「その車は まるでくるおしく 身をよじるように 走るという・・・・悪魔のZ-ッ」
前回
「湾岸ミッドナイト」について記事にさせて頂きましたが、ぶっちゃけ
コレを自慢するための前置きですw(このパターン何度目だ?w)
10月28日に
AUTOart社から発売されたS30型フェアレディZ悪魔のZ仕様。
版権モノです。
京商やイグニッションモデルからも同スケール品が発売されていましたが、あちらは版権モノではなく、にもかかわらずプレミアついちゃって手を出せる値段ではなくなっていました。実物を見たことはなかったのですが、版権じゃなくてもスゲーカッコよかったんですけどね。
実物は写真よりももうちょっと深い暗いボディカラーです
AUTOart社の品質とこだわりの高さは以前ご紹介した
マッドマックス2「黒いインターセプター」で保証済みですから、今年の春にAUTOart社から版権モノの悪魔のZが発売されると発表されたときにもう小躍りするくらいうれしかったですね。余談ですが、実はこの
年末年始にかけて欲しい商品が他に二つあったんですよ
。「宇宙刑事ギャバンのレーザーブレード」と
「クラッシャージョウのBDボックス」。レーザーブレードはヨドバシ店頭のデモ品をマジマジと見て悩みぬいた末に本品を選択しました。ああ、ボーナスが倍になれば・・・w
ちなみに2月にはHI-METALからダグラムが発売予定。こちらは外せませんね。
フロント開口部からのぞくむき出しの大型インタークーラー
それではまずは蘊蓄ミッドナイトと参りましょうか。
悪魔のZは漫画「湾岸ミッドナイト」で登場する主役カー。L28型エンジンを搭載したS30型フェアレディZに種々改造を施した首都高湾岸線最速を欲しいままにする伝説の車という設定。ボディカラーははミッドナイトブルー。ちなみにこのミッドナイトブルーはJIS規格にも規定されている色なのですが、本作制作にあたってはそれにこだわらず相当試行錯誤の上で色を決定したとか。原作表紙への色合いはあいまいですしたしね。
L28型をボアアップ&ツインターボ化
どのような改造が施されたかの詳細は後述するとして、まずは元のS30型Zについて語りましょう。
初代フェアレディZのS30/31型は1969年に誕生しました。日産の北米ターゲット車として企画がスタートしたようですね。当時北米で人気だった高額ヨーロッパ製スポーツカー需要枠に、安価で丈夫でカッコいいスポーツーカーとして投入し大ヒットしたようです。北米では「ダッツンズィー」の愛称で呼ばれていることは、園田健一の「ガンスミスキャッツ」でも紹介されていましたね。
S30型についてネットで調べると、日本よりも北米の方がはるかに詳細なサイトがいくつもあって未だにそれだけファンがいるのだなと感心しちゃいます。
ボンネットやドア開閉までこだわっている(はず)
もちろんハッチバックにもこだわりっている(はず)
登場時のパワーユニットはL20型。直6SOHC2.0L。最高出力130ps/6000rpm。需要に従ってパワーユニットは徐々に排気量アップされ、L24型ユニット搭載の240Z、DOHCモデルS30型搭載のZ432等々のグレードが国内外で発表されていきました。
悪魔のZのベースとなるL28型は1975年に登場。直6SOHC2753cc、最高出力は173ps/5600rpm、最高速度は205km/hだったそうです。但しこのL28型を搭載した280Zは北米のみので国内では販売されませんでした。このことは原作でも語られていましたね。
車体はモノコック、サスはストラット式、ブレーキは前輪ディスクの後輪ドラム。
悪魔のZは後輪もディスクに換装されていましたし(本品の後輪からはブレーキローターが覘いている)、それ以外の足回りも変更が加えられているんでしょう。
ホイールも微妙に八の字にアライメント
ここ大切
さてそのL28型が地獄のチューナー・北見淳によっていかなる改造がなされたのか。
まずは排気量を3.1Lにボアアップ。TD06ツインターボを追加。これによりブースト圧次第ではMAX800psまで可能なモンスターマシンと化しました。
なおエンジンはL28型ですが悪魔のZのボディはZ432。
280Zから北見によって積み替えられたんですね。
またボディにはダッシュボード貫通のロールケージに加えて、北見が天才と呼ぶ高木によってスポット溶接を増して剛性を高めていたようです。
元々悪魔のZは主人公朝倉アキオと同姓同名の男アサクラアキオの愛車で、彼が事故死して以降は所在不明。廃車寸前のところを朝倉アキオに見いだされて復活を遂げたものでした。さらに物語序盤で一度大破炎上しましたが、高木の手を借りて再度復活したのです。
メーターやダッシュボード周りも細かいです
写せないけどw
オーバーフェンダーは外付けでなく叩き出し(とのこと)
その後はアキオの意向や関わったチューナーたちの意見を取り入れて徐々にファインチューンを繰り返しました。
オイル循環のドライサンプ化、アンダーパネル装着、ルーフのカーボン化による軽量、タービンのIHI製RHC6RACINGタービン(F1用)への換装といった物理的変更。
燃調の鬼といわれるセッティングスペシャリスト富永のアドバイスによって旧式のキャブレターからインジェクターへの変更を勧められたアキオでしたが、悪魔のZのフィーリングが変わることを恐れたアキオによってこれは見合わせられました。しかしその後電子制御式キャブへの変更は施され、富永によって繰り返し調整が図られることに。
また、当初は北見以外に触らせなかったエンジンは、後にRGO大田の娘リカコによってトルク特性の改良が施され、北見によって切り捨てられた低速域が改善されたようです。
一度は大破した悪魔のZ
しかし高木とアキオ自身の手で奇跡の復活
モデルカーを眺めていると
思わずブツブツこんな感じの独り言言いたくなりますw
最終的には当初のピーキーさは薄れ、500ps程度に抑えてトルク特性もフラット化。またハンドリングもコーナリング重視に変更されていったようですね。これは原作初期ではどこか刹那的だったアキオが、出会った多くの人々の思いを背負い、特にレイナの気持ちを汲んで「いつまでも走り続ける」ことを意識するようになった結果だったのかもしれません。
まあ、人間が丸くなって車もなるようになったということかな。作中ではアキオはダブり一年目の高校三年生のままなんだけどw
あ、ちなみに本作の時間概念はサザエさん方式。時代が進んでバブル期からR34やS2000が登場するようになってもキャラクターは歳を食わないままでした。18年間w
「だが、それがいい!!」
ヘッドライトカバーまで忠実に再現
太いタイヤ、太いマフラー、低い車高
男のロマン(の一つ)だなあ
ようやく本品の話しになりますが(前置き長すぎ)、さすがはAUTOart、見事な出来栄えです。
チューニングカー然とローダウンしたバランスが絶妙に再現されています。作中、繰り返し「速い車は見ただけでわかる」という趣旨のセリフが登場するのですが、このモデルカーにも見事に当てはまっています。まあ、おもちゃなんだけどw
ミッドナイトブルーの車体色も素晴らしい。人によってはもっと暗くてマットな色合いを想像していた人もいるかもしれませんし、実は私もそういうイメージだったのですが、立体物を目にするとそれでは地味になり過ぎるのかもしれません。適度にマイカが入った輝きは派手すぎない美しさを醸しています。
塗りムラなんかも見当たりません。まだプンプン匂う塗装臭もイイなあ。
トランスミッションがオリジナルのままかどうかは分かりません
細部へのこだわりも行き届いていますよ。
ハッチバックやボンネットの開きも良く見ると細工がこまかいんですよね。実車がどうかまでは分からないのですが、おそらくはかなり忠実に再現したんじゃないかな。
悪魔のZオリジナル要素であるフロントグリル形状の再現もバッチリ。ツインターボを支える大型インタークーラーがむき出しになっているのがわかります。オーバーフェンダーは原作描写を見る限り叩き出しのようで、外付けを表すリベットは見られません。ナンバーはもちろん原作漫画通り。
原作漫画でもハイアングルって記憶にないです
ヘッドライトカバーが目立ちますが、実はこれアマゾンレビュー上で注目されていました。原作の悪魔のZにはカバーが無いのでは?という疑問があったんですね。確かに原作の絵では見逃しがちなんですが、カバー有りが正解。AUTOartの制作サイドでも当初はカバーに気づいていなかったらしく、途中で指摘を受け、楠先生に確認までしたのだとか。
その他ピロ足仕様だとか100Lタンクだとか言われても外形上良くわからないところまでこだわり抜いているのだとか。すげえw
総じて本当に良くできた製品です。実売20,000円弱と決して安い値段じゃないですが、迷っている方なら手に入れて間違いのないところでしょう。
つーか、この手のモデルカーはほぼ再販が無いので買い逃すと間違いなくプレミアついちゃうんですよね。
今ならまだネット上でも売り切れにはなっていないようですよ。