小説 スマイルプリキュア!
(著:小林雄次/講談社キャラクター文庫/2016年10月4日発売)
(著:小林雄次/講談社キャラクター文庫/2016年10月4日発売)
24歳のスマイルチーム?!
先日の日曜日、プリキュアシリーズ第13作「魔法使いプリキュア!」が最終回を迎えました。再会はプリキュアのキーワードの一つ。なかなか泣かせるラストでしたね。
2月5日からは第14作「キラキラ☆プリキュアアラモード」が始まります。美山加恋がテレビアニメ初主演というのも話題になっているようですが(劇場版アニメ「ももへの手紙」では主役を演じていましたが)、私的に注目点は何と言ってもあの「まいんちゃん」こと福原遥がプリキュアの一人となって出演すること。
「復ッ活ッ、まいんちゃん復活ッッ、まいんちゃん復活ッッ、まいんちゃん復活ッッ」と思わず烈海王のように叫んでしまいたい気持ちを抑えきれませんw
いや~キャラ名やプリキュア名で呼ばず、ずっと「まいんちゃん」と呼んじゃいそうだなあ。(47歳サラリーマン談)
2月5日からは第14作「キラキラ☆プリキュアアラモード」が始まります。美山加恋がテレビアニメ初主演というのも話題になっているようですが(劇場版アニメ「ももへの手紙」では主役を演じていましたが)、私的に注目点は何と言ってもあの「まいんちゃん」こと福原遥がプリキュアの一人となって出演すること。
「復ッ活ッ、まいんちゃん復活ッッ、まいんちゃん復活ッッ、まいんちゃん復活ッッ」と思わず烈海王のように叫んでしまいたい気持ちを抑えきれませんw
いや~キャラ名やプリキュア名で呼ばず、ずっと「まいんちゃん」と呼んじゃいそうだなあ。(47歳サラリーマン談)
星空みゆき
絵本作家になるのが夢
キラキラ輝く未来の光!
笑顔のために戦ったスマイルチーム
そんなプリキュアシリーズの中で一番のお気に入りはどれ?と言われれば、以前にもちょっと語りましたが、シリーズ第9作目の「スマイルプリキュア!(2012年2月5日~2013年1月/全48話)」だったりします。観ていて一番楽しいプリキュアだったというのがシンプルな理由。ストーリー性なら「ハートキャッチプリキュア!」、キャラ萌えなら「フレッシュプリキュア!」「スイートプリキュア!」「ハピネスチャージプリキュア!」の方が上だったのですが、とにかく「スマイル」はそのタイトルの通りたくさん笑えたんですよね。
震災後に発表された影響も大きかったのかもしれません。小難しいキャラ相関や背景よりも、被災地の子供たちであってもせめて鑑賞中は笑顔でいて欲しいという制作側の思いが反映されたのだと思います。そしてそれに併せて登場する5人のプリキュアたちがみんな実に清々しく素直で良い子たちだったんですね。
心の底から応援したくなるような。(47歳サラリーマン談)
震災後に発表された影響も大きかったのかもしれません。小難しいキャラ相関や背景よりも、被災地の子供たちであってもせめて鑑賞中は笑顔でいて欲しいという制作側の思いが反映されたのだと思います。そしてそれに併せて登場する5人のプリキュアたちがみんな実に清々しく素直で良い子たちだったんですね。
心の底から応援したくなるような。(47歳サラリーマン談)
お好み焼き屋の看板娘・日野あかね
本編でも登場したイギリス人留学生ブライアンとの恋の行方は・・・
変身後はキュアサニー
太陽サンサン熱血パワー!
さて、今回ご紹介する本書はその「スマイルプリキュア!」の小説版。と言っても本編を小説化したものではなく、後日談的位置づけのオリジナル小説です。講談社キャラクター文庫から出版された同趣旨のプリキュア小説はこれで4作目。これがなかなか位置づけの困難な小説でして。挿絵もなく、307頁のボリュームとフォントの小さいふりがなも無い文体は子供向けとは到底思えません。実際その内容も、プリキュアとは思えないちょい辛口なもので、一体誰をターゲットにしたものなのやら。
プリキュアの「本来の」ターゲット層は未就学女児。本編は4年前に終了していますので、その時の視聴者はせいぜい7~10歳くらい?まだ本書を読むには早いなあ。仮に読めたとして、背伸び盛りの小学校高学年女児が幼児向けアニメの小説版を読むとは思えず。まあ、やはり大きいお友達向けに書かれたと考えるべきなんだろうなあ。
ですが、私は発売から1か月後に秋葉原の書店数店で探したのですがどこにも置いてなかったんですよね。結局amazonで買ったのですが・・・不思議な本だわw
プリキュアの「本来の」ターゲット層は未就学女児。本編は4年前に終了していますので、その時の視聴者はせいぜい7~10歳くらい?まだ本書を読むには早いなあ。仮に読めたとして、背伸び盛りの小学校高学年女児が幼児向けアニメの小説版を読むとは思えず。まあ、やはり大きいお友達向けに書かれたと考えるべきなんだろうなあ。
ですが、私は発売から1か月後に秋葉原の書店数店で探したのですがどこにも置いてなかったんですよね。結局amazonで買ったのですが・・・不思議な本だわw
黄瀬やよい
夢は漫画家
幼くしてお父さんを亡くしています
ピカピカぴかりんじゃんけんポン!
物語は24歳になったみゆきの独白から始まります。書店のアルバイトとして子供に絵本の読み聞かせをする日々。しかもその絵本は売り物ではなく、中学時代に自主製作したもの。アニメ本編で繰り返し語られた彼女の夢は絵本作家になること。結局夢は叶わなかったのですね。しかも生活と心の拠り所にしている書店も閉店間近。薄ら寒いみゆきの現状に読んでいるこちらは愕然とさせられます。
しかも最高の友達であり同じプリキュアであるはずのあかねたちとは名前すら失念しそうになるほど疎遠になっているのです。
他のメンバーたちも同じく立ちはだかる現実の前に押しつぶされそうになっています。あかねは10年来の恋を失い、やよいは夢かなって漫画家になっているものの心を疲弊させ、なおはケガでサッカー選手の夢は絶たれ、中学教師のれいかは生徒から憎しみに近い不信を浴びています。
ちょっと子供には読ませられないw
しかも最高の友達であり同じプリキュアであるはずのあかねたちとは名前すら失念しそうになるほど疎遠になっているのです。
他のメンバーたちも同じく立ちはだかる現実の前に押しつぶされそうになっています。あかねは10年来の恋を失い、やよいは夢かなって漫画家になっているものの心を疲弊させ、なおはケガでサッカー選手の夢は絶たれ、中学教師のれいかは生徒から憎しみに近い不信を浴びています。
ちょっと子供には読ませられないw
緑川なお
大家族の長女
曲がったことが大嫌い
勇気リンリン直球勝負!
アニメや漫画の後日談として、この類の手法はある意味反則めいています。夢と希望あふれるキャラクターたち。しかし大人になった姿はリアルな人々さながらに平凡で残酷なもの。嫌が応にも心に響く展開ですが、作品そのものを破壊することにもなりかねないからです。
藤子・F・不二雄による「オバケのQ太郎」の衝撃の後日談「劇画・オバQ」は賛否両論あるところだろうと思います。まあ、藤子先生だから許された禁じ手と言えるでしょう。
しかし本書の主題はそこにはなく、作品破壊をギリギリで回避しています。
読み進めていくうちに分かってくるのですが、みゆきたちはそもそも自身がプリキュアであったことを忘れてしまっているのです。みゆきの描いた絵本の出来事だと思っている。これはちょっとおかしい。
藤子・F・不二雄による「オバケのQ太郎」の衝撃の後日談「劇画・オバQ」は賛否両論あるところだろうと思います。まあ、藤子先生だから許された禁じ手と言えるでしょう。
しかし本書の主題はそこにはなく、作品破壊をギリギリで回避しています。
読み進めていくうちに分かってくるのですが、みゆきたちはそもそも自身がプリキュアであったことを忘れてしまっているのです。みゆきの描いた絵本の出来事だと思っている。これはちょっとおかしい。
果たしてみゆきたちの暮らす大人になった世界は現実なのか?
青木れいか
才色兼備の優等生
変身後はキュアビューティ
しんしんと降り積もる清き心!
れいかが受け持つ国語の授業の中では荘子の「胡蝶之夢」が取り上げられ、さらにはかつての敵であったジョーカーがれいかの夢の中に現れ、彼女の心を揺さぶります。
「スマイルプリキュア!」を観ていたカンの良い方ならここで物語の真相に及びつくことでしょう。そう。この世界は実は・・・
最後はプリキュア作品らしいハッピーエンドへとたどり着くのですが、それでもなおどこか寒々しい読後感が残ります。
それは本書の読者(のうちおそらくほとんどの人)が、子供時代の夢を叶えるに至らなかった大人だから。読者自身をチクリと刺激するとともに、みゆきたちの行く末に寂しさを感じずにはいられません。
人生には目に見える悪の親玉なんて存在しないんですよね。ただ心と時間を削っていく日々の生活が横たわっているだけ。しかしそれこそが我々凡人の夢と希望をすり潰していくものだったりして・・・いや~、真面目に考えると重いわw
「スマイルプリキュア!」を観ていたカンの良い方ならここで物語の真相に及びつくことでしょう。そう。この世界は実は・・・
最後はプリキュア作品らしいハッピーエンドへとたどり着くのですが、それでもなおどこか寒々しい読後感が残ります。
それは本書の読者(のうちおそらくほとんどの人)が、子供時代の夢を叶えるに至らなかった大人だから。読者自身をチクリと刺激するとともに、みゆきたちの行く末に寂しさを感じずにはいられません。
人生には目に見える悪の親玉なんて存在しないんですよね。ただ心と時間を削っていく日々の生活が横たわっているだけ。しかしそれこそが我々凡人の夢と希望をすり潰していくものだったりして・・・いや~、真面目に考えると重いわw
本作は「劇画・オバQ」+「まどかマギカ叛逆の物語」と言えば
カンの良い方はお判りでしょうか?
著者の小林雄次はアニメ作品の他、特撮作品を多く手掛けている脂ののった脚本家です。文体も表現も丁寧で読みやすくあっという間に読み終えること出来ました。アニメ本編の構成や脚本も担当していて、そのおかげでキャラクター一人一人の特徴の把握も破たんなく、また本編で描かれた細かいエピソードへの言及がなされていてファンにとっては実にうれしい限り。なつかしいシーンの数々が蘇ってきましたよ。
上述の通り、決して明るく楽しいだけの作品ではないのですが小説としてはなかなかの完成度。もうちょっと消費者の目に留まり易ければいいのに。
子供の知らないピリリと辛口のプリキュア。次はどの作品が読めるのかな?
上述の通り、決して明るく楽しいだけの作品ではないのですが小説としてはなかなかの完成度。もうちょっと消費者の目に留まり易ければいいのに。
子供の知らないピリリと辛口のプリキュア。次はどの作品が読めるのかな?