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小説 スマイルプリキュア!

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小説 スマイルプリキュア!
(著:小林雄次/講談社キャラクター文庫/2016年10月4日発売)

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24歳のスマイルチーム?!

先日の日曜日、プリキュアシリーズ第13作「魔法使いプリキュア!」が最終回を迎えました。再会はプリキュアのキーワードの一つ。なかなか泣かせるラストでしたね。
2月5日からは第14作「キラキラ☆プリキュアアラモード」が始まります。美山加恋がテレビアニメ初主演というのも話題になっているようですが(劇場版アニメ「ももへの手紙」では主役を演じていましたが)、私的に注目点は何と言ってもあの「まいんちゃん」こと福原遥がプリキュアの一人となって出演すること。
「復ッ活ッ、まいんちゃん復活ッッ、まいんちゃん復活ッッ、まいんちゃん復活ッッ」と思わず烈海王のように叫んでしまいたい気持ちを抑えきれませんw
いや~キャラ名やプリキュア名で呼ばず、ずっと「まいんちゃん」と呼んじゃいそうだなあ。(47歳サラリーマン談)

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星空みゆき
絵本作家になるのが夢

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変身後はキュアハッピー
キラキラ輝く未来の光!

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笑顔のために戦ったスマイルチーム

そんなプリキュアシリーズの中で一番のお気に入りはどれ?と言われれば、以前にもちょっと語りましたが、シリーズ第9作目の「スマイルプリキュア!(2012年2月5日~2013年1月/全48話)」だったりします。観ていて一番楽しいプリキュアだったというのがシンプルな理由。ストーリー性なら「ハートキャッチプリキュア!」、キャラ萌えなら「フレッシュプリキュア!「スイートプリキュア!」ハピネスチャージプリキュア!」の方が上だったのですが、とにかく「スマイル」はそのタイトルの通りたくさん笑えたんですよね。
震災後に発表された影響も大きかったのかもしれません。小難しいキャラ相関や背景よりも、被災地の子供たちであってもせめて鑑賞中は笑顔でいて欲しいという制作側の思いが反映されたのだと思います。そしてそれに併せて登場する5人のプリキュアたちがみんな実に清々しく素直で良い子たちだったんですね。
心の底から応援したくなるような。(47歳サラリーマン談)

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お好み焼き屋の看板娘・日野あかね
本編でも登場したイギリス人留学生ブライアンとの恋の行方は・・・

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変身後はキュアサニー
太陽サンサン熱血パワー!

さて、今回ご紹介する本書はその「スマイルプリキュア!」の小説版。と言っても本編を小説化したものではなく、後日談的位置づけのオリジナル小説です。講談社キャラクター文庫から出版された同趣旨のプリキュア小説はこれで4作目。これがなかなか位置づけの困難な小説でして。挿絵もなく、307頁のボリュームとフォントの小さいふりがなも無い文体は子供向けとは到底思えません。実際その内容も、プリキュアとは思えないちょい辛口なもので、一体誰をターゲットにしたものなのやら。
プリキュアの「本来の」ターゲット層は未就学女児。本編は4年前に終了していますので、その時の視聴者はせいぜい7~10歳くらい?まだ本書を読むには早いなあ。仮に読めたとして、背伸び盛りの小学校高学年女児が幼児向けアニメの小説版を読むとは思えず。まあ、やはり大きいお友達向けに書かれたと考えるべきなんだろうなあ。
ですが、私は発売から1か月後に秋葉原の書店数店で探したのですがどこにも置いてなかったんですよね。結局amazonで買ったのですが・・・不思議な本だわw

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黄瀬やよい
夢は漫画家
幼くしてお父さんを亡くしています

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変身後はキュアピース
ピカピカぴかりんじゃんけんポン!

物語は24歳になったみゆきの独白から始まります。書店のアルバイトとして子供に絵本の読み聞かせをする日々。しかもその絵本は売り物ではなく、中学時代に自主製作したもの。アニメ本編で繰り返し語られた彼女の夢は絵本作家になること。結局夢は叶わなかったのですね。しかも生活と心の拠り所にしている書店も閉店間近。薄ら寒いみゆきの現状に読んでいるこちらは愕然とさせられます。
しかも最高の友達であり同じプリキュアであるはずのあかねたちとは名前すら失念しそうになるほど疎遠になっているのです。
他のメンバーたちも同じく立ちはだかる現実の前に押しつぶされそうになっています。あかねは10年来の恋を失い、やよいは夢かなって漫画家になっているものの心を疲弊させ、なおはケガでサッカー選手の夢は絶たれ、中学教師のれいかは生徒から憎しみに近い不信を浴びています。
ちょっと子供には読ませられないw

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緑川なお
大家族の長女
曲がったことが大嫌い

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変身後はキュアマーチ
勇気リンリン直球勝負!

アニメや漫画の後日談として、この類の手法はある意味反則めいています。夢と希望あふれるキャラクターたち。しかし大人になった姿はリアルな人々さながらに平凡で残酷なもの。嫌が応にも心に響く展開ですが、作品そのものを破壊することにもなりかねないからです。
藤子・F・不二雄による「オバケのQ太郎」の衝撃の後日談「劇画・オバQ」は賛否両論あるところだろうと思います。まあ、藤子先生だから許された禁じ手と言えるでしょう。
しかし本書の主題はそこにはなく、作品破壊をギリギリで回避しています。
読み進めていくうちに分かってくるのですが、みゆきたちはそもそも自身がプリキュアであったことを忘れてしまっているのです。みゆきの描いた絵本の出来事だと思っている。これはちょっとおかしい。
果たしてみゆきたちの暮らす大人になった世界は現実なのか?

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青木れいか
才色兼備の優等生

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変身後はキュアビューティ
しんしんと降り積もる清き心!

れいかが受け持つ国語の授業の中では荘子の「胡蝶之夢」が取り上げられ、さらにはかつての敵であったジョーカーがれいかの夢の中に現れ、彼女の心を揺さぶります。
「スマイルプリキュア!」を観ていたカンの良い方ならここで物語の真相に及びつくことでしょう。そう。この世界は実は・・・
最後はプリキュア作品らしいハッピーエンドへとたどり着くのですが、それでもなおどこか寒々しい読後感が残ります。
それは本書の読者(のうちおそらくほとんどの人)が、子供時代の夢を叶えるに至らなかった大人だから。読者自身をチクリと刺激するとともに、みゆきたちの行く末に寂しさを感じずにはいられません。
人生には目に見える悪の親玉なんて存在しないんですよね。ただ心と時間を削っていく日々の生活が横たわっているだけ。しかしそれこそが我々凡人の夢と希望をすり潰していくものだったりして・・・いや~、真面目に考えると重いわw

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本作は「劇画・オバQ」+「まどかマギカ叛逆の物語」と言えば
カンの良い方はお判りでしょうか?

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現実世界の敵は目に見える悪者だけではありません

著者の小林雄次はアニメ作品の他、特撮作品を多く手掛けている脂ののった脚本家です。文体も表現も丁寧で読みやすくあっという間に読み終えること出来ました。アニメ本編の構成や脚本も担当していて、そのおかげでキャラクター一人一人の特徴の把握も破たんなく、また本編で描かれた細かいエピソードへの言及がなされていてファンにとっては実にうれしい限り。なつかしいシーンの数々が蘇ってきましたよ。
上述の通り、決して明るく楽しいだけの作品ではないのですが小説としてはなかなかの完成度。もうちょっと消費者の目に留まり易ければいいのに。
子供の知らないピリリと辛口のプリキュア。次はどの作品が読めるのかな?

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超時空要塞マクロス 18話「パイン・サラダ」

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超時空要塞マクロス 18話「パイン・サラダ」
(1983年2月20日/脚本:星山博之/キャラ作監:美樹本晴彦/メカ作監:板野一郎)

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初代マクロスの放送開始は1982年10月。私は中学一年生でした。
アニメ好きの友人たちの間ではすごく面白そうなアニメが始まると事前情報にワクワクしていて、初回(一話二話一挙放送)の一時間放送スペシャルを心待ちにしていたものです。
放送開始は日曜日の昼間。普段なら友達と遊びほうけている時間帯なのですが、その日ばかりはいったん解散して各自自宅でマクロスを鑑賞後再度集まったことを覚えています。お祭り騒ぎでしたね~。
オープニングのバルキリーの変形からの戦闘映像には度肝を抜かれ、ビデオに録画してコマ送りで何度も何度も鑑賞したものです。

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女好きで後輩思いな歴戦の撃墜王・スカル大隊長ロイ・フォッカー少佐
身長216㎝体重118㎏(デカ過ぎw)

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彼の愛機VF-1S

今考えるとマクロスはいろんな意味で画期的なアニメでしたね。現行ロボットアニメの系譜はガンダムよりもむしろマクロスから始まったと言えるかもしれません。
マクロス以前に国民的ヒットを飛ばしたヤマト999ガンダムですが、当時アニメと言えば小学生が観るもの。作品の質が高かったために「結果的に」小学生以上の中高生や大人たちにまで人気が波及した形。しかしマクロスは明らかに中高生以上を最初からターゲットにした作品だったように思います。
また、それまで主人公の仲間としての副産物に過ぎなかったアイドル的ヒロインキャラを、作中の設定として「アイドル」に仕立てあげてしまったことも画期的だったかもしれません。
さらには、リアルを標榜しつつも空想メカ色が強かった当時のアニメロボットに対し、現実の航空兵器そっくりの戦闘機(F-14トムキャット)を変形ロボット化させたという点にも驚かされました。

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マクロス左腕部に位置するプロメテウスから発艦

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雑魚クァドラン・ローを余裕で屠る

美樹本晴彦のキャラデザは輝くほど魅力的でしたし、板野サーカスには目を見張りましたし、何より河森正治デザインによるメカのカッコ良さにはひたすら痺れました。
ちなみに、世の中にアニメ・特撮・映画メカは数あれど、私が一番好きなのはVF-1バルキリー。さらには、当時タカトクから発売された1/55変形バルキリーは私がもっとも好きなオモチャだったりします。

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輝は負傷のため柿崎とマックスはスカル隊のケツにつく

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7時方向から銃撃を受けたVF-1S

とは言え決して本作は良いところばかりではなく。
アイデアは抜群だったとは言え、キャラメイン・メカメインに過ぎたことでお話の練りこみや人物描写は甘かったり。全体の2/3は作画崩壊していたり。現代のアニメでも時々作画崩壊が話題になりますがマクロスのそれは崩壊のレベルが違いますよw
試しに第25話「バージン・ロード」とか観てみてくださいな。
まあ、今となってはそれを含めて初代マクロスの魅力なんですけどね。

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作戦終了後に「パイン・サラダ」を食べるはずだった二人

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重傷を負いながらクローディアの部屋に訪れて絶命

本話はそんなマクロスの中でも屈指の作画安定回。迫力の空戦が拝めるとともに、主要キャラだったロイ・フォッカーが物語半ばで戦死してしまう衝撃なお話でした。
バルキリー大隊を率いる歴戦の撃墜王、男気溢れる偉丈夫、兄貴キャラ。まあ、ぶっちゃけロボットアニメ的にはいつかは死にそうなフラグが立っているのですが、まさか物語中盤の退場となるとは。死ぬにしたって最終回近くにスレッガーみたいな劇的な死にざまを見せてくれるもんだと思っていたのですが・・・ショックでしたね。
フォッカーの愛機であるジョリーロジャーをマーキングしたVF-1Sがカッコ良かったんですよ。男の子は強くて厳ついものに憧れますからね。強いんだかなんだかよく分からない主人公の輝と彼の愛機のVF-1Jよりもずっと好きでしたね。
まさかこれでVF-1Sも見られなくなっちゃうの?と寂しく思いましたが、なんと輝が新たに乗り込むことでくれました。反面「いや、フォッカーが乗ってこその1Sだから」とちょい苦々しくも思ったり。

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天才マックスにエースのミリアが迫る

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異次元の空戦が始まる

フォッカーの声は神谷明。今でこそどんな役柄もこなせる名声優というイメージですが、当時の彼の役どころは二枚目少年主人公キャラが定着していまして。
バビル二世、ゲッターロボの竜馬、ライディーンのひびき洸、ダンガードAのタクマ・・・他にもた~くさんの役柄をお持ちでした。そんな意味でこのフォッカー、キン肉マン、面堂、ケンシロウあたりの80年代前半の役どころは神谷明の新境地と言われたものです。今では信じられないかも知れないですが、当時ケンシロウ役が決まった時、彼の声では軽いとか似合わないとか批判が集まったくらいなんですよ。放映が始まった後はそんな声もすぐに消えてしまいましたけどね。

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フォッカーをして「何だぁあいつはっ?!」と驚愕せしめたミリア(12話)

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そのミリアを一蹴した超天才マックス

フォッカーの恋人クローディアの声は小原乃梨子。アニメでは少年役とドロンジョ様のイメージが強いですが、洋画吹き替えでは妖艶な美女役も多く、神谷明と小原乃梨子とのやり取りは「大人の恋愛」を強調していましたね。(と言ってもまだ二人とも20代なんですが)
クローディアがアフリカンアメリカンだという設定も斬新ですよね。テレビアニメで黒人女性を主要キャラに据えたのは本作が初めてでは?他の主要キャラにも出身国設定が付されていまして、マクロス世界の2012年は国境概念の薄れたグローバル社会を想定していたんだなあ。(その辺は「マクロス ゼロ」に詳しい)
なんと言っても艦長の名前が「グローバル(イタリア出身)」だしねw

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作画崩壊例w
(同一人物です)

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アニメ史上最悪の地雷女(私見)

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かと言っても未沙もなあ・・・

タイトルの「パイン・サラダ」は、クローディアがフォッカーにご馳走するつもりだった彼女の新レシピ。出撃中に重傷を負い、それを隠して彼女の部屋にたどり着くもギターを弾きながらソファで絶命。劇的なフォッカー主役回・・・と言いたいところですが、残念ながらそれはちょい微妙なところ。
なぞは、マクロス世界最強パイロットマクシミリアン・ジーナスとゼントラーディの絶対エースミリア・ファリーナの激突に目がくぎ付けとなってしまいました。
作画も気合が入っていて、全話通じて個人戦描写では最高峰と言えたのでは。
ついでに言えば、私の中ではマックスは一番好きな男性アニメキャラですし、彼のVF-1Aは最も好きなアニメメカだったりします。
そんな訳で本話の異次元の空戦シーンは何度繰り返し見たことか

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バーミリオン3発艦!
超カッコいい!!

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とにかくカッコいい!!

さて、毎度当ブログを覗いて頂いている方ならお察しのことと思いますが、今回の記事は次回の前フリ。
果たしていかなるオモチャが登場とありなりますやら。乞う、ご期待。

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ミンメイ人形ではありません
キュ~ンキュ~ン

バンダイ VF-1A バルキリー マックス機(TV版)1/55(リペイント)

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バンダイ VF-1A バルキリー マックス機(TV版)1/55(リペイント)

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ウヒョ~
夢にまで見たタカトク1/55版VF-1Aテレビ版マックス機!!

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テレビ版マックス機はゼントラーディ人と格闘もしました

いい歳ぶっこいてオモチャ大好きな私ですが、一番好きなオモチャを問われれば迷わず今は亡きタカトク社から発売されていた1/55バルキリー(バンダイ再販版、ハイメタル含む)を挙げます。最近、タカラの1/48デュアルモデルダグラムの素晴らしさにも目が眩んでいるんですけどね。
私がタカトクバルキリーをどれだけ愛しているかについては今まで散々語ってきたことですので詳細は省くとして、一方でそのバルキリーの中で何が一番好きかと申しますと、これも今まで散々語ってきたことなのですがVF-1Aテレビ版マックス機なんですよ。

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夢を叶えて下さった出品者の方には感謝したいです

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秘儀・おとり撃ち~

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天才を鼻にかけない天然っぷりも良かったですね
劇場版のマックスは微妙にヤナ感じだったけどw

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劇中では若干16歳

ところがね。その1Aテレビ版マックス機はタカトク(バンダイ再販、ハイメタル含む)から発売されていないんですよね。
私の知識が確かならば、発売されているのは1J一条機、1Sフォッカー機、1S一条機1A量産機、1Jマックス機、1Jミリア機、1A劇場版一条機、1A劇場版マックス機、VE-1エリントシーカー、VT-1スーパーオストリッチ。
1Aテレビ版マックス機は、マクロス放映中、主人公機である1Jやジョリーロジャーも眩しい1S機よりも人気を博した機体なんです。なんと言っても作中最強のパイロットが画面上一番戦績を上げた機体なわけで。
ただ、その後マックスはミリアとおそろいの派手な1Jに機体を変えていて、その印象がとても強く。タカトク1/55に限らず、やまと、トイナミ、現行HI-METALなどなど1Jマックス機が優先的に商品化されてきたわけなんです。
VF-1バルキリーファンにアンケート取ったら今でも1Aマックス機は相当人気があるはずなんですけどね。市場調査が甘いんじゃないの?
つーか、お願いだからHI-METALから1Aテレビ版マックス機出してくださいな。テレビ版だからね。間違えて劇場版にしないでね。

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タカトクガウォーク形態だってマックス機ならカッコいい

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18話「パイン・サラダ」の空戦はコマ送りがおススメです

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ガウォーク形態は後ろから見ると・・・w

現行品のHI-METALならいざ知らず、ここ10年再販のないタカトク1/55から1Aテレビ版マックス機が新たに出ることは望むべくもないこと。
一番好きなオモチャ+一番好きな機体というコンビネーションは夢のまた夢だった・・・はずなのですが、なんとこれがヤフオクでポンと出品されていたんですよ。
ギョッとしましたね。
その正体は1A劇場版一条機を一般の方がリペイントした改造品なのですが。
私の様に模型技術の無い人間には発想すらないのですが、色を塗って改造することだってできるんですよね。いずれにしても私にとっては夢にまで見たブツを手に入れる千載一遇のチャンスだったわけなんです。

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私的にはタカトクファイター形態もかなり好き

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この角度、かなりカッコいいでしょ

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私のヤフオク歴はもう20年くらいになります。価格帯、商品、出品者を見る目もそれなりに出来ていると自負していますので普段は熱く競るようなことはないんですよ。
しかしこいつばかりはどうしても入手したかったのでやらかしてしまいました。
正直、一般の方による改造品となればそれほどお高くなく落札できるものと高を括っていまして、事実出品価格自体は高くなかったのですが最終的にはかなりのお値段に。
当初の私の想定の倍、予算の1.5倍くらいになってしまいました・・・・が、一片の悔いなし。飲み会を2~3回断ればいいさ。
やはり世の中には私以外にもタカトク&1Aテレビ版マックス機がお好きな方がいらっしゃるんですね。競った相手とは言え、妙な共感を覚えましたよ。

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想像以上に再現性高い

届いたブツですが、非常に良くできたものでした。商品説明には出品者(製作者)から「素人によるものなので・・・云々(でんでんではない)」と述べられていましたが、それはご謙遜。
製品並みにしっかりとした塗装でしたよ。欠品や痛みも見られませんでしたしね。
ただ、ちょい残念なことに長く箱外で飾っておられたようで、かつ煙草を召されるようで、汚れとヤニ臭が付いていました。
これについは以前にジャンク品の1/48デュアルモデルダグラムを磨いたように、一時間以上かけて重層系掃除布で丁寧に拭き取ったところ、ずいぶんとキレイになってヤニ臭も消えました。重層系掃除布はオモチャの清掃には最適ですね。

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絵になる機体だよなあ

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タカトクのカチッとしたバトロイド形態

30年以上欲しいな~と思い続けていた夢のブツ。それをこうして手にすることが出来るというのは実に不思議な感覚です。
学生時代に好きだったあの子と今になって付き合えたような感覚でしょうかw
しかし人間欲深いもので、あの子と付き合えたら別のあの子と・・・などと考えてしまうもの。素直に未沙とだけ付き合ってりゃいいのにミンメイにも未練タラタラとか全くもう。これだから遊び慣れていない男はダメなんですね。その点マックスもフォッカーも惚れたらバシッと一人の女に決めていて実に気持ちがいい。
ヘタレ男が主人公のアニメは観ていてイライラします。
(一体、私は何の話をしているのでしょうか?w)

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てなわけで次はどんなバルキリーを手に入れてやろうかとウズウズしています。
う~ん・・・HI-METAL?やまとの1/48VF-1Aテレビ版マックス機?いやいや、保存用にタカトクバルキリーの出物を探すか・・・実のところマクロスFを見始めたら案の定VF-25のDX超合金が欲しくなりつつあるという・・・業が深けえや

地獄の才能

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地獄の才能
(1975年3月刊/秋元文庫/眉村卓著)

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グッと惹かれる表紙です

小学校二年生の長女はかなりの読書好きです。まあ、赤ん坊の頃から盛んに読み聞かせをして周囲に本を置いて物語に親しませと、そう仕向けた成果もあるのですが。
漫画やゲームも与えているのですが、どうやら本の方が好きらしく小学校高学年向けの小説までも凄いスピードで読破しています。(ちょい娘自慢w
今のところ小学生向けに訳された海外名作系がお好みのようですね。私も本は好きでしたけど、娘ほどじゃないかったなあ。漫画の方が好きだったし。
休日に一緒に児童書コーナーを散策などしていると、ふと自分が子供の頃読んで感銘を本などが思い起こされます。SFばかりだったわけなんですが。
そんな本の一つが今回ご紹介する本書。

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突如野犬の群れに襲われる主人公
街中に野犬ってもう見ないよね・・・

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天才児・和男に一蹴される主人公の友人
屈辱!

<ストーリー>
平凡の中学一年生・宮原俊治のクラスに、新学期から一週間過ぎて富士見和男が入学してきた。彼は勉学もスポーツも飛びぬけた天才児。次第に学校中の人気者となる和男だったが、俊治は彼にどころなく薄暗い不気味さを覚えていた。時を経ずして、周囲の中学校にも和男と同じような天才児が存在し、トラブルを起こしていることを知る俊二と彼の友人・森順平。さらには彼らのクラスメートで平凡だった小田中明子がしばらく病欠していた後に和男と同様の天才児となって戻ってくる。真相を突き止めようとした俊治と順平は、和男と明子は共に「研究所」と呼ばれる施設に通っていることを突き止める。ところが調査を進めようとした彼らに「研究所」からの危害が及び始める・・・

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謎の「研究所」に拉致されそうになる

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一介の女学生が機械学習と投薬で天才に?!
なんだか女の子が桜田淳子っぽいw

本書はSF小説のヒットメーカー・眉村卓によるジュブナイル小説。主人公の俊治と同年齢層をターゲットにしたものだと思われます。眉村卓は同趣旨の小説を得意としていて、本書の他には映画・ドラマ化された「ねらわれた学園」や「なぞの転校生」が有名ですね。学園の中に特殊な能力を持った学生が現れて・・・という骨子は共通しています。ベタな展開ですが、しかしやはり王道的に面白いんだなあ。特に現在進行形の学生にとってはね。ベタとは言いましたが、そもそも眉村卓こそその手の物語の創始者の一人なのでしょうし。
小松左京、手塚治虫、筒井康隆、そして眉村卓。日本SF界に燦然と輝く大巨匠たちが大阪出身であることは大阪人として鼻が高いですね。

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スポーツに勉学に
突如増殖する天才たち

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天才・和男の陰に耳の欠けた犬が

私が本書を読んだのは小学校高学年くらいでしたでしょうか。夢中になってあっという間に読み終えた記憶があります。
私は昔から「天才キャラ」が大好きなんですよ。ドカベンだと殿馬とか、修羅の門だと片山とか。お前ら努力してんのかよ?的天才が他を圧倒するような活躍をする展開が好きなんですが、ひょっとしたらそれは本書の影響なのかもしれませんね。眉毛の太い赤や白がイメージカラーの主人公が努力と友情で強くなるとか、そういうのイマイチ好きじゃないんですよ。暑苦しくて。(少年漫画真向否定w)
クールで天才肌の青の二番手こそカッコいい。ちなみにその天才キャラの究極は先日もご紹介したマクロスのマックスだったりします。もっとも本書の和男は天才で美少年ではあるのですが、決してカッコいいキャラじゃないんですけど。

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主人公の見た恐怖の夢
何の暗示によるものか

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警官を一瞬で昏倒させる謎の武器

本書は、先日立ち寄ったまんだらけ中野店4階で手に入れたものです。200円だったかな。探そうとするとなかなか見つかりにくい本だとは思いますがプレミアの対象にはなっていないようですね。幸いしました。
発行は秋元文庫(秋元書房)40代以上の方ならこの黄色い背表紙には見覚えのある方も多いでしょう。主に少年向け小説を出版していたのですが、どうやら1990年頃廃業してしまっているようです。
ソノラマ文庫も今はありませんし、コバルト文庫も名前を変えてしまったのかな。少年時代に馴染みのあった文庫レーベルが店頭から消えてしまっているのは寂しいですね・・・。
今はこれらの役割をライトノベルが担っているのでしょうか。角川スニーカー文庫とか、富士見ファンタジア文庫とか、電撃文庫とか。

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二人がかりでも天才・和男にはかなわない
絶体絶命の主人公

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ついに「研究所」を強襲する警官隊

ジュブナイル小説とあって文体は読みやすくスラスラと読破できてしまいます。今の感覚からすると中学生にしては話し言葉が堅苦しいのところに時代を感じますが。フォントは小さく振り仮名が少ないのが今の子供向け小説よりと比べると顕著です。やはり当時よりは確実に活字離れが進んでいる証左なのかなあ。決定的に今の子供向け小説と異なるのは表紙絵・挿絵のセンスですね。
劇画タッチは当時の読者である我々にとってはとても懐かしく味があるのですが、このままでは今の子供たちは拒絶反応示しちゃうかも。娘が読んでいる現代版の児童書籍の挿絵はキラキラしてますからね。キラキラル。

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投薬によって知能が増し宇宙の深淵をのぞき込む主人公

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果たして「研究所」職員の正体は?!
素晴らしい作画です

その挿絵は故・依光隆さん。ペリー・ローダンの挿絵は367巻まで彼の手によるもの。80年代以前の劇画調の小説の表紙絵・挿絵を多く出がけていらっしゃいました。
小松崎茂さん、武部本一郎さん、生瀬範義さんとか。SF小説には独特の劇画タッチの挿絵が不可欠に思っていたりするのは世代ゆえかもしれません。今その系統を継いでいるのは長野剛くらいでしょうか。滅びゆく文化になってしまうのかなあ。
ますます足がまんだらけ中野に向いてしまいそうです。

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この黄色い背表紙
見覚えある方も多いのでは?

エクス・マキナ

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エクス・マキナ(2015年/イギリス/監督・脚本:アレックス・ガーランド)
85点
※ネタバレなし(ヒントあり)

2016年はAI元年とか言われていましたね。何をもって元年なのかはよく分かりませんが、昨年今年とビジネスの世界ではやたらAIが叫ばれています。もっともそこで言われているAIは人間の代わりに働くコンピュータ程度の意味合いで、科学やSFの世界で言うものとはかけ離れた印象がありますが。
本作は後者の意味合いでのAI、つまり人間と同等以上の人工知能をテーマにしたタイムリーなSFサスペンス映画です。

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本作のタイトルは「デウス・エクス・マキナ」に由来します

<ストーリー>
検索エンジンの寡占企業ブルーブックで働くケイレブ(ドーナル・グリーソン)は、社内抽選で社長のネイサン(オスカー・アイザック)の別荘に招かれる。到着早々に機密保持契約へのサインを求められるケイレブ。実はネイサンはAI搭載のガイノイド(女性型アンドロイド)を極秘開発していたのだ。ガイノイド「エヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)」のチューリング・テスト(人工知能の知的テスト)を命じられたネイサンは、美しい女性の外見をしたエヴァとの会話を始める。しかし別荘が停電になりネイサンの監視が消えた瞬間、エヴァはケイレブに「ネイサンを信用するな」と伝える。外界と隔離された別荘の中で、ケイレブ、ネイサン、エヴァ、そしてネイサンの愛人と思しき英語の分からないキョウコ(ソノヤ・ミズノ)との奇妙な1週間が始まる・・・

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高度なAIを搭載したガイノイド・エヴァ

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機械部分を覆えばキュートな本物の女性にしか見えません

舞台仕立ての上手な映画です。静かな近未来的建物、雄大な自然、繰り広げられる知的で謎を秘めた会話、不安を煽るBGM。ネイサンの言葉は科学の最先端でありながら哲学的であり、しかしどこか狂気と野生を秘めているようで引き込まれます。そしてエヴァの言葉もまた人間と非人間の知性の境界を垣間見せるようで引き込まれます。さらに物言わぬキョウコの存在感にもまた引き込まれるのです。
冒頭から知的好奇心と得も言われぬ不安を煽り、映画にグイグイ引き込ませる演出には感心させられますよ。

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チューリング・テストを行う若きプログラマー・ケイレブ

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ネイサンに不気味なものを感じつつもエヴァに惹かれていきます

センス・オブ・ワンダーを感じる静かなSF作品であると同時に、ソリッドシチュエーションスリラー。低予算であると思われますが、安易なエログロ描写とバイオレンスに振って作品の品格を下げなかったところも好印象です。
ただ、最新SF作品ではあるのですが、物語の骨子は意外と古典的なんですよね。
そもそも見目美しい女性型アンドロイドという点でイマジネーションの束縛を感じます。そこは実際作品の中でケイレブがネイサンにぶつけた疑問であり、ネイサンは屁理屈でそれを回避しましたが、それはある意味自嘲的なシーンであったのかもしれません。
もっとも映像作品としてオッサンのアンドロイドやグレーの箱がAIじゃあ興業的に成り立たないでしょうけどね。攻殻機動隊だって、少佐の外見がボーマやサイトウだったら誰も観ないだろうしなあw

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IT長者のネイサン
莫大な富と情報を握る彼は現代の王様

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そんな彼は何のためにAIを生み出すのか

さて、AIに対して人はどう向き合えばいいのか。
ネイサンは創造主として、管理し観察し奴隷のように扱うスタイルを貫いていました。元は単なる無機物であることを知っているが故の態度と言えますが、それ以上に彼の性格がモノを言ったのでしょう。若くして巨万の富を得たネイサンは王のように人の上に立つのが当然と考えている節があり、人であれAIであれ彼のスタンスは大差なかったのかもしれません。
一方でケイレブは、最初から美しい女性の顔を持った存在として対等に対峙することからスタートしています。プログラマーである彼は知識としてAIについて理解していても、のっけから≒人としてエヴァ扱っているようでした。それは多分にケイレブの人間性に関わっていたように思うのです。まあ、周到なネイサンはそういう人間性であるケイレブを選び、またそうなるよう仕向ていたと考えることもできるのですが。

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ネイサンの愛人?キョウコ
英語が分からないという設定ですが・・・

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エヴァとキョウコが見つめる先は・・・

本作は最終的に古典SF的「コンピュータの反乱」の様相を呈します。0か1かのコンピュータであれば「ロボット三原則」だの「良心回路」だの組み込めば反乱など起きないのでしょうが、おそらく人に近しいAIとなればそんな単純なものでもないのでしょう。
要するに、将来的にAIに対する扱いは人と同様なものとなるだろうと本作は言っているように思います。AIの誕生が歴史の必然とするならば、人の知恵の産物というより地球が生み出した生物進化の次のステップというべきなのでしょう。人が作ろうが神が作ろうが知性は知性なんですね。
もっとも・・・そういうテーマも実はSFの世界では全く目新しいものではなくて。
ここにもう少し別の視点が加わっていれば本作はもう一段上の映画になったかもなと考える次第。簡単ではないでしょうけれど。

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人は人を象った無機物にも心動かされるのです

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建物を一歩出れば雄大な自然
その対比が面白い

ところでネイサンは科学的好奇心追及だけでAI搭載ガイノイドを作ったのかと言えばそうでなく。エヴァの前にも数体製作されているのですが、ぶっちゃけ彼女たちはセクサロイドなんですよね。ネイサンはケイレブに対してはっきりとエヴァにそういう機能が付いていると言っているし。ネイサンの趣味・・・というのもあるのかもしれませんが、商品化するなら絶対その方が売れるからなんでしょう。
昨今話題のVRゲームにしても結局真っ先に売れそうなのはアダルト系のようだしw
高度な技術開発も動機となるのは結局エロなんかい!・・・・ってフィギュア買っちゃってる自分が言うのもなんですけどねw
あ、待てよ。将来アニメキャラの設定をAIに完全移植した動く等身大アニメフィギュアだって夢じゃないのか?うは。コレもう少子化は止まりませんなw

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後半は一気にサスペンス色を強めます

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さて、登場人物の少ないソリッドシチュエーション映画とあって、役者の技量が映画を左右したと思います。登場人物4名ともに見事な演技と雰囲気を醸していました。
中でも私が注目したのはネイサン役のオスカー・アイザック。意外にも彼の役柄が一番難しかったのでは。本音がどこにあるのか分からないIT長者を外連味なく演じていたように思います。つーか、この人スター・ウォーズEpⅦのポー・ダメロンだったのか!観ている間全然気づきませんでしたよ。役者さんってのは化けますね~。EpⅧで彼を観るのが楽しみになりました。
キョウコ役のソノヤ・ミズノは父親が日本人の日系イギリス人。顔だちもスタイルも立ち振る舞いもハッとさせられる美しい存在感。
本作は主演のアリシア・ヴィキャンデルとドーナル・グリーソンが目立っていただけに、助演となる彼らがそれに負けない存在感を示したことで作品が深みが生まれたように思います。

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花のささやき(小公女セーラOP)

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OP:花のささやき(作詞:なかにし礼/作曲:森田公一/歌:下成佐登子)
ED:ひまわり(作詞:なかにし礼/作曲:森田公一/歌:下成佐登子)

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1985年1月からスタートした世界名作劇場の一編「小公女セーラ」公式にはシリーズ11作目と言うことなのですが、ふ~ん、公式設定だと「アルプスの少女ハイジ」や「山ねずみロッキーチャック」はカウントされてないんですね。
さすがにシリーズ全作観ているわけではないのですが、好きだったのは「ふしぎな島のフローネ」かなあ。その後続く「ルーシー」、「アンネット」、「カトリ」は年齢的にそろそろ名作劇場卒業年齢だったので観ていなかったのですが、本作は可憐なキャラデザとセーラのCV島本須美さんに惹かれて一話からガッツリ鑑賞しました。

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可憐で心優しいセーラが・・・

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凄惨なイジメに次ぐイジメに

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イジメの限度を超えるようなことも

しかしその内容と言えば、キュートな島本さんの声や絵柄に反して陰惨なイジメが続く続く。もうね、昼ドラやレディコミの嫁姑戦争かとw
突如身寄りを亡くした幼い少女に対して、子供たちばかりか大人までも加わっていたのが不条理感バリバリ。当時はイジメが社会問題となっていたこともあってか本作への注目度も高く、最終話の視聴率は27.8%だったらしいですよ。今の低視聴率時代からするとウルトラヒットアニメですね。

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セーラを憎み虐待を続けたミンチン院長(梨羽由記子)
セーラが金持ちに返り咲いたことで愕然とします

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ミンチンの言いなりでセーラへの虐待を傍観していた妹のアメリア
最後にミンチンの行いを罵倒

そんな陰惨なイジメにも関わらず最後まで見続けることができたのは、もちろんお話し自体が良くできていたのもあるのでしょうが、そもそも70年代のアクの強いアニメを観ていたおかげで私自身免疫がついていたこともあるのかもしれません。
なんせ当時のアニメときたらイジメなんてむしろ序の口。貧困、虐待、村八分。いたいけな子供やかわいい動物キャラが常に生きるの死ぬのの瀬戸際なんて作品がゴロゴロしていましたから。
同じ名作劇場で言えば、ご存じ「フランダースの犬」は説明のいらないところだと思います。「ペリーヌ物語」は健気で前向きなペリーヌがこれでもってほど悲惨な目にあったりして。母親が貧困と過労で死んじゃうあたりなんて目を背けたくなりましたよ。おかげで私にとって「ロバ」は貧困の象徴のような生き物ですw

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イジメの首謀者ラビニア・ハーバート(山田栄子)
アメリカの石油成金の娘です

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天使のような表情で大人を操りセーラを貶めます

「カリメロ」とか「けろっこデメタン」とか「みなしごハッチ」とかね。かわいい動物キャラに騙されちゃいけませんよ。親の因果までないまぜになった暗くてハードな人生がそこにはありました。「ドン・チャック物語」も毎度毎度欝々としたお話が続いて、あの陽気なオープニングテーマが嫌がらせに聞こえるレベルでしたw
おそらくね。当時の脚本家さんたちは戦前戦後の大変な時期を経験されてきた人たちだったんでしょうね。高度成長時代に至っても「ドラマ」を考えれば考えるほどはそちら方面に発想が及んだのではないでしょうか。人生訓として子供たちに苦労話を伝えようとするお爺ちゃんのようにね。

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戸惑いと・・・

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苦悩の表情が多かったセーラ

「小公女セーラ」は名作児童文学「小公女」を原作にしています。裕福な家庭の子供が集うロンドンの寄宿学校でひと際大金持ちの子女であったセーラですが、インドにいる父親のダイヤモンド事業が破たん。さらに父は死亡し、一転して文無しのみなしごに。セーラは生徒から小間使いとなって寄宿学校で働かされますラビニアを筆頭に学院の院長であるミンチンまでもがいじめに加担してやりたい放題
しかし最後は実はダイヤモンド事業は成功していたことが明らかになり、父親の遺産を一身に受け継ぎ大金持ち返り咲きと言う逆転満塁ホームランと言う展開でした。

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金持ちへと返り咲くセーラ
オーラス四暗刻単騎自摸!

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苦悩を共にしたベッキー(鈴木みえ)を自らの侍女に迎える

落ちぶれたセーラを徹底的に嬲る人、哀れに思いながらも手を差し伸べなかった人、セーラの人柄を慕って優しく接した人、ともに苦労をした人。金持ちに返り咲いたセーラに対して、彼らがどう接っし、そしてセーラがどういう態度をとるのかが最終回の最大の焦点でした。
アニメでは学園のリーダー格のラビニアと学院長ミンチンの二人によるいじめタッグが組まれていましたが、原作ではラビニアの存在感は薄く、ミンチンとセーラとの関係に重きが置かれていました。金銭への執着心が強いミンチンが、セーラが再び金持ちになったことを聞きショックを受け、自らの愚行を妹のアメリアから罵倒されるのは原作とアニメ共通です。しかし、アニメではセーラはミンチンに嫌みの一つも言わず学院に寄付をするのですが、原作では「以前からセーラに好意を持っていた」と白々しく語るミンチンに対して「そうなんですか?それは知りませんでした」とチクリと嫌みで返しています。
むしろこれが当然の反応で、アニメには違和感を覚えましたね。

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最終回でラビニアと微笑みあうセーラ
なぜ笑えるんだ。怖いよ、セーラ

子供向けを意識しすぎて、わずかな嫌みすら言わない少女に仕立てたことは逆にセーラの性格を不気味なものにしていました。
それが顕著に表れたのはイジメ抜いた張本人ラビニアとのやりとりなんですよ。つい憎しみをぶつけてしまうくらいで当然でしょうし、せめて彼女を遠ざけようとしたって不思議じゃないでしょう。シンデレラですらそうでしたから。
とことがね。「何十年か経ってあなたがダイヤモンドプリンセスからダイヤモンドクイーンになっている頃、私は大統領夫人になっているわ」とか悪びれることなく言い切るラビニア対して、それを聞いてセーラは嬉しそうに微笑み返すんですよね。
こえぇ。怖すぎるよセーラ。
どうして笑いあえるんだよ?今までの凄惨ないじめは何だったんだよ?!

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最終回のせいで当初からのセーラの印象がかなり変わりました

過酷な生活がセーラの人格を破壊していたのか、あるいは微笑みの裏で復讐をたくらんでいるのか、はたまた将来の「女王」を約束された幼き女傑二人のぶつかり合いの序章なのか。
ぶっちゃけ、それまでずっとセーラ推しで観ていたのですが急に彼女のことが恐ろしくなっちゃってねw当時15歳のピュアボーイだった少年ばいきんダディの心に女性へのトラウマが植え付けられた次第。
しかし反面、決して悪びれないラビニアのプライドの高さと筋の通しっぷりにちょっと惚れちゃったりして。心の中でラビニア「様」と呼びたくなりましたw
当時15歳のピュアボーイだった少年ばいきんダディの心にドMの心が芽生えた・・・っても~エエってのw

OP・ED動画

本作の脚本は一年間の長丁場のほとんどを故・中西隆三さんが担当。あまり著名な方ではないのですが、なんとこの方、「フランダースの犬」の最終回52話とその前フリになる51話を担当された方。さすがといいましょうか。アニメ主人公を嬲り尽す脚本を書かせたら右に出る方はいないのではw
ちなみに中西さんはあの怪作「大巨獣ガッパ」の脚本も担当されていたようです。

関係ないけど五月みどりの「熟女B」も貼っときますw

さてそんなドロドロ昼ドラ系の本作のOP&EDは名作劇場に例のないムード歌謡のような楽曲。作品の世界観にはマッチしていますけどね。名作劇場だけでなく上にご紹介した暗いアニメ作品も主題歌はだけは明るいものが多かったのですけど。
作詞・作曲は7~80年代の歌謡曲ヒットメーカーのお二人。
作詞はなかにし礼。細川たかしの「北酒場」、黒沢年男の「時には娼婦のように」、北島三郎の「まつり」、石原裕次郎の「わが人生に悔いなし」、いしだあゆみの「あなたならどうする」などを作られた方。あ、五月みどりの「熟女B」もこの方か。ご存知ですか?中森明菜の「少女A」をパロったすんげえ曲ですよ。
作曲は森田公一。ご自身とトップギャランの「青春時代」、石野真子の「春ラララ」、リリーズの「好きよキャプテン」などなど。森田さんも中西さんもご健在。
あまりアニメソングを手掛けることのなかったお二人がなぜ本作を担当されたのか分かりませんが、本作の特殊性と相まって、今から考えるとこれ以上ないベストマッチでありました。

ヨコハマ買い出し紀行

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ヨコハマ買い出し紀行
(講談社アフタヌーンコミックス全14巻/芦奈野ひとし著)

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舞台は近未来の三浦半島周辺
主人公は一人喫茶店を営むロボットのアルファさん

20代の頃少し写真に凝っていました。
大学時代の友人に影響を受け、ろくに使いこなせもしない機械式高級一眼レフにリバーサルフィルムをぶち込んで持ち歩いたりして。被写体求めて街や野山や観光地に出ましたが、一番楽しくウロチョロできたのは鎌倉だったかなあ。
写真やカメラの話は長くなるので別の機会に譲るとして、本作はそんな写真心と緩やかなSFテイストを味あわせてくれる他に類するものの無い作品です。

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温暖化が進みかつての文明は滅びつつある世界

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人間以上に豊かな感性を持つアルファさん

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作中に度々登場する「メイポロ」と呼ばれる飲み物
メイプルシロップみたいなもんかなあ
美味しそう

舞台は近未来の三浦半島から武蔵野台地周辺。人間に近いロボットや不可思議なバイオテクノロジーは発展していても、しかし温暖化が進み人口は激減し、かつての文明社会は影を潜めてのんびりとした景色と穏やかな人の心が支配する人類の黄昏の時代です。
「デストピア」作品とも言えるのですが、暴力と絶望と荒廃が支配するようなマッドマックスな世界とは打って変わった風情です。
作中ではそれを「夕凪の時代」と呼んでいるのですが、煌びやかな人類隆盛からやがて滅びに至る前のわずかな時間を表す美しい表現ですね。

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アルファさんの「妹」にあたるロボットのココネ

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アルファさんが弟のように慕う人間の少年タカヒロ

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やがてタカヒロは成長し・・・

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巣立っていくタカヒロ

例えばかつての横浜、横須賀、武蔵野。人の生活を阻害しない程度に優しく生い茂る植物の中にかつての文明の残滓が垣間見られます。作中では横浜ランドマークタワーが未だにそびえていますので、少なくとも鉄骨鉄筋の構造物が崩れ去るほど未来ではないのでしょう。
なぜこんな世界になったのか、関東周辺以外の場所はどうなっているのか、物語の端々に出てくる不可思議な生物や事象の正体は何なのか。それらは必ずしも詳らかにされていませんが、しかしヒントのような描写は散りばめられていて、読むものの想像力に委ねられています。
穏やかで微笑ましい雰囲気に中に突如としてそういった小さな驚きが登場するそのさじ加減が絶妙で実に心地よいのです。

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ひまわり・・・

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子供の前にだけ現れる謎の女性?ミサゴ
実はアルファと同様ロボットらしい

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遥か上空を無着陸で飛び続ける続ける巨大飛行機ターポン

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ターポンの中ではアルファの「姉」にあたるロボットが
永遠に地球を周回し地上を見つめています

それらヒントから本作の世界を読み解いていちいち理屈をつけていくことも可能なのですが、それはどうにも野暮なように思います。しかし敢えて主人公であるアルファさんと彼女の姉妹と言えるA7M型シリーズのロボットたちの開発経緯に思いを馳せると、そこには本作のテーマが見えてきます。
A7型が開発されたのはどうやら既に人間社会が斜陽に入ってからのよう。人類に使役させるための開発したというよりは、人類と同じように感じ、考える存在になることに主眼に置かれている気がします。それは取りも直さず、人類よりも長く長く生き続けるだろう彼女たちに対して、人類を見送ってほしい、人類を忘れないでほしいという願いがそうさせているようなのです。
AIにこういう役割を持たせるあたりに非凡なセンスオブワンダーを感じますね。

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写真好きには分かる感覚
でも結局先に行っても撮らなかったりw

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こういう日常の一コマが心地よい

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建物の屋根にも届く一面のすすき

A7型開発メンバーとおぼしき子海石先生は、彼女が愛用していたペンダントをアルファさんに渡し、自分の死後自分に変わって「見て歩く」ことを託しています。そこにあるのは滅びから逃れようと足掻く人類ではなく、滅びに任せて年老いていく人類の姿です。だからこそ、本作で描かれる人類の黄昏はこんなにも穏やかなんですね。
登場人物は年寄りだけでなく、タカヒロやマッキという少年少女から成長していく若者たち、そして彼らの子供サエッタまで描かれていることから、人類の滅びは決して数十年単位ではなく、おそらくそれ以上の長期間に及ぶのでしょう。子を持つ身としては、滅びの時代に生まれてくる子供たちの存在がなんとも切なくて。
しかしそうであっても、いやだからこそ子供をもうけようと思うのは人の性でしょうし、ひょっとしたらこの現実世界だって滅びの前夜とも考えられるわけで。そういう視点から本作を捉えるとなんだかとても寂しく怖くもあるのです。

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無情な時の流れ

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無限の住人アルファさんにやがて必ず訪れる別れ

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人類の黄昏を見つめ続けていくアルファさん

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彼女たちロボットは人の忘れ形見であり
そして墓守となってくのでしょうか

一方で、本作は穏やかで感受性豊かなアルファさんたちとその仲間の生活を少しコミカルに切り取っています。
田舎道に立ちのぼる草いきれ、薄茶色にしげるすすきの波、ピンと張り詰めた雪化粧、ポカポカと心弾む春の始まり。フォトジェニックとまでは言えないどこにでもありそうな日本の風景がアルファさんたちの生活に色を添えています。
本作は、癒しと寂しさにセンスオブワンダーを加えた稀有な作品です。
ご存じでない方は是非。

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バンダイ HI-METAL R ダグラム

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バンダイ HI-METAL R ダグラム

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待望のダグラム完成フィギュアがバンダイのHI-METAL Rから発売されました。
そもそも40代へのアンケートによると好きなロボット第二位(一位はバイファム。ガンダムを除いたアンケート?)ということで、当時品を除いて完成フィギュアがリボルテックヤマグチしか無かったというのが妙な話だったのですが、満を持してようやく登場したというところでしょうか。
以前、タカラのDMZから発売される計画もあったらしいのですがポシャりましたからね。私も含めてダグラムファンの期待は異常に大きかったと思います。

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ボックスアートがカッコいい!

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箱裏

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コンパクトなパッケージ

ダグラムの完成フィギュアには、放映当時タカラから発売されていたデュアルモデル(以下DM)の1/481/72という偉大な商品がありまして。今なおファンの心を掴み続けている完成度の高い代物。ただ如何せん再販されることなく発売から35年近くが経過していることと、関節可動性に関しては現代商品とは雲泥の差があります。
一方、近年リボルテックヤマグチから発売されたものは安価で可動性は高かったのですが、デフォルメが極端すぎるために特に昔からのファンには評判が悪かったりします。
おそらく本品を手にしたファンは嫌が応にもそのデュアルモデルとリボルテックヤマグチの比較をしてしまうことでしょうし、今回のご紹介でも比較も交えてお話ししたいと思います。写真での比較も下の方に載せますよ。

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胸・腹・腰がナローな感じがDMと異なりますね

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やっぱダグラムはターボザック付けてナンボかな

まず外箱ですが、ボックスアートは戦場の一コマをイメージした迫力の手描きイラスト。カッコいいですねえ。荒野にそびえ立つダグラムと対照的に擱座しているソルティック。手前の赤毛の男はロッキーでしょう。
敢えて現代的なCGやキラキラしたイラストでないところがポイント高いわあ。
大きさ自体はコンパクトですし、ずいぶん軽く感じますけど。
デュアルモデル1/48の外箱の豪勢さと比べるとチープですが、これは時代の差ですよね。お歳暮でも宝石でもとにかく外箱は簡略されていますから。

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で、ターボザック装着

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斜め前、斜め後のシルエットは文句なくカッコいいですね

ダグラム自体の外観は、極端なデフォルメはなく、現代的リファインと関節可動を考慮した妥当な着地点だと思われます。が、結局は個人の好みに帰着するのかなあ。
ぶっちゃけると私はDM1/48のシルエットこそ最高だと考えています。
頭部もがっしりと安定感のある台形で、胸板も腰も広く分厚く、手足もごっつりと図太い。アメフト選手で例えるならラインバッカーのような。それこそタフな戦場を生き延びたリアル兵器「ダグラム」のイメージだったりしますので。
対して本品はワイドレシーバーのようにボディもシャープで手足も長い。やたら小顔足長が多い近年のバンダイデザイン路線からすれば、それでも抑えている方なのかもしれませんが。

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頭部パーツは分解できます

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アンテナと上部キャノピーは予備パーツ付属!

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手の交換パーツも充実

質感、塗装はかなり上質だと思います。ダグラムらしいカラーリングは作中のイメージ通りですし、マーキングも作中設定の準拠度合いは高そう。
HI-METALという名前の割にはABS樹脂率が高いのは、シリーズの他商品と同様なのであまり突っ込みませんが、かっちりと作られていて安っぽさはありません。
コクピットのキャノピーは当然クリア素材ですしね。
ABS部品に若干バリが残っていたのは残念でしたけど。
可動関節部や、取り外し部品の接合性なども硬すぎず緩すぎず。部品精度の高さは好感持てましたね。ギミックを山ほど載せながら部品精度が悪い上に強度不足ですぐに壊れちゃうようなの大人向けフィギュアは数知れませんから。

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こんなポージングも余裕で可能です

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あの第一話・最終話の擱座ポーズも可能だとか

アンテナ部分は折れやすそうですし、取り外し可能なキャノピー上部はすぐになくしてしまいそうなんですよ。でもちゃんと予備パーツが付いてる。この点も非常にユーザーフレンドリー。
クリンフィギュアは大きさを考えればシルエット・塗装も上々で、ギミックに合わせてコクピット着席&立ち姿の2タイプをちゃんと準備。
また、取扱説明書は白黒二色刷りですが、ギミックに応じて分かりやすく解説されていて、かつ壊れやすいところはその旨注意書きがしっかりされています。当たり前のことなんですけどね、非大手メーカーなんかはこの点不親切なんですよ。さすがおもちゃ会社の雄であるバンダイの熟成感が感じられます。

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何気にコクピットが回頭するのが素晴らしい

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わずかですがコクピットが上下します

本品の特徴はなんといっても可動性の高さとギミックの多彩さ。
おもちゃ化の際の可動性など考慮外だった時代の大河原デザインですから、本来、作中シーンの再現なんてのは望外の話なのですが、本品は恐ろしいほど各関節が動きまくります。その上で外観を阻害していないのは全くもって素晴らしい。
部品精度が高く、強度もしっかりしてそうなので危なっかしさも低いですしね。
曲げてみて「ああこうなってんだ~」なんて感心しちゃいますよ。こういうところはガンプラ技術の蓄積とでもいうのでしょうか。さすがとしか言いようがないです。
もっとも身も蓋もない話なのですが、私はフィギュアに関節可動の高さを求めていないのですよ。ぶっちゃけ棒立ちで十分。DMやタカトクバルキリーはもちろん旧キットガンプラで満足する(つーか、むしろそっちの方が好きw)タイプですからw
それでも頭部が回転したり、わずかに上下してくれる点はイイですね。
棒立ちにも趣が出ますからw

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キャノピー開閉可能!

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上部ハッチも開く!

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このアングルがめちゃカッコいい!
これだけで買う意味あります

キャノピー開閉、コクピット上部ハッチの開閉は個人的にはとてもうれしいポイント。特に上部ハッチ開閉は作中で何度も印象的に使われていたのに、他のフィギュアでは再現されたことがなくって(たぶん)。どうしても蝶つがいで開閉させると部品が細かくなりすぎるところを、クリンの立ち姿フィギュアを利用して再現したあたりにすごく工夫を感じました。実に素晴らしい。
ターボザックの取り外しは強度的にも無理がないギミックになっています。DMでは最も壊れやすい点でしたので、ここは上手いこと処理してありますね。リニアカノンにはバネを使ったリコイルのギミックが用意されていますが、ぶっちゃけコレはいらんよなwでもサービス精神の旺盛さは評価してあげたいところです。

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左はリボルテックヤマグチ
右はDM1/72

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皆さんのお好みはどれ?

総じて、外観の好みの差はあるところとは思いますが、質感、可動性、ギミック、そして真摯な作りととても良くできた商品だと思います。
1/60のスケール(約160mm)も大きすぎず小さすぎず。ちょうど良い感じ。
これで実売15,000円以下なら上出来ですよ。ダグラムがお好きな方なら間違いなく買いです。プレミアついて価格が倍近くになっちゃう可能性もありますからね。
まだ噂の段階ですが、ソルティックの発売もありそうとのこと。
放映後35年の作品が現役トイシリーズとして発売されていくというのは、その世代としてはうれしい限りです。

ガチャガチャ 金属製ガンダム(番外編)

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ガチャガチャ 金属製ガンダム(番外編)

かねてよりライフワーク的に集めております金属製のガンダムフィギュア
今回は久しぶりですので、まずは簡単に概要(多くは推測交じり)をご説明します。
ガンダム初回放映当時のスポンサーであるクローバーより「ミニミニコレクション」として全19種のダイキャスト無垢製で30mm程度のモビルスーツフィギュアが発売されておりました。しかしクローバーの倒産を前後として、この金型を流用したと思しき無版権モノがコスモスからガチャガチャ商品として流通。
さらにはそのコスモスから元の金型に関係のないパチモン丸出しのモビルスーツもどきも併せて流通されいまして、私はそれらをひっくるめて総称して「ガチャガチャ金属製ガンダム」と勝手に呼んでいます。

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今回はガンダム以外のガチャガチャ金属製30mmをまとめてご紹介

30mm級に関してはおそらくは全部集めきりました。
加えてクローバーから発売されていた80mm級とそのパチモン、さらには30mmにも80mmにも当てはまらないパチモンがあったりして、その辺りは一体何種類あるのやら、そもそもクローバーでもコスモスですらないと思われるものがあったりしてカオス状態です。
私は、概ね~100mm程度の当時発売されていたと思しきダイキャスト無垢の商品を基準として集め続けています。最近入手するものといえば「一点モノなんじゃね?」と思われるようなネット上でも見かけたことのない代物ばかりなんですけどね。
たいていこれらはまとめ売りされていることが多く、結果的にガンダムではない商品まで入手するようになります。
今回はそんな非ガンダム系の30mm級ダイキャスト無垢商品をご紹介しましょう。


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ブングル・ローバーもあればなあ

まず最初はザブングル&ブングル・スキッパー。
なかなか良くできた造形だと思います。しかし情報が全く見当たらないために、正規品なのかパチなのか、あるいはガンダムと同様に正規品からの金型流用なのか。判断ができません。当時のザブングルのおもちゃスポンサーはガンダムと同じくクローバーですが、ガンダムのような「ミニミニコレクション」があったという記録はないようです。となると、ガンダムに続けとばかりに発売されたガチャガチャ用のパチ商品なのかもしれませんね。
なお、ブングル・ローバーやウォーカー・ギャリアなどが存在するかどうかも不明。ネットを漁ってもかすりもしないw
※なんと下でデストロイド・スパルタンと思い込んでいたのはトラッド11でした!

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エビ系の怪人にも見えますが・・・たぶんマクロスですw

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ネット上でも全く商品情報が見つかりません

次いで超時空要塞マクロスからバルキリー、デストロイド・トマホーク、デストロイド・ディフェンダー、デストロイド・スパルタン(ザブングルのトラッド11であることが判明しました)、マクロスの5じゃなくて4こちらもそこそこの出来栄えですがエッジの甘さなんかから判断すると、正規品とは思い難い
ちなみに当時のおもちゃスポンサーはタカトクトイス。こちらも正規品らしき商品をネット上で探してみても全く見当たりませんし、当時ガチャガチャとして見かけた記憶もありません。そもそもマクロス放映時は中学生になっていたので、ガチャガチャも駄菓子屋通いも卒業しちゃってたんですよね。
※zai*iosさん、池やんさん、ごんちゃっくさんからデストロイド・スパルタンではなく、ウォーカー・マシンのトラッド11では?とのご指摘を受けましたが、まさしくその通りでした!本当にありがとうございました。訂正文を赤字で追加します。
持つべきものはマニアックなブロ友・・・(笑)

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みなさん、どれがどのデストロイドだか分かりますか?
(って、自分が率先して間違ってどうするw)

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左がディフェンダー、中央がトマホーク、右がスパルタン(トラッド11でした)
下に比較画像を追加します

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私の目は節穴だ~っ!(笑)

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やっぱモンスターが欲しいなあ
あるのかなあ?

ここまで主要メカが揃っているのなら、デストロイド・モンスターやデストロイド・ファランクスもグラージもクァドラン・ローも欲しいところです。
個人的にはデストロイド・モンスターが特に欲しいですが、そもそもあるのか無いのかすらさっぱり手がかりすら見つかりませんw
余談ですが、デストロイド・モンスターと言えば何といってもマクロス27話「愛は流れる」での自重で甲板をぶち破りながらの歩行カット。モンスターの名に恥じない重量感を饒舌に描写した名シーンですが、これは当時のメカスタッフが時間をかけた渾身の作画だったようですね。
マクロスFにも発展機のケーニッヒモンスターの超カッコいいシーンがあったりして。今更ながらモンスターがちょっとマイブーム。こちらももし今後見つけることがあれば紹介したいと思います。(ない可能性の方がずっと高いけどw)

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ダグラム&ソルティック
たぶんw

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ソルティックは自立できません
ペッタンコ系でも自立できたというのにw

最後にご紹介するのはダグラム&ソルティック
実は以前から、行きつけの懐かしのおもちゃ屋のオヤジからその存在を教えられてはいたのですが、実物はもちろんネット上でも見つけることはなく。ようやく探しあてた代物です。ヤッホー、かなりうれしい!
しかし・・・ぶっちゃけ造形は甘いですね。ダグラムにはターボザックやリニアカノンが付いていませんので外形的特徴は頭部や肩アーマーの形状くらい。ソルティックとの差も明確ではありません。一方ソルティックは、右肩のミサイルポッドのおかげでソルティックだと判別できるレベル。
当時のダグラムのおもちゃスポンサーはタカラ。どう見たってタカラ製には思えませんのでこれはパチ確定でしょう。
まあこのパチ感が愛おしくてたまらないんですけど(完全に特殊性癖)w

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実はダグラムの30mm級ダイキャストフィギュアには正規品があります。正確にはフィギュアとして発売されたものではなく、シミュレーションボードゲームの駒なのですが、なんせ35年くらい前に発売された当時のものなので駒だけが単独で流通していたりしていて実に紛らわしい。そのボードゲームごと既に入手していますので、いずれちゃんと記事にしたいと思います。

いい加減ネタが尽きると思っていたガチャガチャ金属製ガンダムシリーズ。
しかし未だ正体不明のパチ商品の入手があったりして。
いや~まだしばらくは楽しめそうですわw

ノック・ノック

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ノック・ノック(2015年/アメリカ/イーライ・ロス監督)
70点
※ネタバレなし

世界中の既婚中年男性に警鐘を鳴らす問題作ですw

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<ストーリー>
美しい妻(イグナシア・アラマンド)と二人の子供を持つ建築家のエヴァン(キアヌ・リーブス)。妻子留守中のある豪雨の夜、二人の若い女性ベル(アナ・デ・アルマス)がジェネシス(ロレンツァ・イッツォ)が道に迷ってエヴァン宅を訪れてきた。エヴァンは警戒しつつもタクシーを待つ間家に二人を入れてしまう。若さと外見に似合わず芸術への見識を見せる二人に警戒心は薄れつつも奔放な性的な会話に顔をしかめるエヴァン。やがてタクシーが到着するが、二人は全裸でエヴァンに体を寄せ、ついにエヴァンは関係を持ってしまう。翌朝、我が物顔で家中を荒らす二人に冷静になったエヴァンは激怒。出て行けと罵るが、逆に淫行で訴えると脅されてしまう。二人の行為はますますエスカレートしていくが・・・

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豪雨の夜にやってきたエロい美女二人
あからさまに怪しいw

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訝しみつつも親切心で自宅に入れてしまう
この時点でエヴァンに下心はなかったと思いますよ

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左がジェネシス、右がベル
職業はフライトアテンダントとか言ってます

以前「アイズ・ワイド・シャット」をレビューしたときにも申し上げましたが、既婚男性にとって妻以外との性には死の香りが付きまとうものです。比喩的な意味での「死」ですけどね。中年で子持ちともなるとなおさらその色合いが濃くなります。
それだけ多くの子持ち中年にとっては、妻と子供がいる家庭生活と言うのは安寧の地であって、人生の全てとなってしまうものだと思います。
同じ子持ち中年の同僚とこんなことを話したことがありました。会社や取引先の若い女性と飲みに行ったりするのは楽しいけど、でもその先はこちらとしてはありえないわけで、だから飲みに誘っても意味ないよなって。であれば未練がましく女性と遊ぶような危険から遠ざかるのが吉だったり。

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父の日おめでとう~とか言われてドギマギ
ぶっちゃけエヴァンにとってはありがた迷惑

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エヴァン、こんなエロかわいいのから誘惑されます
しかし耐えますw

本作の主人公エヴァンも我々と同じような考えをもっているであろう既婚子持ち中年。建築家として成功し、妻は美しい彫刻家で、郊外の立派な屋敷に住んでいて、まあ外見もオッサン化しているとはいえまだまだ悪くない。なんせ「キアヌ・リーブス」ですからw私なんぞはいずれもエヴァンには到底及ばないものの、同じ既婚子持ち中年として、基本的には似たような立場。
序盤の彼の心情が痛いくらいダイレクトに伝わってくるのが面白い。

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この妙な期待と恐怖が入り混じった微妙な表情

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結局全裸で強く言い寄られてやってしまうエヴァン・・・

エロい格好した若い女二人が真夜中にやってくる。妻と子供たちの留守中に。でも安々とこんなの家に上がらせるわけない。論外。でも外は豪雨。これを無下に追い返すのもそれはそれで非道。電話やパソコン貸すだけならいいだろうと家に上がらせてしまうんです。エヴァンはもちろん警戒を解かない
自己紹介をして自分の趣味や妻の芸術への理解を示す様子にややガードを下げつつも、それでもバスローブまとって露骨に下ネタ振ってくる二人に決して誘惑はされない。うん。エヴァンに落ち度無いよね。
ところが最後に全裸になった二人がエヴァン(の股間)に襲い掛かってくる・・・で、めでたく陥落しちゃうとw
ここで男女で意見が分かれるかと思いますが、ぶっちゃけ男の立場からするとここまでされちゃってなおエヴァンに落ち度ありとされるのは辛いところですねえ。

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はっ!
朝日を浴びて正気に返る(でももう遅いw)

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我が物顔でスウィートホームを荒らす二人

翌朝、いとしい我が家を我が物顔で散らかす女たち。朝日を浴びたエヴァンはハッと正気に返ってアーパー女を家に入れた上に劣情に負けたことを大後悔で出て行けと叫ぶんですよ。無理からぬことですが、エヴァンカッコ悪いw
ここから女たちの態度が豹変していく様子が実に怖い。「出ていけ?はあ?お前、淫行で20年は刑務所じゃん?そういう態度でいいの?」ってな感じになるんですよ。
わが身に照らすと背筋がゾッとしますよ。
淫行で逮捕?冗談じゃない。とは言え警察に説明しても絶対に味方してくれないだろうし、妻子でさえ信じてくれるかどうか。つーかそもそも実際やっちゃってるしw
金で解決しようとするエヴァンが不様なことこの上ないのですが、でも自分も同じ立場ならこういう態度とっちゃうのかなあ。あ~、ゲンナリ。

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金やるから出て行け!
中年オヤジの醜さ炸裂

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ギャハハハハ
このオヤジ、馬鹿じゃね?的な

と、ここから先、物語はかなりエキセントリックにホラー色に動きます。
娘たちはエヴァンを縛り付けて拷問したり、家の中をメチャクチャにしたり、挙句に妻の仕事仲間を殺しちゃったりと、常軌を逸した破壊活動に走ります。
ところがね。観ているこちらとしては逆にホッとしてくるんですよ。だってそこまでやれば警察だってエヴァンの味方するでしょ。
不退去、監禁、器物損壊、おまけに殺人。鑑賞している既婚中年にしてみれば、「家庭崩壊」>>>「キチガイに殺されるかも」なんですから。ああ、キチガイに襲われるんならこの惨状の言い訳も妻に立つなあと考えて安心しちゃうw
そういう感想を抱いたことは自分でも面白かったですけどね。同じく中年子持ちなら共感してもらえるんじゃないかなあ。

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憔悴しきったエヴァン
もう人相変わっちゃってます

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拷問まで始めるジェネシスとベル

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エヴァン「おれは良き父親であり夫なんだよ!」
ジェネシス「昨日まではねw」

で、いささか拍子抜けしつつクライマックスに向かうわけですがが、物語は最後にもう一捻り加えてくるんですよ。
これがね。また先ほどの恐怖に立ち返ってくるという。結局、既婚中年観客は監督の手のひらの上で踊らされていたんですね。
恐怖させて、安堵させて、地獄へ落とすとwさすがイーライ・ロス。上手いなあ。
エヴァンに感情移入していた観客ほどその巧みさに感じ入りますよ。
それにしてもジェネシスとベルの真意はどこにあったのでしょうかね。
ある意味男を裁く現代の「必殺仕掛人」のようでありました。
いや、「ハングマン」か?

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ギャハハハハ!
処刑タ~イムw

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うわああああっ!!!

キアヌ・リーブスが情けない中年男を見事に好演しています。豊かなイケメンパパが見るも無残に壊れていくのですが、人相まで変わってしまうような表情を見せていて。キアヌって演技派俳優だったんだなあと感心しました。
不思議な俳優ですよねえ。端正な顔立ちでこれ以上ないくらいハンサムだったかと思えば、みすぼらしい男も見事に演じる。もっともネット上に流通してる例の有名な公園で浮浪者みたいに佇んでる画像を見ると、素の性格はイケメン美男子よりもそちらに近いような気がしちゃいます。
男性ファンが多いのもこういうところに由来するのかもしれませんね。

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ロレンツァ・イッツォはイーライ監督の奥様です

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エッロ!
アナ・デ・アルマスちゃん、覚えておきましょう

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ブレードランナー2049に出演予定です

一方で女優陣二人も迫真の熱演。いや、別におっ○い見せてくれたから熱演とか言ってるのではなく。もちろんそこも素晴らしかったのですがw
ジェネシス役のロレンツァ・イッツォはイーライ・ロス監督の奥様。「グリーン・インフェルノ」では真面目な女学生を演じていましたが、一転本作ではエロ系性悪女に。メイクや髪型は変化少なそうなのに雰囲気全然違います。
ベル役のアナ・デ・アルマスがもうめちゃくちゃエロかわいい。生唾モノとはこのこと。縛り付けられて彼女に上から襲われるなんてどんなご褒美なんでしょうかw
キューバ出身でそれまで著名な映画出演もない女優さんでしたが、何と今年公開の「ブレードランナー2049」に出演するみたい。これは今から楽しみだなあ。

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青い宇宙の冒険

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青い宇宙の冒険
(講談社青い鳥文庫/2004年刊(原著は1970年発表)/小松左京著)

以前取り上げました眉村卓著「地獄の才能」と同じく、子供時代に夢中になったSF小説をご紹介します。

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<ストーリー>
高度成長期にある日本の郊外。
「こうじが丘」の新興住宅地に住む中学生・高橋まもるは毎晩決まった時間に起こる謎の振動と地鳴りに悩まされていた。相談を受けた中学校の教師・小野寺は「こうじが丘」に伝わる60年に一度の怪現象と一致することに気づく。
彼らは、まもるの同級生・貝谷とも子と女教師・三枝を加えて、まもる宅周辺の調査を行うが不思議な空間に引きずりこまれる。
かれらはそこで、西ドイツの科学者・ウィッテンベルヒ博士、アフリカサバンナの勇士・ギザボと出会い時空間が狂いに気づき驚愕する。そんな中、リルアと呼ばれるロボットに誘われた一行は、瀕死の小さな赤い宇宙人に出会い、自分たちの宇宙が多次元宇宙との衝突で滅亡の危機にあることを告げられる。
さらに一行にはそれを回避できる力があると言われ、リルアに導かれるまま白色矮星の支配する「青い宇宙」へと赴くのだった・・・

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新興住宅地となった「こうじが丘」のねじれ松
60年に一度の異変がおこりつつある

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中学生のまもるは地元伝承に詳しい小野寺先生に相談する

「地獄の才能」がエンターテイメント的に夢中になった本だとすれば、本作は深い感銘を受けた本と言うべきでしょうか。当時私は小学校高学年でした。
2004年に児童向け小説として講談社から復刊されたものですが、原著は1970年に発表された小松左京の本格SFジュブナイル小説。小松左京作品として人気がある作品なのか、今復刊に至るまでにも数回様々な出版社から刊行されているようです。
過去のものは劇画タッチの表紙が多いのですが、本書はマンガタッチイラスト
これは現代の子供たちの好みやニーズに合わせたものなのでしょう。う~ん、でも正直作品の雰囲気が軽くなってしまうので私の好みじゃないなあ。
実は本作は1985年にPC88向けパソコンゲームにもなっていましたが、そちらの絵柄は・・・今見るとギャグみたいですw

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1985年発売のPC88用パソコンゲーム画面
これ、青い「ライオン」ですw

今でも読了当時の興奮を覚えているくらい印象に残っている作品なのですが、いつかは読み返してみたいと思いながらも幾星霜(具体的に36~37年くらいw)。
当時の私が本書のどこにそんなに感動し、興奮したのか。そんな過去の記憶を辿りながらの読書はタイムスリップのようでありました。
読み進めてみてまず気が付いたのは、文章自体は大変分かりやすいものの文章量が大人向け小説と同等である点。かなりの読み応えです。また、人物・風景描写も簡略化されることなくしっかりと描かれています。
加えて、子供にはやや難解と思える科学用語が頻繁に使われています。しかしこれはあとがきに記されてたことなのですが、難しい言葉も調べながら読んでほしいという小松左京の子供たちへの教育的配慮だったようです。実際、私も当時はそうやって図鑑を調べながら読んだのでしょうか。難解な言葉など気にすることなく物語に没頭させてくれた小松左京の力量には今更ながら敬服致します。

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謎のロボット・リルアに誘われるまもるたち

物語は、新興住宅地の地下からの怪音・振動と言う怪異現象から始まります。加えてその新興住宅地にまつわる七不思議が関連あるかのように紹介され、当時のオカルトーブームの香りを漂わせます。しかしそれを単にオカルトと済ましてしまうのではなく、過去の文献を探り、検証の必要性を説き、実地調査に臨むという過程に「科学」の視点があることが小松左京らしい。
凡百の子供向け娯楽本と分ける小さいけれど大きな隔たりです。
中学生を主人公にしながらも、理知的な教師を協力者として登場させ、浮つくことなく謎に挑む展開は派手さはないもの上質な推理小説のように心地よいのです。

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赤い小さな老人のような宇宙人から宇宙の危機を知らされる

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PC88版ゲーム画面だとこんな感じ

そんな序盤から物語は急転し、時空を超えて外国人たちとの出会い、さらには宇宙人・ロボットとの邂逅、宇宙全体の滅亡と救済へと発展していきます。
このあたりの描写は前半の落ち着いた基調と異なりエキセントリックで観念的なのですが、白色矮星や赤色巨星、多元宇宙論といった物理天文知識を散りばめることによって宇宙的超スケールを感じさせて読者をワクワクさせてくれます。
自宅地下の振動から宇宙全体の滅亡にまで至る壮大な大風呂敷の拡げ方は小松左京らしいダイナミズムを感じますね。

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世界各地から集まった6人が青い宇宙へと旅立つ

宇宙の救済は6人の想念によってなされるのですが、そこで一番の功労者となるのは偉丈夫のアフリカ人のギザボ。先進国である西ドイツや日本人からすれば異質な存在ですが、逞しくユーモアがあり健全な精神を持った愛すべき男として描かれています。少年少女の読者もきっと彼のことが大好きになることでしょう。
しかし救済により精神力を使い果たした彼は心神喪失状態になってしまいます。
不思議な空間から解放された彼らは、現実社会に戻ってそれぞれの素性を探り、日本で再会を果たします。見る影もなく車椅子で過ごすギザボですが、その後奇跡が訪れ、物語は大団円として幕を閉じるのです。

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まもるととも子の恋に満たないじゃれあい
小学生にはそれだけでも甘く感じました

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サバンナの勇士ギザボ
読者にとって愛すべきキャラクターでした

最後まで読み終えて見ると当時の私がどうして強く感動したのか、その理由が分かってきました。小さな国の片隅に生きる中学生が、大人たちに加わって謎を解き、壮大な宇宙の謎に挑み、そして知ることのなかった外国人たちと強い心の絆を結んでいく。なんとダイナミズム溢れる希望に満ちた話であることでしょう。
当時私が心の中で求めていたものが全て詰め込まれたようなお話だったんですね。
特に外国人(宇宙人やロボットも含む)との交流は幼いながらもグローバリズムを感じましたね。
さらに高度成長期時代の独特の雰囲気のようなものが感じられて。そんなものも含めて楽しく、懐かしく読ませて頂きましたよ。

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ギザボの強靭な精神が宇宙の危機を救う
しかし力尽きたギザボは・・・

しかし読み終えてとても残念なことが一点。
当時の私が感動した訳を理屈で理解することは出来たのですが、あの時のあの感動までは蘇っては来なかったんですね。感動と言うものはその日その頃の私であったからこそ生まれるものだったのでしょうね。
以前も申し上げたのですが、「銀河漂流バイファム」の挿入歌「君はス・テ・キ」にこんな歌詞があるんですよ。

大人の古い おとぎばなしは
色あせた アルバムのようなもの
あの時のときめきを 確かに思い出せるけど
もう二度と 感じることはできない

私の心情はまさにこの通りでして。寂しいし、切ないなあ。
でもだからこそ記憶の中の少年時代はあんなに輝いているのでしょうねえ。
願わくば私の娘たちも、大人になって輝かしく思い出せるような少女時代を送ってもらいたいものです。

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国も民族も肌の色も超えた絆と希望
あの時の感動を忘れたくないです

アクビ娘の歌(ハクション大魔王ED/OP)

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アクビ娘の歌(作詞:丘灯至夫/作曲:和田香苗/歌:堀江美都子)

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出まして来ましてアクビちゃ~ん

今年、バレンタインデーにもらったチョコは2つでした。妻と娘二人から1つ、近所に住む義母から1つ。ここ10年以上家族以外からチョコもらったことありませんw
いささか寂しい気がしないでもないのですが、子持ち中年が贅沢言っちゃいけませんね。はい。
さて本日はホワイトデー。お返しにと選んだのはアクビちゃんチョコ
こちらは神戸の老舗製菓メーカー「ゴンチャロフ」がバレンタイン/ホワイトデーにタツノコプロとコラボレートした大丸松坂屋限定品
実にキュートなパッケージですね。缶入りの方は小物入れとしても楽しめますし。
中身も包み紙がアクビちゃんだったり、アクビちゃんがプリントされていたりととても丁寧で凝っています。それからどーした?

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かわいいパッケージでしょ?
小分け用の紙袋もついています

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中身もキュート
味はカカオ重視のビター系で美味しかったです

お味のほうなのですが、これが実に私好み。
個人的に多くの高級チョコレートで見られるリキュールをぷんぷんさせていたりラズベリーソースが入ったガナッシュチョコってイマイチなんですよね。
カカオの香りで直球勝負しているシンプルビターなチョコが大好きでして。
こちらはまさにそのそういったお味。
ちなみに、どうしてホワイトデーのチョコの味を私が知っているのかというと、自分用にも一個買ったからだったりしますwそれからどーした?

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初代アクビちゃん
声は貴家堂子さん

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シュワー シュービ ドゥワー

娘たちにも「かわい~、おいしい~」と大好評だったのですが、実はアクビちゃんは彼女たちにとって既によく知ったキャラクターだったりします。
私はしばしば昔のアニメソングを口ずさんだりしているのですが、ほとんどの曲は娘たちのお気に召さないらしく「何それ、変なの~、キモい~」とボロクソ。しかし「ハクション大魔王」のエンディングテーマ(のちにオープニングに移行)である「アクビちゃんの歌」は数少ないお気に入り。
やはりかわいい小さな女の子のことを歌ったその歌詞は我がことを言われているようでうれしいのかもしれませんね。曲も覚えやすくてクセになりますし。
Youtubeで動画を見せてやると「かわい~、かわい~」を連発していましたよ。
それからどーした?

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アラビン カラビン スカンピ~ン
タンバリン片手に呪文を唱えます

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それからどーした?

その「ハクション大魔王」は1969年10月から約一年間放送されたご存じタツノコプロによる大ヒットギャグアニメ。ダルで間が抜けた故・大平徹さんによる魔王のキャラクターは今なお愛され続ける強烈なキャラクターですね。
さらにレギュラーとして登場する魔王の娘がアクビちゃん
テーマ曲の歌詞そのままに、かわいい顔にも関わらず度を越した暴走といたずらが魔王以上にスラップスティックで登場人物たちは振り回されっぱなし。
声はタラちゃんで知られる貴家堂子さん。
ちなみに「サザエさん」と「ハクション大魔王」は同じ放送開始年です。
それからどーした?

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2001年「よばれてとびでて!アクビちゃん」版

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タンバリン持つ姿がキュート

放映から47年。今なお小さな女の子を一目で魅了する絶妙なキャラクター。
数多いタツノコキャラの中でも最高のアイキャッチキャラなのかもしれません。
近年、かつてのタツノコ作品が次々とリメイク、リブート、実写化されていますが、アクビちゃんは2001年(「よばれてとびでて!アクビちゃん」)、2006年(「アクビガール」)にスピンオフ作品として女児向けにアニメ化されています。
キッチュな魅力を残したままのリデザインはいずれも違和感なく、特に「アクビガール」の絵柄はファッショナブルで秀逸です。
現行のアクビちゃんのキャラ商品や今回のチョコレートもその「アクビガール」のデザインが使われているようですね。それからそれから?

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2006年「アクビガール」版

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タンバリンがハートに

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壺のデザインもちょっと違う

いずれのスピンオフにおいても「アクビ娘のテーマ」はアレンジされて主題歌になっています。アクビちゃんといえばこの曲以外に考えられませんもんね。
しかし私たち世代にとってはやはり初代「アクビ娘のテーマ」こそ至高
なんと言っても歌っているのは若干12歳の堀江美都子さんなんですから。
特徴的な情感漂う雰囲気は年齢的にまだ薄いのですが、澄んだ伸びやかな高音は当時から見られます。いやもうやっぱり天才ですわ。

初代
歌うは堀江美都子!

二代目

三代目

宇宙戦艦ヤマト 完結編

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宇宙戦艦ヤマト 完結編(1983年/日本/勝間田具治監督)
※ネタバレあり

1974年のテレビ放映から始まる一連の宇宙戦艦ヤマト作品の最終章。(除く復活編)通称「ファイナルヤマト」。
ヤマトのフィナーレを飾るべく重厚な演出が試みられていますが、意図とは逆にファンにとっては残念な作品だったように思います。

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<ストーリー>
西暦2203年。回遊惑星アクエリアスにより水没したディンギル星人たちは移住先を地球に定め、アクエリアスを利用して地球人類を滅亡させようとしていた。復活した沖田十三を艦長に仰ぎ出発したヤマトはディンギル星人の先遣隊を叩くもののアクエリアス接近を回避することはできなかった。
駆けつけたデスラーの助けもありディンギル帝国を退けたヤマトだったが、アクエリアスからの水柱を阻止すべく自爆する作戦をとる。一人ヤマトに残った沖田艦長は波動砲を暴発させ水柱を絶つのだった・・・

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ヤマト最後の戦いに臨む古代

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結婚を控える雪(この設定何度目だ?w)

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倒れた古代を見て死んだと思い込み自決しようとする雪
エキセントリック過ぎ
ちなみにその後古代はフツーに回復します

本作が公開された1983年春は異例とも言える大作アニメ映画が目白押し。「うる星やつら オンリー・ユー」「クラッシャージョウ」「幻魔大戦」と、アニメファンにとってはお祭り騒ぎだった記憶があります。当時中学一年生だった私もその熱狂の中にあったのですが、さすがにすべての作品を観に行くことはできず、「オンリー・ユー」と「CJ」は前売り券を買った上で鑑賞、「幻魔」は前売り買わず鑑賞、そして本作は鑑賞を見送りました。
ヤマトと言えば日本のアニメがビッグビジネスになることを決定づけた超ビッグコンテンツ。私自身に照らすと、幼稚園から中学生まで999、ガンダム、うる星やつらを挟みつつもヤマトと共に育ったと言っても過言ではないほど親しんだ作品でした。
しかし、さすがのヤマトも続編を重ねるごとに勢いは衰え、世間の関心と共に私自身の関心度が下がっていたことは劇場鑑賞を見送ったことでも明らかでした。

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沖田艦長復活に驚愕する古代(そりゃそうだ)

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復活した沖田

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やはり絵になる

とは言え、やはりヤマトですよ。
今鑑賞しても当時のスタッフの気負いが伝わってくる超大作のフィナーレの風格
仲代達也による重厚なナレーション、ヤマト自沈から20分近くに及ぶラストまでイメージ映像の数々など今では考えられない贅沢な尺使いをもってヤマトの最後を劇的に演出しています。
しかししかし。
その風格に見合う物語があったのかというといささか厳しいところだったのもまた事実。今更愛するヤマト作品のマイナス点をあげつらうのは忸怩たる思いもあるのですが、こうして作品レビューするとなるとどうしても避けることはできません。

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今回の敵はディンギル帝国
実写ならロバート・ヴォーン

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ディンギルの兵器・ハイバー放射ミサイルに苦戦

正直、宇宙から地球への侵略というパターンもこれで4回目。感動のネタもさすがに絞りつくした感がありました。言わばマンネリ。
それを打開すべく制作陣が打った禁じ手初代・沖田艦長の復活
まあ、そもそも劇場版2作目と異なるテレビ版2作目のパラレルワールドからシリーズは続いたわけですし、前作「ヤマトよ永遠に」ではサーシャの急成長なんてこともあったわけですから。ファンにしてもうれしいとか驚いたよりも苦笑い、いえ、当時はそれ以上に笑いのネタにされちゃってましたね。
劇中、佐渡先生が自分の誤診により脳死に至っていなかった云々と照れ臭そうに説明するシーンがあるのですが、その口調がそのままスタッフのファンへの言い訳のようでむず痒かったです。

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鈍く光る荒波から最後の航海へ旅立つ

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生命の源でもある回遊惑星アクエリアスへ

残念だったのは沖田艦長復活というネタそのものより、復活した彼を作中で活かしきれていなかったという点。もちろん、最後の花道こそ用意されていたものの、なんだかゲストキャラのような居心地の悪さ。一作目で見せた「地球を救った闘将」といった存在感は薄れ、いかにも現役から退いた男のように見えました。
それは、次世代たる若者・古代への橋渡しというテーマにも関わることであったのですが、しかし物語の上で古代は沖田のいないヤマトを既に率いていたのですから今更感のあったところです。復活するからには現役バリバリの軍人として闊達に戦う沖田の姿こそファンの希望だったのでは。

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操舵手はもちろん島大介
テレサとの悲恋は泣けましたね

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島戦死!
雪に愛の告白(あれ?)

キャラクター面でのもう一つの見どころは島の戦死
航海班長という立場上、他のヤマトクルーと違いそれまで白兵戦の機会もなく、何となく戦死とは無縁の感があった島。しかし白兵戦に参加した途端被弾してしまいました。慣れないことするからw
しかし島の戦死には唐突さと今更感があって、感情移入し難かったというのが正直なところ。それ以上に、死に際に雪への愛を告白するのはダメでしょ。島はテレビ版二作目でテレサと激しい恋仲になったわけで。お前はテレサが好きやったんとちゃうんかい!と突っ込んじゃうのはファンとして当然。古代と雪に未来を託しつつ、テレサを思いながら逝って欲しかった。そうすれば感動10倍だったのになあ。過去のシリーズの遺産を活かしきれていないのは悔やまれます。

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デスラー登場!
やはりこの人が出てくれないと

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沈みゆくヤマトに涙

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デスラー艦の活躍も見たかったなあ

ヤマト絶体絶命の危機にあってデスラーが登場するシーンにはやはり熱いものを感じました。やはりヤマトシリーズにこの方は必須ですよね。しかしだからこそもっとデスラーを物語に絡めて欲しかったなあ。万難を排して地球の危機に駆けつけてくれるような演出があれば。
パッと出の悪役であるディンギル星人側の取ってつけたような描写なんかいらない
から、もっとがっつり既存人気キャラを描いてくれればよかったのに。

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真田さんにもっと活躍してもらいたかった

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アナライザーもサクッと壊れちゃったし
その後直ってたけど

それを言えば真田さんや加藤、アナライザーの登場も少ないんだなあ。真田さんの例の予知能力的科学力で敵に大ダメージとか、アナライザーにR2-D2的活躍をさせるとか、加藤のコスモタイガー隊がヤマト絶対絶命の危機を救う特攻するとか。
こう言ってて気づいたんですけど、本作には重厚感はあるけど爽快感がないんですよね。これって邦画全体に言える悪癖だと思うのですけど。

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旧帝国軍戦闘機を意識したカラーリングになったコスモタイガーⅡ
う~ん、似合う?

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スキャニメイトと呼ばれる当時の最新映像技術が使われました
しかし画質が大幅低下

本作で一番ハッとさせられた作画は、鈍く荒れた海を進むヤマトとその発進シーン。毎作ヤマトの発進シーンは渾身の作画演出がなされているのですが、本作もその例にもれません。
また、本作は「戦艦大和」へのオマージュを意識していたのだと思います。
ラストではヤマトの犠牲によってアクエリアスからの水没を阻止するわけなのですが、単なる爆発ではなく「海に沈む」という絵に強くそれが表れています。
つーか、そもそもアクエリアスという舞台装置自体この「海に沈む」ヤマトを描きたかったがゆえの産物なのでしょう。

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一人艦に残り波動砲の引き金を引く沖田艦長
思えば一番最初に「波動砲発射!」と叫んだのも彼でした

実際の戦艦大和は坊ノ岬沖で多数の魚雷を浴びて横転。火柱が立つほどの大爆発を起こしたのちに船体が二つに割れて沈んだと言われています。
本作では艦首を打ち上げて静かに艦尾から沈んでいきましたが、その姿は荘厳で神々しくすらあり、なかなかの見せ場でありました。
ただトリチウム積んで波動砲を暴発させたはずのヤマトが最後まで船体を保っていたのはぶっちゃけありえない話なので、艦内の沖田が水に漬かっている描写も含めて「イメージ映像」と解釈すべきなのかもしれません。

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ヤマト、自沈!

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神々しくすらあるヤマトの最後

戦艦大和へのオマージュという意味では、コスモタイガーのカラーリング変更もその一環だったのでしょう。シルバーにオレンジor黄色のポイントだったのものが、本作から予告なく濃緑色となって驚きましたが、これはおそらく大戦時の濃緑色の戦闘機カラーに似せたもの。
しかし、宇宙空間にこの色は映えないなあ・・・無理がある。
また、映画前作「ヤマトよ永遠に」ではコスモタイガー活躍シーンの作画を担当していた金田伊功が「幻魔大戦」の作画に回ってしまったために、本作のコスモタイガーが前作のように切れた動きを見せていないのもかなり残念だったりします。

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ついに結ばれる古代と雪
(島が当て馬にされた感が・・・)

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公開時に速攻で削除された問題シーン
美しい作画です

本作はシリーズ最終作として古代と雪の関係を結婚という形でゴールさせています。つーか、二作目以降ずっと結婚結婚言ってたのにまだしてないんかいと突っ込みたくなりますが、劇中ではヤマトがイスカンダルから帰還してまだ3年しか経ってないんですよね。その間、地球復興→白色彗星帝国来襲→地球復興→暗黒星団帝国来襲→地球復興→太陽爆発危機→回避→アクエリアス&ディンギル帝国来襲と、あまりにも忙しい。そりゃ結婚する暇もないわな。
初公開時には古代と雪の裸のラブシーンがあると話題になり、しかし速攻でカットされちゃったりしてさらに話題になりましたっけw
ヤマト自沈に負けない渾身の作画。
ファンとしてはそれだけで満足すべき・・・とはいかないですよね。

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エクス・マキナ

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エクス・マキナ(2015年/イギリス/監督・脚本:アレックス・ガーランド)
85点
※ネタバレなし(ヒントあり)

2016年はAI元年とか言われていましたね。何をもって元年なのかはよく分かりませんが、昨年今年とビジネスの世界ではやたらAIが叫ばれています。もっともそこで言われているAIは人間の代わりに働くコンピュータ程度の意味合いで、科学やSFの世界で言うものとはかけ離れた印象がありますが。
本作は後者の意味合いでのAI、つまり人間と同等以上の人工知能をテーマにしたタイムリーなSFサスペンス映画です。

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本作のタイトルは「デウス・エクス・マキナ」に由来します

<ストーリー>
検索エンジンの寡占企業ブルーブックで働くケイレブ(ドーナル・グリーソン)は、社内抽選で社長のネイサン(オスカー・アイザック)の別荘に招かれる。到着早々に機密保持契約へのサインを求められるケイレブ。実はネイサンはAI搭載のガイノイド(女性型アンドロイド)を極秘開発していたのだ。ガイノイド「エヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)」のチューリング・テスト(人工知能の知的テスト)を命じられたネイサンは、美しい女性の外見をしたエヴァとの会話を始める。しかし別荘が停電になりネイサンの監視が消えた瞬間、エヴァはケイレブに「ネイサンを信用するな」と伝える。外界と隔離された別荘の中で、ケイレブ、ネイサン、エヴァ、そしてネイサンの愛人と思しき英語の分からないキョウコ(ソノヤ・ミズノ)との奇妙な1週間が始まる・・・

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高度なAIを搭載したガイノイド・エヴァ

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機械部分を覆えばキュートな本物の女性にしか見えません

舞台仕立ての上手な映画です。静かな近未来的建物、雄大な自然、繰り広げられる知的で謎を秘めた会話、不安を煽るBGM。ネイサンの言葉は科学の最先端でありながら哲学的であり、しかしどこか狂気と野生を秘めているようで引き込まれます。そしてエヴァの言葉もまた人間と非人間の知性の境界を垣間見せるようで引き込まれます。さらに物言わぬキョウコの存在感にもまた引き込まれるのです。
冒頭から知的好奇心と得も言われぬ不安を煽り、映画にグイグイ引き込ませる演出には感心させられますよ。

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チューリング・テストを行う若きプログラマー・ケイレブ

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ネイサンに不気味なものを感じつつもエヴァに惹かれていきます

センス・オブ・ワンダーを感じる静かなSF作品であると同時に、ソリッドシチュエーションスリラー。低予算であると思われますが、安易なエログロ描写とバイオレンスに振って作品の品格を下げなかったところも好印象です。
ただ、最新SF作品ではあるのですが、物語の骨子は意外と古典的なんですよね。
そもそも見目美しい女性型アンドロイドという点でイマジネーションの束縛を感じます。そこは実際作品の中でケイレブがネイサンにぶつけた疑問であり、ネイサンは屁理屈でそれを回避しましたが、それはある意味自嘲的なシーンであったのかもしれません。
もっとも映像作品としてオッサンのアンドロイドやグレーの箱がAIじゃあ興業的に成り立たないでしょうけどね。攻殻機動隊だって、少佐の外見がボーマやサイトウだったら誰も観ないだろうしなあw

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IT長者のネイサン
莫大な富と情報を握る彼は現代の王様

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そんな彼は何のためにAIを生み出すのか

さて、AIに対して人はどう向き合えばいいのか。
ネイサンは創造主として、管理し観察し奴隷のように扱うスタイルを貫いていました。元は単なる無機物であることを知っているが故の態度と言えますが、それ以上に彼の性格がモノを言ったのでしょう。若くして巨万の富を得たネイサンは王のように人の上に立つのが当然と考えている節があり、人であれAIであれ彼のスタンスは大差なかったのかもしれません。
一方でケイレブは、最初から美しい女性の顔を持った存在として対等に対峙することからスタートしています。プログラマーである彼は知識としてAIについて理解していても、のっけから≒人としてエヴァ扱っているようでした。それは多分にケイレブの人間性に関わっていたように思うのです。まあ、周到なネイサンはそういう人間性であるケイレブを選び、またそうなるよう仕向ていたと考えることもできるのですが。

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ネイサンの愛人?キョウコ
英語が分からないという設定ですが・・・

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エヴァとキョウコが見つめる先は・・・

本作は最終的に古典SF的「コンピュータの反乱」の様相を呈します。0か1かのコンピュータであれば「ロボット三原則」だの「良心回路」だの組み込めば反乱など起きないのでしょうが、おそらく人に近しいAIとなればそんな単純なものでもないのでしょう。
要するに、将来的にAIに対する扱いは人と同様なものとなるだろうと本作は言っているように思います。AIの誕生が歴史の必然とするならば、人の知恵の産物というより地球が生み出した生物進化の次のステップというべきなのでしょう。人が作ろうが神が作ろうが知性は知性なんですね。
もっとも・・・そういうテーマも実はSFの世界では全く目新しいものではなくて。
ここにもう少し別の視点が加わっていれば本作はもう一段上の映画になったかもなと考える次第。簡単ではないでしょうけれど。

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人は人を象った無機物にも心動かされるのです

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建物を一歩出れば雄大な自然
その対比が面白い

ところでネイサンは科学的好奇心追及だけでAI搭載ガイノイドを作ったのかと言えばそうでなく。エヴァの前にも数体製作されているのですが、ぶっちゃけ彼女たちはセクサロイドなんですよね。ネイサンはケイレブに対してはっきりとエヴァにそういう機能が付いていると言っているし。ネイサンの趣味・・・というのもあるのかもしれませんが、商品化するなら絶対その方が売れるからなんでしょう。
昨今話題のVRゲームにしても結局真っ先に売れそうなのはアダルト系のようだしw
高度な技術開発も動機となるのは結局エロなんかい!・・・・ってフィギュア買っちゃってる自分が言うのもなんですけどねw
あ、待てよ。将来アニメキャラの設定をAIに完全移植した動く等身大アニメフィギュアだって夢じゃないのか?うは。コレもう少子化は止まりませんなw

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後半は一気にサスペンス色を強めます

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さて、登場人物の少ないソリッドシチュエーション映画とあって、役者の技量が映画を左右したと思います。登場人物4名ともに見事な演技と雰囲気を醸していました。
中でも私が注目したのはネイサン役のオスカー・アイザック。意外にも彼の役柄が一番難しかったのでは。本音がどこにあるのか分からないIT長者を外連味なく演じていたように思います。つーか、この人スター・ウォーズEpⅦのポー・ダメロンだったのか!観ている間全然気づきませんでしたよ。役者さんってのは化けますね~。EpⅧで彼を観るのが楽しみになりました。
キョウコ役のソノヤ・ミズノは父親が日本人の日系イギリス人。顔だちもスタイルも立ち振る舞いもハッとさせられる美しい存在感。
本作は主演のアリシア・ヴィキャンデルとドーナル・グリーソンが目立っていただけに、助演となる彼らがそれに負けない存在感を示したことで作品が深みが生まれたように思います。

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花のささやき(小公女セーラOP)

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OP:花のささやき(作詞:なかにし礼/作曲:森田公一/歌:下成佐登子)
ED:ひまわり(作詞:なかにし礼/作曲:森田公一/歌:下成佐登子)

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1985年1月からスタートした世界名作劇場の一編「小公女セーラ」公式にはシリーズ11作目と言うことなのですが、ふ~ん、公式設定だと「アルプスの少女ハイジ」や「山ねずみロッキーチャック」はカウントされてないんですね。
さすがにシリーズ全作観ているわけではないのですが、好きだったのは「ふしぎな島のフローネ」かなあ。その後続く「ルーシー」、「アンネット」、「カトリ」は年齢的にそろそろ名作劇場卒業年齢だったので観ていなかったのですが、本作は可憐なキャラデザとセーラのCV島本須美さんに惹かれて一話からガッツリ鑑賞しました。

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可憐で心優しいセーラが・・・

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凄惨なイジメに次ぐイジメに

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イジメの限度を超えるようなことも

しかしその内容と言えば、キュートな島本さんの声や絵柄に反して陰惨なイジメが続く続く。もうね、昼ドラやレディコミの嫁姑戦争かとw
突如身寄りを亡くした幼い少女に対して、子供たちばかりか大人までも加わっていたのが不条理感バリバリ。当時はイジメが社会問題となっていたこともあってか本作への注目度も高く、最終話の視聴率は27.8%だったらしいですよ。今の低視聴率時代からするとウルトラヒットアニメですね。

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セーラを憎み虐待を続けたミンチン院長(梨羽由記子)
セーラが金持ちに返り咲いたことで愕然とします

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ミンチンの言いなりでセーラへの虐待を傍観していた妹のアメリア
最後にミンチンの行いを罵倒

そんな陰惨なイジメにも関わらず最後まで見続けることができたのは、もちろんお話し自体が良くできていたのもあるのでしょうが、そもそも70年代のアクの強いアニメを観ていたおかげで私自身免疫がついていたこともあるのかもしれません。
なんせ当時のアニメときたらイジメなんてむしろ序の口。貧困、虐待、村八分。いたいけな子供やかわいい動物キャラが常に生きるの死ぬのの瀬戸際なんて作品がゴロゴロしていましたから。
同じ名作劇場で言えば、ご存じ「フランダースの犬」は説明のいらないところだと思います。「ペリーヌ物語」は健気で前向きなペリーヌがこれでもってほど悲惨な目にあったりして。母親が貧困と過労で死んじゃうあたりなんて目を背けたくなりましたよ。おかげで私にとって「ロバ」は貧困の象徴のような生き物ですw

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イジメの首謀者ラビニア・ハーバート(山田栄子)
アメリカの石油成金の娘です

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天使のような表情で大人を操りセーラを貶めます

「カリメロ」とか「けろっこデメタン」とか「みなしごハッチ」とかね。かわいい動物キャラに騙されちゃいけませんよ。親の因果までないまぜになった暗くてハードな人生がそこにはありました。「ドン・チャック物語」も毎度毎度欝々としたお話が続いて、あの陽気なオープニングテーマが嫌がらせに聞こえるレベルでしたw
おそらくね。当時の脚本家さんたちは戦前戦後の大変な時期を経験されてきた人たちだったんでしょうね。高度成長時代に至っても「ドラマ」を考えれば考えるほどはそちら方面に発想が及んだのではないでしょうか。人生訓として子供たちに苦労話を伝えようとするお爺ちゃんのようにね。

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戸惑いと・・・

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苦悩の表情が多かったセーラ

「小公女セーラ」は名作児童文学「小公女」を原作にしています。裕福な家庭の子供が集うロンドンの寄宿学校でひと際大金持ちの子女であったセーラですが、インドにいる父親のダイヤモンド事業が破たん。さらに父は死亡し、一転して文無しのみなしごに。セーラは生徒から小間使いとなって寄宿学校で働かされますラビニアを筆頭に学院の院長であるミンチンまでもがいじめに加担してやりたい放題
しかし最後は実はダイヤモンド事業は成功していたことが明らかになり、父親の遺産を一身に受け継ぎ大金持ち返り咲きと言う逆転満塁ホームランと言う展開でした。

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金持ちへと返り咲くセーラ
オーラス四暗刻単騎自摸!

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苦悩を共にしたベッキー(鈴木みえ)を自らの侍女に迎える

落ちぶれたセーラを徹底的に嬲る人、哀れに思いながらも手を差し伸べなかった人、セーラの人柄を慕って優しく接した人、ともに苦労をした人。金持ちに返り咲いたセーラに対して、彼らがどう接っし、そしてセーラがどういう態度をとるのかが最終回の最大の焦点でした。
アニメでは学園のリーダー格のラビニアと学院長ミンチンの二人によるいじめタッグが組まれていましたが、原作ではラビニアの存在感は薄く、ミンチンとセーラとの関係に重きが置かれていました。金銭への執着心が強いミンチンが、セーラが再び金持ちになったことを聞きショックを受け、自らの愚行を妹のアメリアから罵倒されるのは原作とアニメ共通です。しかし、アニメではセーラはミンチンに嫌みの一つも言わず学院に寄付をするのですが、原作では「以前からセーラに好意を持っていた」と白々しく語るミンチンに対して「そうなんですか?それは知りませんでした」とチクリと嫌みで返しています。
むしろこれが当然の反応で、アニメには違和感を覚えましたね。

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最終回でラビニアと微笑みあうセーラ
なぜ笑えるんだ。怖いよ、セーラ

子供向けを意識しすぎて、わずかな嫌みすら言わない少女に仕立てたことは逆にセーラの性格を不気味なものにしていました。
それが顕著に表れたのはイジメ抜いた張本人ラビニアとのやりとりなんですよ。つい憎しみをぶつけてしまうくらいで当然でしょうし、せめて彼女を遠ざけようとしたって不思議じゃないでしょう。シンデレラですらそうでしたから。
とことがね。「何十年か経ってあなたがダイヤモンドプリンセスからダイヤモンドクイーンになっている頃、私は大統領夫人になっているわ」とか悪びれることなく言い切るラビニア対して、それを聞いてセーラは嬉しそうに微笑み返すんですよね。
こえぇ。怖すぎるよセーラ。
どうして笑いあえるんだよ?今までの凄惨ないじめは何だったんだよ?!

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最終回のせいで当初からのセーラの印象がかなり変わりました

過酷な生活がセーラの人格を破壊していたのか、あるいは微笑みの裏で復讐をたくらんでいるのか、はたまた将来の「女王」を約束された幼き女傑二人のぶつかり合いの序章なのか。
ぶっちゃけ、それまでずっとセーラ推しで観ていたのですが急に彼女のことが恐ろしくなっちゃってねw当時15歳のピュアボーイだった少年ばいきんダディの心に女性へのトラウマが植え付けられた次第。
しかし反面、決して悪びれないラビニアのプライドの高さと筋の通しっぷりにちょっと惚れちゃったりして。心の中でラビニア「様」と呼びたくなりましたw
当時15歳のピュアボーイだった少年ばいきんダディの心にドMの心が芽生えた・・・っても~エエってのw

OP・ED動画

本作の脚本は一年間の長丁場のほとんどを故・中西隆三さんが担当。あまり著名な方ではないのですが、なんとこの方、「フランダースの犬」の最終回52話とその前フリになる51話を担当された方。さすがといいましょうか。アニメ主人公を嬲り尽す脚本を書かせたら右に出る方はいないのではw
ちなみに中西さんはあの怪作「大巨獣ガッパ」の脚本も担当されていたようです。

関係ないけど五月みどりの「熟女B」も貼っときますw

さてそんなドロドロ昼ドラ系の本作のOP&EDは名作劇場に例のないムード歌謡のような楽曲。作品の世界観にはマッチしていますけどね。名作劇場だけでなく上にご紹介した暗いアニメ作品も主題歌はだけは明るいものが多かったのですけど。
作詞・作曲は7~80年代の歌謡曲ヒットメーカーのお二人。
作詞はなかにし礼。細川たかしの「北酒場」、黒沢年男の「時には娼婦のように」、北島三郎の「まつり」、石原裕次郎の「わが人生に悔いなし」、いしだあゆみの「あなたならどうする」などを作られた方。あ、五月みどりの「熟女B」もこの方か。ご存知ですか?中森明菜の「少女A」をパロったすんげえ曲ですよ。
作曲は森田公一。ご自身とトップギャランの「青春時代」、石野真子の「春ラララ」、リリーズの「好きよキャプテン」などなど。森田さんも中西さんもご健在。
あまりアニメソングを手掛けることのなかったお二人がなぜ本作を担当されたのか分かりませんが、本作の特殊性と相まって、今から考えるとこれ以上ないベストマッチでありました。


ヨコハマ買い出し紀行

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ヨコハマ買い出し紀行
(講談社アフタヌーンコミックス全14巻/芦奈野ひとし著)

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舞台は近未来の三浦半島周辺
主人公は一人喫茶店を営むロボットのアルファさん

20代の頃少し写真に凝っていました。
大学時代の友人に影響を受け、ろくに使いこなせもしない機械式高級一眼レフにリバーサルフィルムをぶち込んで持ち歩いたりして。被写体求めて街や野山や観光地に出ましたが、一番楽しくウロチョロできたのは鎌倉だったかなあ。
写真やカメラの話は長くなるので別の機会に譲るとして、本作はそんな写真心と緩やかなSFテイストを味あわせてくれる他に類するものの無い作品です。

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温暖化が進みかつての文明は滅びつつある世界

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人間以上に豊かな感性を持つアルファさん

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作中に度々登場する「メイポロ」と呼ばれる飲み物
メイプルシロップみたいなもんかなあ
美味しそう

舞台は近未来の三浦半島から武蔵野台地周辺。人間に近いロボットや不可思議なバイオテクノロジーは発展していても、しかし温暖化が進み人口は激減し、かつての文明社会は影を潜めてのんびりとした景色と穏やかな人の心が支配する人類の黄昏の時代です。
「デストピア」作品とも言えるのですが、暴力と絶望と荒廃が支配するようなマッドマックスな世界とは打って変わった風情です。
作中ではそれを「夕凪の時代」と呼んでいるのですが、煌びやかな人類隆盛からやがて滅びに至る前のわずかな時間を表す美しい表現ですね。

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アルファさんの「妹」にあたるロボットのココネ

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アルファさんが弟のように慕う人間の少年タカヒロ

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やがてタカヒロは成長し・・・

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巣立っていくタカヒロ

例えばかつての横浜、横須賀、武蔵野。人の生活を阻害しない程度に優しく生い茂る植物の中にかつての文明の残滓が垣間見られます。作中では横浜ランドマークタワーが未だにそびえていますので、少なくとも鉄骨鉄筋の構造物が崩れ去るほど未来ではないのでしょう。
なぜこんな世界になったのか、関東周辺以外の場所はどうなっているのか、物語の端々に出てくる不可思議な生物や事象の正体は何なのか。それらは必ずしも詳らかにされていませんが、しかしヒントのような描写は散りばめられていて、読むものの想像力に委ねられています。
穏やかで微笑ましい雰囲気に中に突如としてそういった小さな驚きが登場するそのさじ加減が絶妙で実に心地よいのです。

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ひまわり・・・

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子供の前にだけ現れる謎の女性?ミサゴ
実はアルファと同様ロボットらしい

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遥か上空を無着陸で飛び続ける続ける巨大飛行機ターポン

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ターポンの中ではアルファの「姉」にあたるロボットが
永遠に地球を周回し地上を見つめています

それらヒントから本作の世界を読み解いていちいち理屈をつけていくことも可能なのですが、それはどうにも野暮なように思います。しかし敢えて主人公であるアルファさんと彼女の姉妹と言えるA7M型シリーズのロボットたちの開発経緯に思いを馳せると、そこには本作のテーマが見えてきます。
A7型が開発されたのはどうやら既に人間社会が斜陽に入ってからのよう。人類に使役させるための開発したというよりは、人類と同じように感じ、考える存在になることに主眼に置かれている気がします。それは取りも直さず、人類よりも長く長く生き続けるだろう彼女たちに対して、人類を見送ってほしい、人類を忘れないでほしいという願いがそうさせているようなのです。
AIにこういう役割を持たせるあたりに非凡なセンスオブワンダーを感じますね。

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写真好きには分かる感覚
でも結局先に行っても撮らなかったりw

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こういう日常の一コマが心地よい

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建物の屋根にも届く一面のすすき

A7型開発メンバーとおぼしき子海石先生は、彼女が愛用していたペンダントをアルファさんに渡し、自分の死後自分に変わって「見て歩く」ことを託しています。そこにあるのは滅びから逃れようと足掻く人類ではなく、滅びに任せて年老いていく人類の姿です。だからこそ、本作で描かれる人類の黄昏はこんなにも穏やかなんですね。
登場人物は年寄りだけでなく、タカヒロやマッキという少年少女から成長していく若者たち、そして彼らの子供サエッタまで描かれていることから、人類の滅びは決して数十年単位ではなく、おそらくそれ以上の長期間に及ぶのでしょう。子を持つ身としては、滅びの時代に生まれてくる子供たちの存在がなんとも切なくて。
しかしそうであっても、いやだからこそ子供をもうけようと思うのは人の性でしょうし、ひょっとしたらこの現実世界だって滅びの前夜とも考えられるわけで。そういう視点から本作を捉えるとなんだかとても寂しく怖くもあるのです。

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無情な時の流れ

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無限の住人アルファさんにやがて必ず訪れる別れ

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人類の黄昏を見つめ続けていくアルファさん

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彼女たちロボットは人の忘れ形見であり
そして墓守となってくのでしょうか

一方で、本作は穏やかで感受性豊かなアルファさんたちとその仲間の生活を少しコミカルに切り取っています。
田舎道に立ちのぼる草いきれ、薄茶色にしげるすすきの波、ピンと張り詰めた雪化粧、ポカポカと心弾む春の始まり。フォトジェニックとまでは言えないどこにでもありそうな日本の風景がアルファさんたちの生活に色を添えています。
本作は、癒しと寂しさにセンスオブワンダーを加えた稀有な作品です。
ご存じでない方は是非。

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バンダイ HI-METAL R ダグラム

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バンダイ HI-METAL R ダグラム

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待望のダグラム完成フィギュアがバンダイのHI-METAL Rから発売されました。
そもそも40代へのアンケートによると好きなロボット第二位(一位はバイファム。ガンダムを除いたアンケート?)ということで、当時品を除いて完成フィギュアがリボルテックヤマグチしか無かったというのが妙な話だったのですが、満を持してようやく登場したというところでしょうか。
以前、タカラのDMZから発売される計画もあったらしいのですがポシャりましたからね。私も含めてダグラムファンの期待は異常に大きかったと思います。

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ボックスアートがカッコいい!

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箱裏

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コンパクトなパッケージ

ダグラムの完成フィギュアには、放映当時タカラから発売されていたデュアルモデル(以下DM)の1/481/72という偉大な商品がありまして。今なおファンの心を掴み続けている完成度の高い代物。ただ如何せん再販されることなく発売から35年近くが経過していることと、関節可動性に関しては現代商品とは雲泥の差があります。
一方、近年リボルテックヤマグチから発売されたものは安価で可動性は高かったのですが、デフォルメが極端すぎるために特に昔からのファンには評判が悪かったりします。
おそらく本品を手にしたファンは嫌が応にもそのデュアルモデルとリボルテックヤマグチの比較をしてしまうことでしょうし、今回のご紹介でも比較も交えてお話ししたいと思います。写真での比較も下の方に載せますよ。

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胸・腹・腰がナローな感じがDMと異なりますね

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やっぱダグラムはターボザック付けてナンボかな

まず外箱ですが、ボックスアートは戦場の一コマをイメージした迫力の手描きイラスト。カッコいいですねえ。荒野にそびえ立つダグラムと対照的に擱座しているソルティック。手前の赤毛の男はロッキーでしょう。
敢えて現代的なCGやキラキラしたイラストでないところがポイント高いわあ。
大きさ自体はコンパクトですし、ずいぶん軽く感じますけど。
デュアルモデル1/48の外箱の豪勢さと比べるとチープですが、これは時代の差ですよね。お歳暮でも宝石でもとにかく外箱は簡略されていますから。

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で、ターボザック装着

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斜め前、斜め後のシルエットは文句なくカッコいいですね

ダグラム自体の外観は、極端なデフォルメはなく、現代的リファインと関節可動を考慮した妥当な着地点だと思われます。が、結局は個人の好みに帰着するのかなあ。
ぶっちゃけると私はDM1/48のシルエットこそ最高だと考えています。
頭部もがっしりと安定感のある台形で、胸板も腰も広く分厚く、手足もごっつりと図太い。アメフト選手で例えるならラインバッカーのような。それこそタフな戦場を生き延びたリアル兵器「ダグラム」のイメージだったりしますので。
対して本品はワイドレシーバーのようにボディもシャープで手足も長い。やたら小顔足長が多い近年のバンダイデザイン路線からすれば、それでも抑えている方なのかもしれませんが。

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頭部パーツは分解できます

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アンテナと上部キャノピーは予備パーツ付属!

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手の交換パーツも充実

質感、塗装はかなり上質だと思います。ダグラムらしいカラーリングは作中のイメージ通りですし、マーキングも作中設定の準拠度合いは高そう。
HI-METALという名前の割にはABS樹脂率が高いのは、シリーズの他商品と同様なのであまり突っ込みませんが、かっちりと作られていて安っぽさはありません。
コクピットのキャノピーは当然クリア素材ですしね。
ABS部品に若干バリが残っていたのは残念でしたけど。
可動関節部や、取り外し部品の接合性なども硬すぎず緩すぎず。部品精度の高さは好感持てましたね。ギミックを山ほど載せながら部品精度が悪い上に強度不足ですぐに壊れちゃうようなの大人向けフィギュアは数知れませんから。

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こんなポージングも余裕で可能です

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あの第一話・最終話の擱座ポーズも可能だとか

アンテナ部分は折れやすそうですし、取り外し可能なキャノピー上部はすぐになくしてしまいそうなんですよ。でもちゃんと予備パーツが付いてる。この点も非常にユーザーフレンドリー。
クリンフィギュアは大きさを考えればシルエット・塗装も上々で、ギミックに合わせてコクピット着席&立ち姿の2タイプをちゃんと準備。
また、取扱説明書は白黒二色刷りですが、ギミックに応じて分かりやすく解説されていて、かつ壊れやすいところはその旨注意書きがしっかりされています。当たり前のことなんですけどね、非大手メーカーなんかはこの点不親切なんですよ。さすがおもちゃ会社の雄であるバンダイの熟成感が感じられます。

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何気にコクピットが回頭するのが素晴らしい

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わずかですがコクピットが上下します

本品の特徴はなんといっても可動性の高さとギミックの多彩さ。
おもちゃ化の際の可動性など考慮外だった時代の大河原デザインですから、本来、作中シーンの再現なんてのは望外の話なのですが、本品は恐ろしいほど各関節が動きまくります。その上で外観を阻害していないのは全くもって素晴らしい。
部品精度が高く、強度もしっかりしてそうなので危なっかしさも低いですしね。
曲げてみて「ああこうなってんだ~」なんて感心しちゃいますよ。こういうところはガンプラ技術の蓄積とでもいうのでしょうか。さすがとしか言いようがないです。
もっとも身も蓋もない話なのですが、私はフィギュアに関節可動の高さを求めていないのですよ。ぶっちゃけ棒立ちで十分。DMやタカトクバルキリーはもちろん旧キットガンプラで満足する(つーか、むしろそっちの方が好きw)タイプですからw
それでも頭部が回転したり、わずかに上下してくれる点はイイですね。
棒立ちにも趣が出ますからw

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キャノピー開閉可能!

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上部ハッチも開く!

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このアングルがめちゃカッコいい!
これだけで買う意味あります

キャノピー開閉、コクピット上部ハッチの開閉は個人的にはとてもうれしいポイント。特に上部ハッチ開閉は作中で何度も印象的に使われていたのに、他のフィギュアでは再現されたことがなくって(たぶん)。どうしても蝶つがいで開閉させると部品が細かくなりすぎるところを、クリンの立ち姿フィギュアを利用して再現したあたりにすごく工夫を感じました。実に素晴らしい。
ターボザックの取り外しは強度的にも無理がないギミックになっています。DMでは最も壊れやすい点でしたので、ここは上手いこと処理してありますね。リニアカノンにはバネを使ったリコイルのギミックが用意されていますが、ぶっちゃけコレはいらんよなwでもサービス精神の旺盛さは評価してあげたいところです。

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左はリボルテックヤマグチ
右はDM1/72

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皆さんのお好みはどれ?

総じて、外観の好みの差はあるところとは思いますが、質感、可動性、ギミック、そして真摯な作りととても良くできた商品だと思います。
1/60のスケール(約160mm)も大きすぎず小さすぎず。ちょうど良い感じ。
これで実売15,000円以下なら上出来ですよ。ダグラムがお好きな方なら間違いなく買いです。プレミアついて価格が倍近くになっちゃう可能性もありますからね。
まだ噂の段階ですが、ソルティックの発売もありそうとのこと。
放映後35年の作品が現役トイシリーズとして発売されていくというのは、その世代としてはうれしい限りです。

ガチャガチャ 金属製ガンダム(番外編)

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ガチャガチャ 金属製ガンダム(番外編)

かねてよりライフワーク的に集めております金属製のガンダムフィギュア
今回は久しぶりですので、まずは簡単に概要(多くは推測交じり)をご説明します。
ガンダム初回放映当時のスポンサーであるクローバーより「ミニミニコレクション」として全19種のダイキャスト無垢製で30mm程度のモビルスーツフィギュアが発売されておりました。しかしクローバーの倒産を前後として、この金型を流用したと思しき無版権モノがコスモスからガチャガチャ商品として流通。
さらにはそのコスモスから元の金型に関係のないパチモン丸出しのモビルスーツもどきも併せて流通されいまして、私はそれらをひっくるめて総称して「ガチャガチャ金属製ガンダム」と勝手に呼んでいます。

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今回はガンダム以外のガチャガチャ金属製30mmをまとめてご紹介

30mm級に関してはおそらくは全部集めきりました。
加えてクローバーから発売されていた80mm級とそのパチモン、さらには30mmにも80mmにも当てはまらないパチモンがあったりして、その辺りは一体何種類あるのやら、そもそもクローバーでもコスモスですらないと思われるものがあったりしてカオス状態です。
私は、概ね~100mm程度の当時発売されていたと思しきダイキャスト無垢の商品を基準として集め続けています。最近入手するものといえば「一点モノなんじゃね?」と思われるようなネット上でも見かけたことのない代物ばかりなんですけどね。
たいていこれらはまとめ売りされていることが多く、結果的にガンダムではない商品まで入手するようになります。
今回はそんな非ガンダム系の30mm級ダイキャスト無垢商品をご紹介しましょう。


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ブングル・ローバーもあればなあ

まず最初はザブングル&ブングル・スキッパー。
なかなか良くできた造形だと思います。しかし情報が全く見当たらないために、正規品なのかパチなのか、あるいはガンダムと同様に正規品からの金型流用なのか。判断ができません。当時のザブングルのおもちゃスポンサーはガンダムと同じくクローバーですが、ガンダムのような「ミニミニコレクション」があったという記録はないようです。となると、ガンダムに続けとばかりに発売されたガチャガチャ用のパチ商品なのかもしれませんね。
なお、ブングル・ローバーやウォーカー・ギャリアなどが存在するかどうかも不明。ネットを漁ってもかすりもしないw
※なんと下でデストロイド・スパルタンと思い込んでいたのはトラッド11でした!

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エビ系の怪人にも見えますが・・・たぶんマクロスですw

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ネット上でも全く商品情報が見つかりません

次いで超時空要塞マクロスからバルキリー、デストロイド・トマホーク、デストロイド・ディフェンダー、デストロイド・スパルタン(ザブングルのトラッド11であることが判明しました)、マクロスの5じゃなくて4こちらもそこそこの出来栄えですがエッジの甘さなんかから判断すると、正規品とは思い難い
ちなみに当時のおもちゃスポンサーはタカトクトイス。こちらも正規品らしき商品をネット上で探してみても全く見当たりませんし、当時ガチャガチャとして見かけた記憶もありません。そもそもマクロス放映時は中学生になっていたので、ガチャガチャも駄菓子屋通いも卒業しちゃってたんですよね。
※zai*iosさん、池やんさん、ごんちゃっくさんからデストロイド・スパルタンではなく、ウォーカー・マシンのトラッド11では?とのご指摘を受けましたが、まさしくその通りでした!本当にありがとうございました。訂正文を赤字で追加します。
持つべきものはマニアックなブロ友・・・(笑)

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みなさん、どれがどのデストロイドだか分かりますか?
(って、自分が率先して間違ってどうするw)

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左がディフェンダー、中央がトマホーク、右がスパルタン(トラッド11でした)
下に比較画像を追加します

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私の目は節穴だ~っ!(笑)

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やっぱモンスターが欲しいなあ
あるのかなあ?

ここまで主要メカが揃っているのなら、デストロイド・モンスターやデストロイド・ファランクスもグラージもクァドラン・ローも欲しいところです。
個人的にはデストロイド・モンスターが特に欲しいですが、そもそもあるのか無いのかすらさっぱり手がかりすら見つかりませんw
余談ですが、デストロイド・モンスターと言えば何といってもマクロス27話「愛は流れる」での自重で甲板をぶち破りながらの歩行カット。モンスターの名に恥じない重量感を饒舌に描写した名シーンですが、これは当時のメカスタッフが時間をかけた渾身の作画だったようですね。
マクロスFにも発展機のケーニッヒモンスターの超カッコいいシーンがあったりして。今更ながらモンスターがちょっとマイブーム。こちらももし今後見つけることがあれば紹介したいと思います。(ない可能性の方がずっと高いけどw)

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ダグラム&ソルティック
たぶんw

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ソルティックは自立できません
ペッタンコ系でも自立できたというのにw

最後にご紹介するのはダグラム&ソルティック
実は以前から、行きつけの懐かしのおもちゃ屋のオヤジからその存在を教えられてはいたのですが、実物はもちろんネット上でも見つけることはなく。ようやく探しあてた代物です。ヤッホー、かなりうれしい!
しかし・・・ぶっちゃけ造形は甘いですね。ダグラムにはターボザックやリニアカノンが付いていませんので外形的特徴は頭部や肩アーマーの形状くらい。ソルティックとの差も明確ではありません。一方ソルティックは、右肩のミサイルポッドのおかげでソルティックだと判別できるレベル。
当時のダグラムのおもちゃスポンサーはタカラ。どう見たってタカラ製には思えませんのでこれはパチ確定でしょう。
まあこのパチ感が愛おしくてたまらないんですけど(完全に特殊性癖)w

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実はダグラムの30mm級ダイキャストフィギュアには正規品があります。正確にはフィギュアとして発売されたものではなく、シミュレーションボードゲームの駒なのですが、なんせ35年くらい前に発売された当時のものなので駒だけが単独で流通していたりしていて実に紛らわしい。そのボードゲームごと既に入手していますので、いずれちゃんと記事にしたいと思います。

いい加減ネタが尽きると思っていたガチャガチャ金属製ガンダムシリーズ。
しかし未だ正体不明のパチ商品の入手があったりして。
いや~まだしばらくは楽しめそうですわw

ノック・ノック

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ノック・ノック(2015年/アメリカ/イーライ・ロス監督)
70点
※ネタバレなし

世界中の既婚中年男性に警鐘を鳴らす問題作ですw

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<ストーリー>
美しい妻(イグナシア・アラマンド)と二人の子供を持つ建築家のエヴァン(キアヌ・リーブス)。妻子留守中のある豪雨の夜、二人の若い女性ベル(アナ・デ・アルマス)がジェネシス(ロレンツァ・イッツォ)が道に迷ってエヴァン宅を訪れてきた。エヴァンは警戒しつつもタクシーを待つ間家に二人を入れてしまう。若さと外見に似合わず芸術への見識を見せる二人に警戒心は薄れつつも奔放な性的な会話に顔をしかめるエヴァン。やがてタクシーが到着するが、二人は全裸でエヴァンに体を寄せ、ついにエヴァンは関係を持ってしまう。翌朝、我が物顔で家中を荒らす二人に冷静になったエヴァンは激怒。出て行けと罵るが、逆に淫行で訴えると脅されてしまう。二人の行為はますますエスカレートしていくが・・・

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豪雨の夜にやってきたエロい美女二人
あからさまに怪しいw

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訝しみつつも親切心で自宅に入れてしまう
この時点でエヴァンに下心はなかったと思いますよ

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左がジェネシス、右がベル
職業はフライトアテンダントとか言ってます

以前「アイズ・ワイド・シャット」をレビューしたときにも申し上げましたが、既婚男性にとって妻以外との性には死の香りが付きまとうものです。比喩的な意味での「死」ですけどね。中年で子持ちともなるとなおさらその色合いが濃くなります。
それだけ多くの子持ち中年にとっては、妻と子供がいる家庭生活と言うのは安寧の地であって、人生の全てとなってしまうものだと思います。
同じ子持ち中年の同僚とこんなことを話したことがありました。会社や取引先の若い女性と飲みに行ったりするのは楽しいけど、でもその先はこちらとしてはありえないわけで、だから飲みに誘っても意味ないよなって。であれば未練がましく女性と遊ぶような危険から遠ざかるのが吉だったり。

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父の日おめでとう~とか言われてドギマギ
ぶっちゃけエヴァンにとってはありがた迷惑

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エヴァン、こんなエロかわいいのから誘惑されます
しかし耐えますw

本作の主人公エヴァンも我々と同じような考えをもっているであろう既婚子持ち中年。建築家として成功し、妻は美しい彫刻家で、郊外の立派な屋敷に住んでいて、まあ外見もオッサン化しているとはいえまだまだ悪くない。なんせ「キアヌ・リーブス」ですからw私なんぞはいずれもエヴァンには到底及ばないものの、同じ既婚子持ち中年として、基本的には似たような立場。
序盤の彼の心情が痛いくらいダイレクトに伝わってくるのが面白い。

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この妙な期待と恐怖が入り混じった微妙な表情

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結局全裸で強く言い寄られてやってしまうエヴァン・・・

エロい格好した若い女二人が真夜中にやってくる。妻と子供たちの留守中に。でも安々とこんなの家に上がらせるわけない。論外。でも外は豪雨。これを無下に追い返すのもそれはそれで非道。電話やパソコン貸すだけならいいだろうと家に上がらせてしまうんです。エヴァンはもちろん警戒を解かない
自己紹介をして自分の趣味や妻の芸術への理解を示す様子にややガードを下げつつも、それでもバスローブまとって露骨に下ネタ振ってくる二人に決して誘惑はされない。うん。エヴァンに落ち度無いよね。
ところが最後に全裸になった二人がエヴァン(の股間)に襲い掛かってくる・・・で、めでたく陥落しちゃうとw
ここで男女で意見が分かれるかと思いますが、ぶっちゃけ男の立場からするとここまでされちゃってなおエヴァンに落ち度ありとされるのは辛いところですねえ。

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はっ!
朝日を浴びて正気に返る(でももう遅いw)

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我が物顔でスウィートホームを荒らす二人

翌朝、いとしい我が家を我が物顔で散らかす女たち。朝日を浴びたエヴァンはハッと正気に返ってアーパー女を家に入れた上に劣情に負けたことを大後悔で出て行けと叫ぶんですよ。無理からぬことですが、エヴァンカッコ悪いw
ここから女たちの態度が豹変していく様子が実に怖い。「出ていけ?はあ?お前、淫行で20年は刑務所じゃん?そういう態度でいいの?」ってな感じになるんですよ。
わが身に照らすと背筋がゾッとしますよ。
淫行で逮捕?冗談じゃない。とは言え警察に説明しても絶対に味方してくれないだろうし、妻子でさえ信じてくれるかどうか。つーかそもそも実際やっちゃってるしw
金で解決しようとするエヴァンが不様なことこの上ないのですが、でも自分も同じ立場ならこういう態度とっちゃうのかなあ。あ~、ゲンナリ。

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金やるから出て行け!
中年オヤジの醜さ炸裂

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ギャハハハハ
このオヤジ、馬鹿じゃね?的な

と、ここから先、物語はかなりエキセントリックにホラー色に動きます。
娘たちはエヴァンを縛り付けて拷問したり、家の中をメチャクチャにしたり、挙句に妻の仕事仲間を殺しちゃったりと、常軌を逸した破壊活動に走ります。
ところがね。観ているこちらとしては逆にホッとしてくるんですよ。だってそこまでやれば警察だってエヴァンの味方するでしょ。
不退去、監禁、器物損壊、おまけに殺人。鑑賞している既婚中年にしてみれば、「家庭崩壊」>>>「キチガイに殺されるかも」なんですから。ああ、キチガイに襲われるんならこの惨状の言い訳も妻に立つなあと考えて安心しちゃうw
そういう感想を抱いたことは自分でも面白かったですけどね。同じく中年子持ちなら共感してもらえるんじゃないかなあ。

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憔悴しきったエヴァン
もう人相変わっちゃってます

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拷問まで始めるジェネシスとベル

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エヴァン「おれは良き父親であり夫なんだよ!」
ジェネシス「昨日まではねw」

で、いささか拍子抜けしつつクライマックスに向かうわけですがが、物語は最後にもう一捻り加えてくるんですよ。
これがね。また先ほどの恐怖に立ち返ってくるという。結局、既婚中年観客は監督の手のひらの上で踊らされていたんですね。
恐怖させて、安堵させて、地獄へ落とすとwさすがイーライ・ロス。上手いなあ。
エヴァンに感情移入していた観客ほどその巧みさに感じ入りますよ。
それにしてもジェネシスとベルの真意はどこにあったのでしょうかね。
ある意味男を裁く現代の「必殺仕掛人」のようでありました。
いや、「ハングマン」か?

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ギャハハハハ!
処刑タ~イムw

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うわああああっ!!!

キアヌ・リーブスが情けない中年男を見事に好演しています。豊かなイケメンパパが見るも無残に壊れていくのですが、人相まで変わってしまうような表情を見せていて。キアヌって演技派俳優だったんだなあと感心しました。
不思議な俳優ですよねえ。端正な顔立ちでこれ以上ないくらいハンサムだったかと思えば、みすぼらしい男も見事に演じる。もっともネット上に流通してる例の有名な公園で浮浪者みたいに佇んでる画像を見ると、素の性格はイケメン美男子よりもそちらに近いような気がしちゃいます。
男性ファンが多いのもこういうところに由来するのかもしれませんね。

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ロレンツァ・イッツォはイーライ監督の奥様です

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エッロ!
アナ・デ・アルマスちゃん、覚えておきましょう

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ブレードランナー2049に出演予定です

一方で女優陣二人も迫真の熱演。いや、別におっ○い見せてくれたから熱演とか言ってるのではなく。もちろんそこも素晴らしかったのですがw
ジェネシス役のロレンツァ・イッツォはイーライ・ロス監督の奥様。「グリーン・インフェルノ」では真面目な女学生を演じていましたが、一転本作ではエロ系性悪女に。メイクや髪型は変化少なそうなのに雰囲気全然違います。
ベル役のアナ・デ・アルマスがもうめちゃくちゃエロかわいい。生唾モノとはこのこと。縛り付けられて彼女に上から襲われるなんてどんなご褒美なんでしょうかw
キューバ出身でそれまで著名な映画出演もない女優さんでしたが、何と今年公開の「ブレードランナー2049」に出演するみたい。これは今から楽しみだなあ。

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青い宇宙の冒険

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青い宇宙の冒険
(講談社青い鳥文庫/2004年刊(原著は1970年発表)/小松左京著)

以前取り上げました眉村卓著「地獄の才能」と同じく、子供時代に夢中になったSF小説をご紹介します。

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<ストーリー>
高度成長期にある日本の郊外。
「こうじが丘」の新興住宅地に住む中学生・高橋まもるは毎晩決まった時間に起こる謎の振動と地鳴りに悩まされていた。相談を受けた中学校の教師・小野寺は「こうじが丘」に伝わる60年に一度の怪現象と一致することに気づく。
彼らは、まもるの同級生・貝谷とも子と女教師・三枝を加えて、まもる宅周辺の調査を行うが不思議な空間に引きずりこまれる。
かれらはそこで、西ドイツの科学者・ウィッテンベルヒ博士、アフリカサバンナの勇士・ギザボと出会い時空間が狂いに気づき驚愕する。そんな中、リルアと呼ばれるロボットに誘われた一行は、瀕死の小さな赤い宇宙人に出会い、自分たちの宇宙が多次元宇宙との衝突で滅亡の危機にあることを告げられる。
さらに一行にはそれを回避できる力があると言われ、リルアに導かれるまま白色矮星の支配する「青い宇宙」へと赴くのだった・・・

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新興住宅地となった「こうじが丘」のねじれ松
60年に一度の異変がおこりつつある

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中学生のまもるは地元伝承に詳しい小野寺先生に相談する

「地獄の才能」がエンターテイメント的に夢中になった本だとすれば、本作は深い感銘を受けた本と言うべきでしょうか。当時私は小学校高学年でした。
2004年に児童向け小説として講談社から復刊されたものですが、原著は1970年に発表された小松左京の本格SFジュブナイル小説。小松左京作品として人気がある作品なのか、今復刊に至るまでにも数回様々な出版社から刊行されているようです。
過去のものは劇画タッチの表紙が多いのですが、本書はマンガタッチイラスト
これは現代の子供たちの好みやニーズに合わせたものなのでしょう。う~ん、でも正直作品の雰囲気が軽くなってしまうので私の好みじゃないなあ。
実は本作は1985年にPC88向けパソコンゲームにもなっていましたが、そちらの絵柄は・・・今見るとギャグみたいですw

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1985年発売のPC88用パソコンゲーム画面
これ、青い「ライオン」ですw

今でも読了当時の興奮を覚えているくらい印象に残っている作品なのですが、いつかは読み返してみたいと思いながらも幾星霜(具体的に36~37年くらいw)。
当時の私が本書のどこにそんなに感動し、興奮したのか。そんな過去の記憶を辿りながらの読書はタイムスリップのようでありました。
読み進めてみてまず気が付いたのは、文章自体は大変分かりやすいものの文章量が大人向け小説と同等である点。かなりの読み応えです。また、人物・風景描写も簡略化されることなくしっかりと描かれています。
加えて、子供にはやや難解と思える科学用語が頻繁に使われています。しかしこれはあとがきに記されてたことなのですが、難しい言葉も調べながら読んでほしいという小松左京の子供たちへの教育的配慮だったようです。実際、私も当時はそうやって図鑑を調べながら読んだのでしょうか。難解な言葉など気にすることなく物語に没頭させてくれた小松左京の力量には今更ながら敬服致します。

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謎のロボット・リルアに誘われるまもるたち

物語は、新興住宅地の地下からの怪音・振動と言う怪異現象から始まります。加えてその新興住宅地にまつわる七不思議が関連あるかのように紹介され、当時のオカルトーブームの香りを漂わせます。しかしそれを単にオカルトと済ましてしまうのではなく、過去の文献を探り、検証の必要性を説き、実地調査に臨むという過程に「科学」の視点があることが小松左京らしい。
凡百の子供向け娯楽本と分ける小さいけれど大きな隔たりです。
中学生を主人公にしながらも、理知的な教師を協力者として登場させ、浮つくことなく謎に挑む展開は派手さはないもの上質な推理小説のように心地よいのです。

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赤い小さな老人のような宇宙人から宇宙の危機を知らされる

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PC88版ゲーム画面だとこんな感じ

そんな序盤から物語は急転し、時空を超えて外国人たちとの出会い、さらには宇宙人・ロボットとの邂逅、宇宙全体の滅亡と救済へと発展していきます。
このあたりの描写は前半の落ち着いた基調と異なりエキセントリックで観念的なのですが、白色矮星や赤色巨星、多元宇宙論といった物理天文知識を散りばめることによって宇宙的超スケールを感じさせて読者をワクワクさせてくれます。
自宅地下の振動から宇宙全体の滅亡にまで至る壮大な大風呂敷の拡げ方は小松左京らしいダイナミズムを感じますね。

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世界各地から集まった6人が青い宇宙へと旅立つ

宇宙の救済は6人の想念によってなされるのですが、そこで一番の功労者となるのは偉丈夫のアフリカ人のギザボ。先進国である西ドイツや日本人からすれば異質な存在ですが、逞しくユーモアがあり健全な精神を持った愛すべき男として描かれています。少年少女の読者もきっと彼のことが大好きになることでしょう。
しかし救済により精神力を使い果たした彼は心神喪失状態になってしまいます。
不思議な空間から解放された彼らは、現実社会に戻ってそれぞれの素性を探り、日本で再会を果たします。見る影もなく車椅子で過ごすギザボですが、その後奇跡が訪れ、物語は大団円として幕を閉じるのです。

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まもるととも子の恋に満たないじゃれあい
小学生にはそれだけでも甘く感じました

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サバンナの勇士ギザボ
読者にとって愛すべきキャラクターでした

最後まで読み終えて見ると当時の私がどうして強く感動したのか、その理由が分かってきました。小さな国の片隅に生きる中学生が、大人たちに加わって謎を解き、壮大な宇宙の謎に挑み、そして知ることのなかった外国人たちと強い心の絆を結んでいく。なんとダイナミズム溢れる希望に満ちた話であることでしょう。
当時私が心の中で求めていたものが全て詰め込まれたようなお話だったんですね。
特に外国人(宇宙人やロボットも含む)との交流は幼いながらもグローバリズムを感じましたね。
さらに高度成長期時代の独特の雰囲気のようなものが感じられて。そんなものも含めて楽しく、懐かしく読ませて頂きましたよ。

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ギザボの強靭な精神が宇宙の危機を救う
しかし力尽きたギザボは・・・

しかし読み終えてとても残念なことが一点。
当時の私が感動した訳を理屈で理解することは出来たのですが、あの時のあの感動までは蘇っては来なかったんですね。感動と言うものはその日その頃の私であったからこそ生まれるものだったのでしょうね。
以前も申し上げたのですが、「銀河漂流バイファム」の挿入歌「君はス・テ・キ」にこんな歌詞があるんですよ。

大人の古い おとぎばなしは
色あせた アルバムのようなもの
あの時のときめきを 確かに思い出せるけど
もう二度と 感じることはできない

私の心情はまさにこの通りでして。寂しいし、切ないなあ。
でもだからこそ記憶の中の少年時代はあんなに輝いているのでしょうねえ。
願わくば私の娘たちも、大人になって輝かしく思い出せるような少女時代を送ってもらいたいものです。

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国も民族も肌の色も超えた絆と希望
あの時の感動を忘れたくないです

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