を述べるなら「シリーズ最高傑作じゃん!」です。
アクション映画としての盛り上げ方やミュータントたちの超能力合戦もさることながら、シリーズ集大成的展開にグッときました。
それまでのシリーズで一番面白いと思っていたのは「ファースト・ジェネレーション」なんですよ。
エリック、チャールズの過去を辿ることで、単なるアクション映画を超えた大河ドラマ的展開がなされた意味で映画としての味わいが格段に上がっていました。
そして役者も良かった。
実力派として脂ののってきたマイケル・ファスベンダーとジェームズ・マカヴォイの共演が一層映画に深みを与えてくれていました。
 
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チャールズ・フランシス・エグゼビア=プロフェッサーX
X-MENのリーダーです
 
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エリック・マグナス・レーンシャー=マグニートー
X-MENと敵対するミュータント軍団の長
 
そんなわけで私的には、もうローガンの出てくる本筋のシリーズはいいからこのまま過去篇を続けてくれないかなあくらいに思っていたんですよ。
ところが本作では予想の遥か斜め上の展開が用意されていました。
未来のミュータントに未曽有の危機を与えて、過去のキャラクターたちに絡める。同じ画面の中にローガンと若き日のエリックとチャールズが映った時の特別感と言ったらありません。
タイトル通りに過去と現代が交錯する展開は、「クラウド アトラス」のような壮大さ感じさせてくれましたね。もっともこれはシリーズ全部を観てきたファンにしかない感動なのかもしれませんが。
 
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子供の頃のミスティーク
かわいい(^_^;)
 
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今回が映画初登場のクイックシルバー
昔「ハイスピード・ジェシー」ってソノラマ文庫小説がありましたね
 
本作では準主役級ミュータントたちに上手に焦点が当てられてました。
キーマンとなるレイヴン=ミスティークは悩める孤高の存在として非常に存在感が高かった。これは若手実力派であるジェニファー・ローレンスの好演によるところも大きかったでしょう。
また、今回初登場となるピエトロ=クイックシルバーのアクションシーンは本作屈指の見どころとなりました。
若き日のハンク=ビーストに「ウォーム・ボディーズ」が記憶に新しいニコラス・ホルトを添え、元々好感度の高いビーストは更に愛すべきキャラクターに描かれていました。
個人的にはキティの三作目以来の復帰が嬉しかったですね。エレン・ペイジ、大好きなんですよ。
 
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若き日のビースト
優男だったんですね
 
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久々登場のキティ
次回作以降も出てきて欲しいなあ
 
さて、褒めてばかりですが、ストーリーとしては結構整合性のとれない部分というか、ご都合主義な部分が散見します。
一番「?」と思ったのは、未来にチャールズがしれっと登場していたこと。
あんた、三作目で死んじゃってるじゃんw
エリックの能力が蘇っているのは三作目の最後に前振りがあったので納得できるとして、チャールズ復活は何の説明もないぞ?
キティが精神を過去に送れる能力を持った点も説明がなかったなあ。壁抜け能力だったはずがいつの間にこんなスゴイ力を?w
まあ、元々アメコミ原作自体パラレルワールド満載なんで、こんなツッコミすること自体野暮なんですけどね。
しかもこれらが作品の質を下げているのかというと全然そんなこともなく、むしろファンがツッコミ入れる楽しみになっていたり。
 
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ミスティーク(人間バージョン)
本作のキーウーマンでした
 
最後に大きなネタバレとなりますが、無事に過去を変えることに成功したウルヴァリンが目を覚ましたのは世界はチャールズのミュータント学園の中。時間軸としては三作目冒頭あたりでしょうか。
チャールズ、オロロー=ストーム、マリー=ローグはもちろん、なんと三作目で死んでしまったウルヴァリン最愛の女性ジーンとスコット=サイクロプスまでが存在しています。
げげっ!悲劇的結末を迎えた事実上の完結編である三作目を無かったことにするわけ?!wこりゃあとんだ離れ業を繰り出したもんだなあ。
画面には出てきませんでしたが、当然敵対するエリックやレイヴンも健在なのでしょう。
次回からは仕切り直して新シリーズ開幕?ヤマトで言うと「新たなる旅立ち」状態。まあファンとしては楽しみではあります。
心配なのは、ご高齢のイアン・マッケランとパトリック・スチュワートがいつまで元気に演じてくれるかだなあ。
 
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X-MENで一番好きなキャラはマグニートーです
つーか、マイケル・ファスベンダーが好きなのかも
 
今年の記事はこれが最後となります。
おかげさまで素晴らしい来訪者の方々に支えられてとても楽しいブログ生活を送ることができました。
来年も宜しくお願い申し上げます。
皆さま、良いお年を!(^^)!

やまと社 完全変形 VF-1Aバルキリー テレビ版マックス機 1/60

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皆様、明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願い申し上げます。
 
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さて、新年一発目は久々のバルキリーVF-1記事です。
私のVF-1愛はかねてより散々当ブログで語ってきたことなのですが、なかんずく数あるVF-1バリエーションの中で一番好きな機体はVF-1Aテレビ版マックス機。
好きな理由はいろいろとあるのですが、やはり一番の要素はパイロットであるマクシミリアン(マックス)・ジーナスの作中での活躍によるところが大きい。
 
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天才マックス
天然でもありました
 
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戦闘中は自信満々でニコニコ
EpⅢのアナキンに通じるものがありましたね
 
ご存知のように超時空要塞マクロスの主人公は一条輝。名パイロットを父に持ち、本人もアクロバット飛行の名手でしたがゼントラーディ軍との戦闘によりなし崩しに統合軍パイロットとなります。当然腕も良く、ほどなくバーミリオン小隊長となる技量の持ち主だったりするのですが、そんな彼以上に突出した天才的腕前を持つ男がこの天才マックスだったのです。
初陣でいきなり7機を撃墜。バトロイド形態を駆使した独自の戦法には、輝の先輩で歴戦の撃墜王であるスカル大隊長、ロイ・フォッカーも舌を巻きました。
 
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そのフォッカーや同僚の柿崎が次々と戦死する激しい消耗戦の中、一人悠々と別次元の戦いを繰り広げるマックス。
敵ゼントラーディ軍の絶対エース、ミリアに目をつけられて死闘を演じるも結局は危なげなく勝利。宇宙一の天才っぷりをいかんなく発揮しています。ちなみにフォッカーも輝もミリアに一蹴されています。
 
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エースのミリア
バイザーに映る1Aマックス機!
 
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好戦的で実にイイ表情
 
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マックスに完敗後、嫁に
サクッと子供までw

とまあ、とにかく今でいうチートな強さだったわけですよ。
主人公を差し置いてここまで強いキャラを味方側に用意するロボットアニメというのは後にも先にもマクロスくらいだったのではないでしょうか。
いぶし銀の渋さとカッコいい散り際が用意されていたフォッカーはさておき、女関係でのイジイジさも合わさってロボットアニメ史上でも屈指の情けない主人公輝が本当に気の毒でありました。
女関係と言えば、マックスは美人で気の強いミリアを組み伏してサクっと嫁にしちゃうあたり、そっち方面でも輝を圧倒してましたね。はい。
 
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先輩面の輝
いろいろと負けてるぞ・・・
 
話しは変わりますが、私は子供の頃からナンバー2の「青キャラ」が大好きなんです。
ゴレンジャーならアオレンジャー、ガッチャマンならコンドルのジョー、ゲッターロボなら神隼人
暑苦しい赤や白の主人公より、クールでアウトローで主人公と同等以上の力を持っていそうな彼らの方がず~っとカッコいいじゃないですか。青という色がそもそもカッコいいし。
でも物語上所詮彼らはナンバー2。主人公を差し置いてエースに躍り出ることが許されなかったことをいつも悔しい思いで観ていました。
然るに、マックスのイメージカラーは青。立場も輝の部下。ナンバー2。
ところがどっこい「輝?主人公?なにそれ?」てな大活躍。
長年のフラストレーションが一気に解消された思いでしたよ。
 
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やっぱテレビ画面の青色がしっくりきます
 
そのマックスですが、テレビでは量産型のVF-1A、専用機の1Jと乗り継ぎ、映画版では別カラーリングの1A、1Sに搭乗していました。
もちろん全てのマックス機が好きなんですけれど、やはり最初の搭乗機であるテレビ版1Aがイイですね。シンプルなカラーリング、量産機然としたシンプルなヘッド。スマートでマックスに似合っていますし、作中一番の戦果を挙げたのもテレビ版1Aだったんじゃないでしょうか。
イイ。本当にイイ。最高。
 
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さて、本品は今は亡きやまと社製の完全変形1/60
残念ながらテレビ版1Aマックス機の変形モデルはこのやまと社製の1/60と1/48しかありません(たぶん)。
しかしそのスタイルの再現性と変形機構の熟成度は、あらゆるVF-1モデルの中でも最高峰と言えるものでしょう。発売されただけでも感謝感激です。
強いて残念に思う点を挙げるとするならば、カラーリングがビビッドに過ぎるというところでしょうか。
白は抜けるような白、青は青空のように深いブルーなのですが、テレビ作中から受けるイメージはちょっとくすんだ白&やや群青を帯びた青というイメージです。
う~ん・・・私に模型作成技術があれば塗り直したいところなのですが。
以前、ブロ友のあきさんが私のイメージ通りの色合いで1Aマックス機のプラモデルを作成しておられました。それが本当に素晴らしくって実にうらやましい!
 
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本来ならファイター、ガウォーク形態もご紹介したかったのですが・・・
変形中に壊れそうなのでやめましたw
この辺がやまと製品のちょい残念なとこ
 
初代マクロス、リメイクされないかなあ・・・
今の作画でマックス&1Aが大暴れするシーンが観たいですね。

実写版「美少女戦士セーラームーン」キラリ☆スーパーライブ

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実写版「美少女戦士セーラームーン」キラリ☆スーパーライブ
※今回はいつもにも増して痛々しい中年男の記述が目立ちますのでご注意願います。
(誕生日ということでどうか大目に見てやってください)
 
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皆さんは2003年秋から約一年に渡り放映された伝説のテレビ番組、実写版「美少女戦士セーラームーン」をご存知でしょうか?
まあ、本来知っていていいのは当時の幼稚園・小学生の女児、現在なら女子高生~女子大学生くらいのはずですが、当時30代半ば、現在45歳(本日をもってw)の私もご存じどころか熱狂して観ておりました。(あ~キモい)
言い訳させて頂きますとね。
放映は土曜朝と社会人も視聴可能な時間帯でしたし、かつての超人気アニメの実写化でしたし、特撮的な興味だってあったわけで・・・まあ、そのぉ・・・・
結局どんな言い訳したところで、女児向けでしかも十代の美少女がミニスカで戦っているような番組を中年男が観ていたことに変わりないんですけどね。ええ。
 
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月野うさぎ役の沢井美優
いまでもちょくちょくドラマ出演しています
 
そもそも本家のアニメ版セーラームーン放映当時だって私はもう成人していたわけですし。
当時は結婚前でしたが、かみさんにはセーラームーン(アニメ含む)観てるのを本気でキモがられていたんですけど(よく結婚してくれたなw)、今は娘たちにセーラームーン情報をちょくちょく仕込んでますので、隠し持っているセーラームーンDVDコレクションを子供をダシにしてリビングで観られる日も近いですね。
オレ、大勝利w
 
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水野亜美役の浜千咲(現・泉里香)
きつねどん兵衛のCMの美女です
 
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火野レイ役の北川景子!
説明はいりませんね
 
ここから先はキモいの承知で居直って語りますけど、実写版セーラームーンはなかなか見どころの多い良作だったんですよ。
まず想定外に脚本が良かった。
ベースはアニメ版第一シリーズであるダークキングダム編なんですが、それをトレースするだけでなく実写作品として一年間退屈させないための創意工夫がありました。それはオリジナルの改変という冒険だったのですが奏功していたように思います。
 
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木野まこと役の安座間美優
以前ズームインサタデーのお天気お姉さんやってました
 
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愛野美奈子役の小松彩夏
現役グラビアアイドルさん

例えば、セーラーヴィーナスはメンバーで唯一転生前の過去の記憶を持つ現役トップアイドル。しかも不治の病に侵されているという大幅な設定変更。ノン気なセーラームーンと、死と運命を一人背負った美奈子の対比はシリーズに緊張感を生んでくれました。
また、アニメ版で人気キャラだったセーラーマーキュリーがダークキングダムの手に落ちて洗脳され、ダークマーキュリー化してセーラームーン達と敵対するなどなかなかハラハラする展開も用意。
またしても言い訳がましいんですが、ストーリーに魅力が無かったら私も一年間観続けたりしなかったと思います・・・あ、ウソ。
やっぱ美少女達目当てで観てたかもw
 
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加えて、オリジナルファンへの配慮としてルナとアルテミスの声をアニメと同じ潘恵子、山口勝平にあてさせたり。
そのルナが人間の姿となってセーラールナ(セーラーちびムーンに似てる)という実写版オリジナルキャラとなるなど、本来ダークキングダム編にはでてこない「ちびうさ」相当のキャラを登場させてくれて楽しませてもくれました。
余談ですが、セーラールナ役の小池里奈ちゃんは当時10歳くらい。
「う~ん、あんまり可愛くないなあ」なんて子供相手にヒドい感想を持っていたのですが、その後彼女はグラビアアイドルの道に進んで現在は21歳。
これがね。かなり色っぽい女性に成長してるんですよ。
好みです。美しい。負けました(何に?w)。
 
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小池里奈ちゃん当時10歳
完全にお子ちゃまです
 
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現在の小池里奈ちゃん
めっちゃかわいい、セクシー!
 
冒頭で本作を「伝説」と評しましたが、何より伝説足らしめたのはそのキャスティング。
セーラー戦士5人を演じた方たちが揃いも揃ってみなスタイル抜群の美少女たちだったんですね。
タレントさんなんで皆さん本来それなりのルックスで然るべきなんでしょうけれど、5人も集めれば1~2人、場合によっては3~4人くらい微妙な感じの子がいてもおかしくないのは現実のアイドルグループを見渡してもよくある話しだったり。
でも彼女たちはホントみんなキレイでした。
 
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これって、作品の質という意味でもすごく重要だったと思うんですよ。
変身前は普通の学生ルックの彼女たちですが、変身後はアニメと同様のカラーリングヘアに派手派手なコスプレ状態。
然るに彼女たちはそんなアニメチックな井手たちに負けてなかった。
端正な顔立ちと長い手足でもって、アニメの実写化に伴いがちな「コレじゃない感」を生じさせなかったんですね。
それもそのはず。彼女たちは当時の若手モデル、グラビアアイドルたちだったんですから。
 
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愛野美奈子=セーラーヴィーナスには現在もグラビアアイドルの小松彩夏
作中でもアイドル設定で歌唱シーンが多かったのですが・・・まあ歌唱力も演技も結構微妙だったんですけど、当時から妖艶な雰囲気がすごく魅力的でしたね。今ではさらにその妖艶さに磨きがかかっていて彼女のグラビアはかなり煽情的なのです・・・詳しくは皆さんで画像検索してみてくださいw
 
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マーキュリーパワー~メイクアップ!
愛と美貌の戦士
 
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ご参考にグラビア写真を一枚・・・
 
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HUNTER×HUNTERのシズク
上の画像が元ネタじゃないかな?
 
月野うさぎ=セーラームーンには沢井美優
主役だった彼女は並み居る美少女の中で特別の存在感があったわけではなかったのですが、一年通して番組を観るとメンバーの中では一番確かな演技力を持って中心を支えていたのかな。
また、変身した後の華やかさも彼女が一番だったのかもしれません。
 
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ムーンプリズムパワ~メイクアップ!
愛と正義のセーラー服美少女戦士
 
水野亜美=セーラーマーキュリーには浜千咲(現・泉里香)
アニメ版とは異なりちょいどんくさい感じの亜美ちゃんと、その後ダークキングダムに堕ちたダークマーキュリー。
演技もさることながらメイクでずいぶん雰囲気が変わりましたね。
本作の後は芸能活動を一時期引退したりしていました。
おっと、経歴を見るとわが母校に進学していたんですね。これはちょいうれしい。
 
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マーキュリーパワ~メイクアップ!
水と知性の戦士
 
木野まこと=セーラージュピターにはモデルの安座間美優
役柄上一番上背のあった彼女は、正直一番目立たないポジションでしたが、今はとても華やかな美人。
長身ゆえのスタイルの良さが華やかさを一層際立たせています。
大人になって一番キレイになったのは彼女かもしれません。
 
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ジュピターパワ~メイクアップ!
雷と勇気の戦士
 
そして何といっても、火野レイ=セーラーマーズ役の北川景子
メンバーの中の出世頭。ぶっちゃけ当時からその美貌は抜きん出ていて、ネット上で彼女のキャプチャー画像が流れては「このすんげえ美少女は誰?」と話題になっていました。
また黒髪ロングに凛々しい顔立ちで役柄に一番マッチしていたのも彼女でしたね。
私はアニメ版でもレイちゃんが断トツで好きだったのですが、アニメから抜け出てきたような完璧な容姿には文句の付けようもなかったです(演技面はさておきw)
本作後トップ女優になった彼女ですが、おそらくは事務所の意向だったのでしょう本作出演が黒歴史のように無かったことにされていた時期がありました。
でも本人にそんなつもりは全くなくようで、むしろ雑誌やテレビなどで嬉々としてセーラームーンの思い出を語っていたのを何度かみたことがあります。今ではそんな彼女の姿勢を反映してか黒歴史扱いもなくなったようで。良かった良かった。
そんな男前な性格が彼女の魅力だなあ。
 
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マーズパワ~メイクアップ!
炎と情熱の戦士
 
そんな彼女たちですがプライベートでもかなりの仲良しだそうで、放映後10年以上たった今でもメンバーの誕生日などに食事会をしているようです。
ネット上でも公開されていますね。
高校生くらいだった美少女軍団が、三十路前の美女軍団にトランスフォーム
私的には今の彼女たちの方がずっと魅力的で思わずニヤけてしまうのと、世知辛い芸能界で仲良さそうな姿にほっこりもしてしまいます。
 
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現在の彼女たち
皆さんお美しい・・・
 
さて、ようやくタイトル作のお話しw
こちらはテレビシリーズ放映中の2004年5月によみうりホールで開催された歌とお芝居のライブイベント。
ぶっつけ本番のライブでありながら、みな活き活きと歌って踊ってお芝居をしているのが観ていて清々しい。当時の彼女たちは素人に毛が生えた程度の芸歴だったことを考えると、いかに真摯に取り組んでいたかが伺えます。
会場はターゲット層である小さな女の子たちとその親御さんたちでいっぱい。
今では大物若手女優となった北川景子が子供たちにニッコリと素敵な笑顔で手を振る姿がとてもかわいらしくって・・惚れてまうやろっ!w
ああ・・・当時娘がいたら何が何でも生で観に行ってただろうなあ。
あまりに素敵な空間に自分がその場にいられなかったことが激しく悔やまれますw
 
ライブ動画の一部を貼っときます
実写版のOPテーマをみんなで歌って踊ってじつに楽しそう!

マッドマックス

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マッドマックス(1979年/オーストラリア/ジョージ・ミラー監督)
90点
※ネタバレあり
 
四半世紀ほど前はくり返しくり返しゴールデンタイムで放送されていた本作。
しかし決してファミリー向けなどではありません。
一度観たら忘れられないトラウマと歪んだ爽快感を生み出すバイオレンスカルトムービーの傑作です。
 
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<ストーリー>
荒廃した近未来。凶悪な暴走族たちは人々の恐怖の対象となっていた。彼らを取り締まるM.F.P.(Main Force Patrol)の一人マックス・ロカタンスキー(メル・ギブソン)は、警察車両を奪い逃走中だった殺人犯ナイトライダーを追い詰め事故死させる。
ナイトライダーの復讐に燃える暴走族のリーダー、トーカッター(ヒュー・キース・バーン)たちはマックスの周囲の者たちを次々と殺害していく・・・
 
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復讐鬼と化す前のマックス
イエローインターセプターを操る天才的ドライバー
 
「愛する者が悪党に殺されたらそいつら全員地獄送りにしてやるぜ~、オレのこのスーパーマシーンでなっ!」
本当に大切な人を殺されたい人はいないでしょうけれど(当たり前だ)、ついそういう妄想ってしちゃいますよね、男子なら。(求む賛同)
「宝くじ3億あたったら~」てのと同じレベルのアホな妄想なんですけれど、私のようにIQもEQも低い中年男子は未だにそんなこと考えることがあります。
本作はそんな身も蓋も無い男子の妄想を直球勝負で叶えさせてくれます。
ありがちと言うなかれ。
実は本作こそ数あるその手の映画、マンガの元祖にして最高峰なのです。
 
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アフターファイアー散らしながら横っ飛びするナイトライダーの車
スゴイ迫力!
 
本作の魅力の一つは奇跡的に見事なキャラ作り
本作により一躍スターダムにのし上がった若きメル・ギブソン=マックスばかりに目がいきがちですが、実は周囲を固めるサブたちが揃いも揃ってキャラ立ちまくり。
敵ボスのトーカッター、その腹心ババ、ナイトライダー、マックスの上司フィフィ、同僚のグース。
メイク、衣装、セリフ、動き、間、オーラ。いずれも異常なほど心に残ります。
 
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暴走族のリーダー、トーカッター
「夜空を見上げるたび奴を思い出せ・・・ナイトライダー」
 
尋常ではない練り込み、作り込みがあったのでしょうか。当時も今もほぼ無名の俳優たちですが、よくまあこれだけ存在感を示せたなあと感心します。
また一説にはセリフの無い悪党たちは本物の暴走族を使っていたとのこと。
現場はそれゆえに緊張感が漲っていたと言いますが、やはり傑作カルト映画にはこういう伝説がありますね。
 
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マックスの上司、フィフィ
上半身裸にマフラー、葉巻姿で観葉植物に水やり
意味不明ながら強烈なキャラw
 
本作はかなりの低予算
しかも製作費のほとんどは車の改造に費やされたと聞きます。
また本作で一気に世界的人気監督となったジョージ・ミラーですがこれが長編映画デビュー。そのせいか、場面転換はぎこちなく、効果音やBGMもチープ。
またアクションシーンも実は意外に短かったり。しかし逆にそれが独特の雰囲気を構成し、恐怖感と殺伐とした寂寥感を煽ってくれました。
 
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マックスを威嚇するトーカッター
その間、その表情、最高です
彼はインド系の俳優さんらしいですね

そして悪魔的な雰囲気を醸し出すバイクと車
荒野に伸びる一本道を爆走するそれらはメカというよりはモンスター。
その見せ方、表現が実に秀逸。
少ない予算の中で独創的な工夫がなされたことは素人にも容易に想像ができます。
カーアクション映画というより、モンスター映画のような雰囲気を感じさせるのは意図的なものだったのかもしれませんね。
 
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子供を抱え暴走族から逃げるマックスの妻ジェシー
無情にも轢かれて飛び散るサンダルとボール
必至で駆け付けた先でマックスが見たものは・・・
 
妻と子が殺されてから復讐を遂げるまでの終盤はまさに怒涛の展開
悪党に無残に轢き殺されるシーンには子供の頃から胸が傷みましたが、妻子を持つ身となるとシンパシーと重みが100倍増し。
普段は颯爽と高速マシーンを駆るマックスが、自らの足で走って倒れる妻子の元に駆け付けるもどかしさ。
ぼろ屑のようにされた妻と子の姿に思わず両手を挙げるマックス。
マックスと共に生き地獄へと誘われる極上のシーケンスです。
 
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怒れる狩人となったマックス
 
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逃げるトーカッターに迫りくるインターセプター
その圧倒的スピード!
 
無邪気なイタズラ坊主のようなだったマックスが復讐鬼と化して乗り込むは「最後のV8」漆黒のインターセプター!
狂気のダークサイドへと堕ちたマックスを具現化したような異形のモンスターマシンのその迫力と言ったら。
悪魔の咆哮のようなエギゾーストノートとスーパーチャージャー音をかき鳴らしてハイウェイを疾走し、悪党のバイクに一瞬で追いつく圧倒的スピード。
老いも若きもお子ちゃまも、男子は全員痺れたことでしょうね。
私などは30年以上経ってもまだその痺れがとれませんよ。
 
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復讐鬼と化したマックスを象徴する漆黒のインターセプター
その悪魔の如き異形のド迫力!
 
復讐を遂げたマックス。彼の胸に去来するものは?
インターセプターは彼を乗せたまま無限の暗闇へと進む・・・伝説は続きます。
 
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マッドマックス2

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マッドマックス2(1981年/オーストラリア/ジョージ・ミラー監督)
100点
※ネタバレあり
 
大好評だった前作を受けて予算大幅増で製作された続編。
しかしその予算もやはり大半は車の改造費だったとかw
前作を上回るカルトバイオレンス巨編!
 
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<ストーリー>
前作から月日は流れ、世界大戦の果てに文明社会は崩壊し石油も枯渇した世界。
マックス(メル・ギブソン)は黒いインターセプターに乗りガソリンを求めて荒野をさすらっていた。
ある日ジャイロコプターに乗るジャイロ・キャプテン(ブルース・スペンス)から、石油採掘施設があることを聞いたマックスだが、施設の周囲にはそれをつけ狙うヒューマンガス(ケル・ニルソン)、ウェズ(ヴァーノン・ウェルズ)率いる悪党集団がいた。彼らに襲われた採掘施設の仲間を助けたことと引き換えにガソリンを求めて施設を去るマックスだったが、直後に悪党の強襲に合いインターセプターを破壊されてしまう。
マックスは新天地を求めて旅立とうというパッパガーロ(マイケル・プレストン)の提案に乗り、タンクローリーに乗り悪党を振り払う役をかって出る・・・
 
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文明崩壊後の荒野を彷徨うマックスとインターセプター
 
本作は前作と地続きの続編ながら世界観は大きく変化しています。
前作は荒涼としながら曲がりなりにも文明社会が背景になっていましたが、何と本作は世界大戦勃発後の完全文明崩壊世界が舞台
いわゆる「ヒャッハーッ」的悪党(本作が元祖ですが)がはびこる無法の世です。
マックスももはや警官ではなく、一匹の犬と共に黒いインターセプターに乗るただのさすらい人となっています。
冒頭のタンクローリーから零れ落ちるガソリンを浅ましく掬い取るマックスの姿で文明の崩壊と彼の置かれる立場が一瞬で把握できます。
 
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マックスのお供は一匹の犬
 
前作の復讐譚以来、何があって、何を思い荒野を彷徨っているのか。
キラリと輝いていたマックスとインターセプターは見る影もなく、埃まみれの幽鬼と化しています。
復讐の残滓としての怒り、そして己と一体と化したインターセプターが走り続けることだけで彼は存在しているかのよう。
しかしそんな彼が前作以上にカッコいいんですよ。
傷ついたマシーン、共に旅する犬、荒野、ショットガン、汚れた革ジャン。
シチュエーションや小道具からしてこれまた男の妄想直撃ですわw
 
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前作以上に凶悪な暴走族集団が跋扈しています
 
前作で見事だったサブキャラ造型は本作でも健在。それどころかパワーアップ。
悪党のボス、ヒューマンガスとサブリーダー、ウェズのキャラは時代を超越したインパクトをもって世界中に影響を及ぼしたのは言うまでもないことでしょう。
ホント。良く考え付いたもんだ。
味方側となるジャイロ・キャプテンフェラル・キッドも見事なキャラ立ち。
奇怪な姿形から、普通ならコメディリリーフとしてしまいがちなところ、決して安易に振らず、グロテスクで愛すべきキャラとして描き上げた演出力に感心します。
 
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ジャイロ・キャプテン
イイ味出してます
 
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フェラル・キッド
ブーメラン使いの野生児
言葉はしゃべりません

同時に見事なキャスティング。
いずれのキャラも本作では輝いているんですけど、後に名を残したのは「コマンドー」でも悪役となったウェズ役のヴァーノン・ウェルズだけだったことを考えると、またしても無名俳優を活かしたジョージ・ミラーをはじめとする製作スタッフ達の力量が高かったということなのでしょう。
 
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ホッケーマスクにスーパーマッチョのヒューマンガス
愛銃はスコープ付S&WM29!
 
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赤モヒカンのウェズ
演じるはヴァーノン・ウェルズ
「コマンドー」のベネットですよ
 
本作では良い意味で前作に囚われることなく世界観を一から構築しています。
一台のスーパーマシンがバイクを追いかけて回して潰すという前作のアクション構造から、武装タンクローリーに群がるバイク&バギーという集団戦にスケールアップ。
 
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ヒャッハー!ガソリンだーっ!
タンクローリーに群がる悪党集団!
 
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ヒューマンガスも追います

実は子供の頃本作を観てすごく不満な点があったんです。
それは主役メカたるインターセプターが物語中盤で早々に破壊されてしまうということ。ロボットアニメ的発想ならヒーローには最後まで主役メカで戦って欲しかったんですね。
しかし今改めて観ると、インターセプターを手放したことによりアクションに幅が生まれて迫力が増したことが分かります。
テーマ的にもマックスの心の支えとなっていただろうインターセプターと犬を失わせることで、絶望への戦い、最後の残り火を燃やし尽くすかのような悲壮感が生まれたと思います。
 
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左目も失い満身創痍のマックス
最後の大激走!
 
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ほぼモンスターw
忘れられないシーンです
 
無数の悪党集団を蹴散らして武装タンクローリーが突き進む決死行のド迫力
採掘施設の連中にとっては新天地に向けての脱出、悪党たちにとっては明日の享楽を得るためのエサ、そしてマックスにとっては・・・何もない。
もはや車を操ることしか残されていない哀れなウォーリアーの最後の大激走。
背景には枯渇した石油と現代文明の終焉というテーマもあり、最後にタンクローリーから零れ落ちる砂によってマックスの絶望と共に表現されています。

 
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戦い終わったマックスに残されたものは・・・
 
実に物悲しく、寒々しく、哀愁漂う見事なラスト。
全てが素晴らしい。カルトムービーと呼ぶに相応しい傑作です。
 
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次回、黒いインターセプターの特集記事をアップしますよ。乞うご期待!(^^)!

AUTOart社 1/18 マッドマックス2 インターセプター

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先日の誕生日に買っちゃいました。
ず~っと前からインターセプターのミニカーが欲しかったんですけど、リメイク情報を機に欲しい気持ちに火がついてしまって。
 
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AUTOart社は比較的近年生まれたミニカー専門メーカー。
主に1/18の大型のミニカーを中心にラインナップしているようですね。
生産は中国のようですが出来は非常に良いです。
質感、細工のこまかさ、塗装の塗り具合、重み、シルエット再現、ギミックはもちろんこと。箱の装丁や梱包までも丁寧で上質。
値段は決して安くはないですが商品のレベルの高さを考えると納得できるところ。
日本の各種フィギュアは高すぎるよなあ・・・
 
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さて、ちょいと薀蓄を語りましょう。
この「黒いインターセプター」は、映画「マッドマックス」「マッドマックス2」で主役のマックスが乗り込む暴走族追跡用特殊改造車両。
1作目においてM.F.P.(Main Force Patrol)のエンジニアの手により誕生しました。
ベースとなっているのはオーストラリア製フォード3代目ファルコンXB
ハイエンドモデルには、5.8リッターV8OHVエンジンが用意されていました。
260馬力、最高速度190キロ、0-100km/hは8.9秒といいますから現代のスポーツカーレベルからすると驚くほどの性能とは言えません。
作中ではこれに魔改造が施され、ボンネットから大きく突き出したスーパーチャージャーを追加してツインオーバーヘッド化
これにより600馬力をひねり出したという設定でした。モンスターマシンですね。
 
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元車両となったフォードXBファルコン
これ自体カッコいい!
 
エンジニアから見せられたマックスは目の色変えて見入っていましたが、残念ながらスーパーチャージャーはフェイクだったようです。
まあ、私などはフェイクでもいいからこのスーパーチャージャーを愛車のボンネットにハンダ付けしたいくらいですw
 
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上が一作目、下が二作目
良く見るとスーパーチャージャーの色や細部が違う!
二作目では「WEIAND」の文字が消えています
 
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シフトレバー横に並ぶ赤いスーパーチャージャースイッチ
引けばON、押せばOFFです

ところでこの「黒いインターセプター」が作られた経緯はマックスの上司フィフィの差し金だったんですね。
暴走族対策稼業に嫌気がさしてM.F.P.を辞めそうだったマックスの腕を惜しんだフィフィが、彼を繋ぎとめるために用意したというのが真相。
どうやって作ったと尋ねるマックスに、エンジニアは適当に部品を集めたと曖昧に答えていましたが、フィフィ達が相当な金と時間を使って集めたことが想像されます。
ちなみにM.F.P.の通常車体はXBのセダンタイプの改造車。黄色ベースの車体色から通称「イエローインターセプター」などと言われています。
 
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これがマックスとインターセプターとの出会い
子供のように目を輝かせたマックス
 
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M.F.P.の通常車体「イエローインターセプター」
一作目冒頭でマックスも乗っていました
 
「黒いインターセプター」は通称で、また名を「ブラックパシュートスペシャル」とも言われます。これは作中、M.F.P.の無線において女性職員が「ブラックパシュートスペシャル」と呼んでいたことに由来するようです。(実はこの場面、私の英語力でははっきり聞き取れない)
また、エンジニアがマックスに紹介する際、「She's the last of the V8s!」と話していたことからファンの間では「ラストV8」「最後のV8」とも呼ばれます。
版権を取っていないミニカーなどでは単に「ラストV8」などと表記されているようです。
 
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一作目のインターセプター
 
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二作目のインターセプター
埃と赤錆が世界観にマッチ
 
一作目では映画序盤で出てくるこの黒いインターセプターですが、すぐにマックスが乗り込むことは無く、終盤で妻子と親友グースの復讐に燃えたマックスが勝手に持ち出してトーカッターたちを追い掛け回すことになります。
そのシーンのド迫力と言ったらありません。相当なスピードで飛ばしているはずのHONDAやKAWASAKIがあっという間に差を詰められてテールトゥノーズ
しかし当然追い抜くことはありません。
煽りに煽って自爆するまでそのままピタリ
これは怖い。しかしカッコいい。
復讐鬼と化したマックスを象徴するようなその異形に鳥肌が立つほど痺れたものです。
 
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瞬きするピタリと後ろに付く
圧倒的スピード!
 
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トーカッターの末路
 
続く二作目においてはもはや警察車両ではなく、デストピアでマックスと旅する相棒となっていました。
全身砂埃まみれでところどころ赤錆が浮き、後部には増量タンク二本を背負っています。一本はガソリン盗難防止用ダミーだったという設定をどこかで読みました。自爆装置も付いていましたしね。
映画序盤で早々に暴走族の車にブチ当てて、フロントグリルとバンパーが壊れ落ちてしまいました。
ちなみに二作目のインターセプターは、マックスの住まい兼犬小屋でもあったようですw
 
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二作目序盤で暴走族車にガッツン!
フロントグリルとバンパー破損
 
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でも私はフロントが抜け落ちた姿の方が好きだったり
 
残念ながら二作目中盤においてインターセプターは大破炎上してしまいます。
ウェズたちの乗ったニトロ搭載車に追いつかれ、攻撃を受けてそのまま激しく横転。
悪党たちがガソリンを盗もうとした際に自爆トラップに点火してドッカ~ンです。
このシーンは何度観ても悔しい。無敵のインターセプターがえらくあっさりと追いつかれた挙句に跡形もなく消し飛んでしまうんですよ。
クライマックスでインターセプターに乗るマックスの活躍が観たかったとこでしたが(ToT)
結局インターセプターの見せ場は序盤の短いシーンだけだったなあ・・・
 
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砂埃を巻き上げて荒野をひた走るインターセプター
外観はさておき、機関部は健在だったようです
 
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後部の二連増設タンク(一個はダミー?)&スペアタイア
 
さて、本品に話しを戻しましょう。
こちらは映画二作目のインターセプターをモデル化したもの。
ですから、一作目にあった車内の青いパトランプはありませんし、後部に二連タンクが加わっています。
しかしウェザリング仕様ではありませんので映画のように埃と赤錆は付いておらず、ピカピカに黒光りしています。
この点は賛否両論なのかもしれませんが、私はピカピカのままの方がいいかな。
 
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自慢のスーパーチャージャー&V8も丁寧に再現
 
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コックピット内部までしっかりとした細工
犬は付いてませんがw

嬉しいのはフロントグリルの取り外しが可能なこと。
前述のように映画序盤でグリルが壊れてしまうのですが、着脱することにより破壊前と破壊後の双方のフロントスタイルを楽しめるわけです。
私はどういう訳かインターセプターと言えばむしろグリルが無い姿の方がイメージに強く。むき出しのヘッドライトの方が「らしく」感じてしまいます。
黄色い格子のグリルが付いている姿ももちろんカッコいいのですが、ちょい野暮ったさがあるかな。
この点も好みでしょうね。
 
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フロントグリル装着
 
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一般にはグリル有りの姿の方が馴染みがあるでしょうか

作中描写されているマックスのショットガン、短刀、ポリタンク、スペアタイアなども付属。結構芸が細かい。
ちなみに、現在AUTOart社からは二作目のモデルしか発売されていません。
マニアの方にはこの二作目モデルをベースに一作目仕様に換装できるパーツを製作している方がいます。
お金を出せばパーツも含めて製作代行してくれたりしているようですね。
みんなインターセプター好きだなあ。
 
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何となく大好きなVF-1S(やまと1/60)と並べてみました
 
マニアの方と言えば、インターセプターのレプリカを製作、所有している方がいらっしゃるようです。世界的に。
日本でも那須PSガレージというミュージアムレストランが精巧なレプリカを展示しているようですし(ソリッドさん、情報ありがとうございます)、またネットには、オーストラリアでXBファルコンベースにレプリカ製作したものを輸入した方の記事が見られます。
いや~レプリカ実車を所有してしまうとは、世の中上には上・・・どころか遥か上の方がいらっしゃいます。
 
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美しい朝焼けの中、インターセプターを駆って一人気ままに旅を・・・
はあ~・・・夢だな~

私が大金持ちで駐車スペースに何台も車が置けるのなら、フェラーリやポルシェなんかじゃなく、インターセプターやデロリアンやロータスエスプリ(もちろん潜水艇仕様)を並べたいですねえ。
夢のまた夢ですが。
 
おまけ
MADMAX2メインテーマです
仕事に追われているときに職場で流したら殴り合いになりそうW

大塚周夫さん 逝去

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大塚周夫さんが1月15日逝去されました。85歳でした。
ここ近年、大ベテラン声優さんたちの訃報が続いていますね・・・。
次々とキラ星の如く輝いていた方々が亡くなられています。
 
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大塚さんは、加藤精三さん、森山周一郎さんと並び、現代の声優さんでは考えられないド渋い声で日本中を魅了されていました。
生まれてこの方一体何度大塚さんのお声を耳にしたか分かりません。
声質から悪役や渋い中年男が多そうなイメージですが、演技に対してとても真摯な方だったそうで、実はかなり役の範囲は広範。
 
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うしおととらの白面の者の原型ってノロイですよね
 
代表作の一つとされる「美味しんぼ」の海原雄山、「ガンバの冒険」のノロイ、「クラッシャージョウ」のビッグ・マーフィはお声のイメージ通りと言えるハマり役でしたね。
深みとドスの効いたバリトンで凄まれたらもう誰も逆らえないような。
ノロイは怖かった~・・・幼少期の恐怖原体験の一つと言えるほどの恐ろしさでした。
設定も絵柄もいずれも怖かったのですが、それを支えたのは大塚さんの地の底から湧き出るような声色に他なりません。
 
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大塚周夫以外の声は考えられません
 
海原雄山はなんというかハマり過ぎていて、他に誰がやるの?みたいな(笑)
大塚さんに演じて頂くために生まれたようなキャラでしたね。
余談ですが、アニメ放映前に「美味しんぼ」原作を熱読していた高校時代。
「海原雄山」をどう読むかで友人たちともめていました。ふりがな打ってませんでしたからね。まさか「うなばら おやま」じゃねえよなあとか騒いでましたね。
 
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マーフィパイレーツの首領、ビッグ・マーフィ
映画「クラッシャージョウ」より
 
一方でコミカルな役もこなされていて、その代表と言えるのが「ゲゲゲの鬼太郎」のねずみ男でしょう。
あのイヤらしくも調子のいい性格をすんなりと当たり前のように演じておられて。
でも今でこそ大塚さんの作り上げたキャラにみんな慣れ親しんでいますが、難しいキャラだったと思います。
実際、キャラ造り、声づくりには相当苦心されたようで、ご子息で同じく声優の大塚明夫さんは、父の一番すごい仕事はねずみ男だと述懐されているようです。
 
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私にとっての鬼太郎はこの71年放映の作品ですね
 
また、同じくコミカルキャラの代表と言えるのはブラック魔王でしょう。
「チキチキマシーン猛レース」大好きだったなあ。
「マリオカート」の原点だなあとか個人的に思っています。
アテレコにはかなりのアドリブが加わっているようで、原語にセリフの無いシーンまでしゃべっているとか。実際聴いて確かめてみたいですね。
思い出すうちにすごく「チキチキマシーン」が観たくなりました。
今度借りてこよっと。
 
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ケンケンが主役じゃないですよw
 
トイストーリーのハムなんかも独特のキャラクターでしたね。
外見のかわいらしさと声のギャップが大きい。
アンディのオモチャ遊びの中では悪の帝王ドクター・ポークチョップになるんですよね。
コミカルと悪役を自在に演じる大塚さんにはぴったりのディズニーキャラクターでした。
 
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トイストーリー4の製作が発表されましたが
次回は別の方が演じることになるんですね・・・
 
コミカルさとシリアスさが融合されたキャラとしては「うしおととら」のとらでしょう。
その融合具合は原作由来なのですが、落差が非常に大きくて。
これまた大塚さんだからこそ演じられた稀有なキャラなのかもしれません。
 
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とら
コミカルかつシリアス
独特なキャラです
 
そして忘れちゃいけないのが「ルパン三世」の初代の五ェ門
第一期ルパンは、今となっては独特の雰囲気を持つシリーズ中一番異色のルパンとなってしまったのですが、その原因の一端は、五ェ門の声が井上真樹夫さんではなく大塚周夫さん、不二子の声が増山江威子さんではなく二階堂有希子さんだからじゃないでしょうか。井上さん、増山さんとはまた違ったエキセントリックな雰囲気を醸してくれましたね。
 
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この五ェ門パイロットフィルム版
 
洋画アテレコとしてはチャールズ・ブロンソンが有名なわけですが、記憶の中で森山周一郎さんとゴッチャになってるなあと思ったらお二方とも声をあてられてたんですね。
また多くのアテレコをされているんですけど、あまりに多くの役を演じておられたので、ある意味そのすべてを「大塚キャラ」として捉えていたような気すらします。
 
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どちらかというと森山周一郎さんのイメージが強いかな?
 
素晴らしい声の数々、キャラクターの数々。
本当にありがとうございました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 
さらにこの週末、平井和正さん、Origaさんの訃報が・・・
活躍の舞台は違いますが、私のとても好きな方々が次々と・・・
ご冥福をお祈り申し上げます。
どうか皆さま、安らかに。

かぐや姫の物語

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かぐや姫の物語(2013年/日本/高畑勲監督)
90点
※ネタバレあり
 
高畑勲の渾身の一作にしておそらくは長編最終作。
偉大なアニメーターが最後にたどり着いた境地をしっかりと受け止めましょう。
 
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<ストーリー>
里山に暮らす竹取の翁(地井武男)と媼(宮本信子)は、ある日竹林の中で手のひらに乗るような小さな女の子を見つける。少女は赤ん坊の姿に変貌した後、瞬く間に成長していった。彼女は、捨丸(高良健吾)らを始め周囲の子供たちに「たけのこ」とあだ名され、仲よく遊ぶようになっていたが、ある日を境に翁と媼は少女を連れて都の立派なお屋敷へと移り住む。
翁は彼女を高貴な姫君へと育て上げ、貴族に嫁がせようとしていたのだ。それが彼女の幸せと疑わず。教育係の相模(高畑淳子)らの甲斐あり、少女は美しく成長し、「かぐや姫(朝倉あき)」と名付けられた。やがて都では彼女の美しさが評判となり、名だたる貴族たちをはじめ帝までもがかぐや姫に求婚するが、かぐや姫は一向にそれに応じようとしない・・・
 
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季節の移ろいが野の花で美しく表現されていました
これはあざみ
 
物語は思いのほかいわゆる「竹取物語」に忠実です。
一部捨象されているエピソードやオリジナルキャラクターにより付け加えられたシーンがありますが、それでストーリーラインに変更が生じてはいません。
但し、ところどころで丹念に人物描写があることから上映時間は137分の長きに及びます。
 
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キャッチコピーは「姫の犯した罪と罰」。なかなかセンセーショナルですね。
かぐや姫が何かの理由により月より地球に遣わされたのだろうということは、みんな知っていることですが、それは彼女の罪と罰によるものなのか。
本作ではそれが明確に示されているのかと期待してしまいます。
結論から言うと示されてはいるのですが、ではそれがなぜ罪なのか?なぜ罰となるのか?その点については作中丁寧に説明されているわけではありません。
 
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喜びと・・・
 
解釈を進めますと仏教思想に至るようです。
私の極めて浅く不正確な仏教知識を前提にお話ししますが、まずかぐや姫のいた「月の世界」とは決してモルダーが喜びそうなエイリアンの居住地ではなく、ましてプリンセス・セレニティのいたシルバー・ミレニアム王国でもなく、仏教で言う涅槃のようなものだと解釈できます。
涅槃。つまり仏様や解脱した人々による天上世界。カルマから解放された理想郷。それゆえ、人の生き死に、輪廻、喜怒哀楽というものは存在しません。
 
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哀しみと・・・
 
ところがかつてかぐや姫は月の世界で地球を懐かしみ地球の歌をくちずさむ女性に出会いました。何かを懐かしいとか誰かに会いたいとか、それはカルマであって涅槃では許されざること。言わば月世界の「罪」。彼女は「罪人」です。
その罪人の語る地球にかぐや姫は憧れてしまった。それまたカルマに他ならず、その「罪」ゆえにかぐや姫は地球へと島流しにあってしまったというのです。
これが「かぐや姫の罪と罰」の中身じゃないかと私は解釈します。
 
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そして、とまどい
 
な~んだと思っちゃいますよね。
もっとドラマチックな新解釈があるんじゃないかと。
しかし意外にもこれほどはっきりとかぐや姫が地球に生を受けた理由を語った作品は無かったんじゃないでしょうか。
1980年代なら「かぐや姫は宇宙人でラストはUFOに乗って帰りました」ってのは真新しかったのかもしれませんが、現代でそれやったら陳腐の極みですし。
 
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月の世界の住人達
まるで百鬼夜行のようでもあります
 
月世界=涅槃がいかに素晴らしく、地球がいかに欲と苦悩にまみれた罪深い世界であるのか。かぐや姫は月に帰りたいと痛切に思うことでその罪が許されて、涅槃への帰還とあいなります。
その引き金となったのは帝に抱きつかれたこと。元々、やれ婚姻だやれ身分だ何だと、いかにも世俗にまみれた翁の行動にほとほと嫌気がさしていたかぐや姫は好きでもない男がすり寄ってくることが一番嫌だったのでしょうね。
解脱の世界から煩悩の世界に憧れた彼女が本来望んだことは、ある意味煩悩=自分が好きなことをして生きることだったのでしょう。
 
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貧しくても惚れた相手と共に生きていく喜び・・・
 
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捨丸・・・
空想?の中とは言え女房子供捨てようとしてましたw
 
では彼女の好きなこと、望んだこととは何だったのか。
結局それは愛してくれる翁と媼と暮らし、野山を駆け回り花や動物たちに触れ、友人たちと遊び、そして惚れた男と添い遂げることだったのでしょう。
俗世の苦悩の辛さに月へ帰還することになったかぐや姫。
しかし、成し遂げられなかった望みの数々。最後にもう一度それらを夢見てかぐや姫は故郷へと赴き、偶然にも幼馴染の捨丸との逢瀬を果たします。作中ではあくまで手を取り合って空を飛ぶという美しい描写になっていますけどね。
 
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KYな帝(何だ?このキャラデザw)
声の出演は要潤(ウソですw)
 
月への強制送還が執行されて、地球での思いの数々も一瞬で露と消えてかぐや姫は去っていきます。涅槃の住人へと立ち返り、喜びも悲しもない能面に変化するかぐや姫の姿はどこか薄ら恐ろしく残酷です。
人の身ではどうにもならない自然の節理にも似たかぐや姫の運命は、ドラマティックとは正反対の宗教的な達観の様相
なかなか映画では味わえない衝撃がそこにはありました。素晴らしい描写です。
 
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寝返りを打つ赤子のかぐや姫を見守る翁と媼
この表情!うまい
 
さて描写と言えば、やはり本作を支えたのはところどころの目を見張るようなアニメーション描写。中でも、予告映像にもある屋敷から着物をはぎ取りながら遁走するかぐや姫の動きは素晴らしい。絵画がそのまま動くような絵作りは、アニメーション技術の一つの到達点とも思えます。
また、乳児~幼児までのかぐや姫の姿と動きのかわいらしくも愛おしいこと。
そしてそれを見守る翁と媼の温かい愛が見事なまでに表現されています。
 
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この表現、圧巻です
 
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丸みを帯びた赤ちゃんの愛おしさ
素晴らしい作画です
 
ここからは完全に私見なのですが、高畑勲は結局こう言いたかったのではないでしょうか。
人間は実際には解脱などできはしない。地を這いカルマを背負って生きる小さな命に過ぎないのだ。ならば限られた生の中で喜びを追って生きようではないか。自然を愛し、家族を愛し、仲間を愛し、そして伴侶を愛し、慎ましくも温かい日々の生活を全うすることがその喜びですよ、と。現世における涅槃は目の前にありますよ、と。
なんだかメーテルリンクの「青い鳥」のような結論ですけどね。
 
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